組立後からでも形状を変えていける動的ブロック
ブロックのおもちゃとして先程はレゴブロックを紹介してきましたが、特許を取得しているブロックは他にもあります!
組立後からでも形状を変えていける動的ブロック
JOYS ©ピープル株式会社
世界的に定番の「おもちゃ」の一つといえば、組み合わせて好きな形にできるブロックが代表的です。数あるメーカーからブロックおもちゃが発売されていますが、その中でも、誰もが、まず「レゴブロック」を思い浮かべると思います。レゴブロックの基本形状は直方体ですが、世の中には直方体ではないブロックの形状も多数存在しますので、今回はその中から特許を取得されたブロックをご紹介します。
今回紹介する特許発明は、東京電機大学から出願された、新しい構造のブロック玩具です。従来のレゴブロックのような、直方体の凹凸部を互いに差し込んで固定したり、多くの異なる形状のブロックを組み合わせていくのではなく、基本的には1つのブロックを複数組み合わせるという考え方を採ったブロックとなっています。
このようにすることで、ブロックの種類が不必要に増加せず、幼児にとって扱いやすいばかりでなく、保管・片付けについてもわずらわしさがなくなるという効果を得ることができました。
具体的には、複数の円筒形状を組み合わせた、丸みを帯びたブロックとなっており、これを組み合わせていくものとなっています。円筒部分を組み合わせることで、ブロック同士を互いに差し込んだ後でも、従来のブロックにはできなかった、ブロックの組み合わせ角度を変化させることができたり、多様な遊び方が可能になりました。
「ブロック」とは角張ったかたまり、という固定観念を捨てることで、新たな商品が開発され、特許になったといえるでしょう。
固定観念を捨てた新しい形状のブロック!
今までのブロックとは色々違いがありそうだね。
どんな特許?
従来、組立式のブロックの玩具といえばレゴブロック。多くの人がこのブロックで遊んだ経験をお持ちではないでしょうか。
このレゴブロックは、基本的な形が四角で、正方形と複数のサイズの長方形のブロックがあります。これらのブロック同士を組み合わせることで家や車、橋などを組み立てることが出来ます。
これらのブロックを組み合わせて家をつくれば、人形を使っておままごとをしたり、車を作れば、部屋中をそれを手に走り回ったり、モノを作るだけでなく作った後も他のおもちゃといっしょに遊ぶことで遊びの世界が広がります。
子供たちが楽しそうにブロックで物を作り遊んでいる姿をみると、このような組立式の玩具が幼少期から思考力や情緒などを育むものとして認識されているのも納うなずけます。
ただ残念ながら、レゴブロックはその四角の形状から、動物のような丸みを持たせたモデルを組立することが難しいし、四角いブロック同士をはめ込んで組立するので、動物を作った後、足を動かしたり、首を動かすことが出来ません。
丸みを持たせるためには丸みをつけたブロックが必要です。
足や首を動かせるようにするには、ピンやナット、ヒンジなどを使って可動できる新たなブロックを用意する必要があります。
こういった特別のブロックは1個あれば用が足りるわけでなく、何種類も何個も必要になります。こうなってしまうと小さい子は手を出しにくくなってしまいす。かたずけするのも大変ですね。
丸みによる新たな組み合わせ
特別なブロックを使うことなく、丸みを持ったモデルを組み立てたり、モデルを作った後、動物のように手足が関節のように動く、首が動かせることやブロック同士のいろいろな組み合わせができることで、子供の知育玩具や学校での教具となる組立玩具を提供することを目的とした発明です。
図1に示すように、この発明によれば、レゴブロックのように差し込むだけで組み立てできかつ、レゴブロックにはできなかった組み合わせたブロック同士を動かすことができる(左図)ので、組立後にさも動物の関節のように、手足や首を動かすことが出来ます。
また、このブロックの特徴である円筒部同士の組み合わせだけでなく、円筒部の連結部分同志も連結できる(右図)ので多様な組み合わせができ、創造の幅を広げることができます。
【図1】
ここがポイント!
この発明は、はめ込んだ後も回転できるような円筒形状でかつ外周面が同じ大きさの2個の円筒部と、この2個の円筒を連結する部分で、内径面の半径が円筒部の半径と同じであること、厚みは円筒部の厚みより薄いこと、かつ中心角が90度の円弧状で、円筒の外周面に沿うように滑らかに接続する連結部でできているブロックであることがポイントです。
【図2】rが同じ円筒 rとrcが同じ dcはdより薄い θは90度
何に活用されているの?
JOYS ©ピープル株式会社
ピープル株式会社のJOIZ(ジョイズ)という商品がこの特許の対応商品です。(https://www.people-kk.co.jp/toys/pythagoras/joiz.html)
JOIZのブロックにおいて、3個の突起を持った円筒が2個連結されているもので、この突起がブロック同士の円筒部にはめ込むことで連結出来て、なおかつブロック同士を動かすことがでことが発明の対応する部分であると思います。
他のタイプのブロックとしては、突起を持った円筒が3個連結されているものがありますが、これも対象になっていると思います。
ピープルのホームページを見ると知育ブロックとして販売されていますし、発明者のコメントも載せられています。特許そのままのブロックの製品です。
色も多彩なブロックがあり、中には目玉らしきものがついたブロックもあり、より動物らしいモデルを組み立てできるようです。
3歳から6歳まで成長に合わせ組立する参考モデルも紹介され、そのモデルの組み立て方の動画も用意されています。
まとめ
丸みに着目したことで、連結部分が変わったり動かしたりと表現の幅が広がるみたいですね。
お子様と一緒に遊んでみてはいかがでしょうか!
特許の概要
発明の名称 |
組立構造体 |
出願番号 |
特願2014-248504 |
公開番号 |
特開2015-226748 |
特許番号 |
特許第6005711号 |
出願日 |
平成26 年12月9日(2014.12.9) |
公開日 |
平成27 年12月17 日(2015.12.17) |
登録日 |
平成28 年9月16 日(2016.9.16) |
審査請求日 |
平成28 年4月8 日(2016.4.8) |
出願人 |
学校法人東京電機大学(特許権者) |
発明者 |
松浦 昭洋 |
国際特許分類 |
A63H 33/08 (2006.01) |
経過情報 |
「特許法第29条第2項の規定により及び、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」として拒絶されたが、請求項と明細書を補正し特許査定となった。 |
<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。