ソニーG、一部オンラインゲーム事業を 1100憶円でモバイルゲーム大手に売却、その狙いは・・・

ソニーグループ(以下、ソニー)傘下のソニー・ピクチャーズ エンターテイメントは、傘下のGSN Games(GSN)を米スコープリーに約10億ドル(約1100億円)で売却したことをDIAMONDonlineは21年11月2日次のように伝えている。

GSNはモバイルやオンラインゲームの開発を主な業務としてきた。今回の売却の背景には、ソニーが重視するコンテンツIP(知的財産)分野へ経営資源の集中する狙いがあるとみられる。

一方、同社は半導体などハードウエアの分野でも台湾積体電路製造(TSMC)との共同で新工場の建設を行うなど、自社の市場シェアや収益性、成長性などを評価の軸にして選択と集中を進め、今後、より効率的な事業運営体制の確立を目指している。

今後の注目点は、ソニーの事業戦略が成果につながるか否かだ。これまでの業績を見る限り、コンテンツ事業の強化などは同社の市場シェアの拡大と収益性の向上に寄与する可能性は高いだろう。

ただ、世界経済の変化の速度は恐ろしいほど増している。特に、デジタル化の加速や脱炭素への取り組みなど、世界の経済環境の変化は激烈を極めている。そうした大きな変化の中、ソニーといえども変化への対応が遅れれば、事業運営体制が不安定化するリスクは否定できない。

ソニーがGSNを売却する理由の一つは、ソニーが重視するコンテンツIP分野へ経営資源の配分を高める狙いがあるのだろう。そのために、GSNの主要業務を、早めにプロダクト・ポートフォリオから外しておく意図が感じられる。

ソニーは『鬼滅の刃』などのコンテンツIPを生み出してファンを獲得し、ゲームなどの新しい需要の創出につなげたい。一方、GSNはカードゲームやビンゴなどのモバイルゲームを得意とする。

IPランドスケープ(知財、非知財情報を分析して自社の現状と将来の展開予想を分析すること)に基づいて考えると、ソニーとGSNは目指すコンテンツを構成する要素が異なる。

コンテンツIPの創出力に磨きをかけるという重要な目的に照らした場合、ソニーにとってGSNを支配下に置き続ける意義は低下しているようだ。

もう一つの売却理由が、投資収益の確定だろう。2019年にソニーは約 414億円(当時の邦貨換算額)を投じてGSNの親会社であるゲーム・ショー・ネットワークを完全子会社化している。

一方、今回の売却額は約1100億円だ。モバイルゲーム市場などでシェアを獲得することによってGSNの企業価値は高まった。現在、世界的に株価が高値圏で推移している状況を生かしてソニーは利得を確保し、それを成長期待の高い分野に再配分したいだろう。それも売却理由の一つといえる。

ただ、今回の売却によってソニーとGSNの関係が完全に解消されるわけではない。ソニーは売却額の半分をスコープリーの優先株として受け取る。

コンテンツIP開発戦略上のシナジー効果は薄れたものの、モバイルゲーム市場でのビジネスチャンスを手に入れるためにGSNと一定の関係を維持することは重要との判断がソニーにあるとみられる。
コンテンツIP分野にフォーカスして考えると、ソニーは新しいコンテンツIP創出のために組織の集中力を高めたいだろう。そのためにGSNを売却してよりスピーディーかつ多くのコンテンツIPを生み出す体制整備を加速させようとしているのではないか。

また、グループ全体での事業運営においても、ソニーは成長性、収益性、市場シェアなどの要素に基づいて、最も有効な資源配分を行おうとしていることが読み取れる。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://diamond.jp/articles/-/286302

* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。

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