触れて理解する?プログラミング知育玩具

今では必修科目となったプログラミング教育ですが、知育玩具の分野では、プログラミングにも焦点を当てた発明があるみたいです!

日本では、2020年から全国の小学校で「プログラミング教育」が必修となりました。

実は既に2012年から中学校では「プログラムによる計測・制御」という科目が必修となっていたのですが、これが小学校にも適用されてきたというわけです。この背景には、いわゆる第4次産業革命をはじめとした社会の急速なIT化に伴って、将来のIT人材を育てていくという狙いがあります。

とはいえ、文部科学省によれば、小学校で行うプログラミング教育というのは、難しいプログラミング言語を習得するというものではなく、プログラミングに必要な論理的思考能力や問題解決能力の育成を目指しているとのことです。

今回紹介する発明は、米国でK-12教育(幼稚園から高校卒業までの13年間の教育のこと)において、コンピュータリテラシーの向上のために開発された製品に関するものです(出願人:Tangible Play, Inc.、出願公開番号:US2021/118313A1、出願日:2020年12月30日)。

さて、プログラミングというと、難しいコードを書いていくイメージがあるかもしれませんが、基本的には自分が思う通りの動作を1つ1つ分解して、順に実行されるように組み立てていけばプログラムを組んだといえます。

例えば朝、仕事に行くために家を出るまでの動作(ルーティン)ってだいたい同じだったりしませんか?起床して、顔を洗って、歯磨きして、、、という一連の動作は、皆さんそれぞれが自分を動かすための立派なプログラムなのです。

本発明では、コンピュータに実行させたい命令(コマンド)が1つ1つブロックになっており、それらを組み合わせることで「コード」が生成されます。プログラムが実行されるのはiPadなどのタブレット端末なのですが、ブロックを組み合わせた結果をタブレットのカメラで読み取ってコード化します。正しいコードが生成されると、タブレット内のゲームが進行するという仕掛けになっています。

将来のIT人材の育成のため子どもたちが楽しみながらプログラミングを学べるなんて、素敵なことですね。

本発明は、携帯性や応答性に優れ、かつ実用的な、タンジブル・プログラミング環境を提供することができます。

タンジブルとは、プログラミングのような実体のないものを実際に触れることができるような形にすることです。

本発明に係る技術、またそれが具現化した製品は、リアルタイムでタンジブルなプログラミング環境のためのプラットフォームを提供できます。

タンジブルなプログラミング環境では、直感的で、ユーザーが事前に練習することなく、プログラムをどのように構築すべきかを理解することができます。

例えば、ユーザーは、物理的なインタフェースオブジェクトを実際に並べてその配列を作成します。するとコンピュータ内では物理的なインタフェースオブジェクトの配列に対応する実行指令に基づいた、コンピュータプログラムの構築が行われます。

発明のポイントは、「コンピュータプログラムを構成するための物理的なインタフェースオブジェクト」であること、そして「底面、上側面、左側面、右側面の1つ以上に互換性のある物理的インタフェースに結合できる機構を備える」ことです。

上述したタンジブル・プログラミング環境のためには、コンピュータ内の仮想的なオブジェクトではなく、実際に手にとることのできるオブジェクトが必要となります。

そしてそれら1つ1つのオブジェクトをつなぎあわせていくことによって、あたかもブロック遊びをするかのようにして、プログラムを構築していきます。

物理的なインタフェースオブジェクトの具体的な図面をみてみると、図1の左図のようなオブジェクトが例示されます。これらの1つ1つのパーツそれぞれに対応するプログラムが割り当てられており、ユーザーはそのプログラムを任意に置き換えるなどして所望のプログラムを構築していく。オブジェクトの各パーツとして代表的なものは、図1の右図で例示されます。

【図1】

Osmo Coding Starter Kit for iPad ©Osmo

本発明は、既に「Osmo Coding」という商品名で製品化され、5-10歳向けに、ゲームを楽しむようにしてコーディングスキルを身につけられる知育玩具として販売されている。

カラフルなコーディングブロックを動かしながら、タブレットに自分のプログラムを読み込ませ、画面上で冒険を進めていくというものだ(手持ちのタブレットでコーディングブロックを読み込むにはタブレットのカメラを使用する。図2参照)。

【図2】

具体的な遊び方の例示として、図3を参照しながらみていこう。ここでは画面中央のキャラクタ(イチゴ好きの怪獣Awbieという名前らしい)を操作して、怪獣が位置しているマスを含めて3マス下にある2つのイチゴを収穫するミッションがあったとする。

【図3】

この場合、コーディングブロックを組み合わせて、図4のようなブロックを構成し、タブレットに読み込ませることで、キャラクタを3マス下に動かした後、右に1マス動かすという命令を実行させることができる。

【図4】

コーディングブロックには文字は書かれておらず、どのような言語圏の子供でも楽しめるようにデザインされている。現在発売されているスターターキットには、31個のコーディングブロックと3つのコーディングゲーム、タブレット台と収納ボックスがセットになって販売されている。

本発明が具現化された「Osmo Coding」は、近年話題となっているSTEAM教育の入り口として最適な製品といえるだろう。

「創る」だけで終わらず「知る」、そして探求する!

本発明が具現化された「Osmo Coding」は、近年話題となっているSTEAM教育の入り口として最適ですね♪

発明の名称

Virtualized Tangible Programming

出願番号

US2021/118313A1

出願日

2020.12.30

出願人

Tangible Play, Inc.

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。