Facebookが新社名「Meta」を発表! ありがち、かつ記述性の強い社名は商標として後々大変そうだ


Facebookは21年10月28日(現地時間)、社名を「Meta(メタ)」に変更すると発表したことをyahooニュースは29日に伝えている。

社名変更に伴い、背後ではOculusブランドの終了とFacebookアカウントの非必須化も これは同日開催のイベント「Facebook Connect」で明らかになった。12月1日からはティッカーシンボル(いわゆる銘柄コード)も、FBからMVRSに変更となる見込み。

Metaはその名の通り「Metaverse(メタバース)」が由来だ。Metaverseにはさまざまな解釈や意味があるが、概ね“現実と仮想が交わるソーシャル空間”のようなイメージで、Facebook(Meta)が28日に発表したプレスリリースでは、 「現在のさまざまなオンライン上でのソーシャル体験を掛け合わせたようなものになります。時には3次元に拡張され、時には現実世界に投影される、それがメタバースです」 と定義している。

Metaは、メタバースの確立のため今後もVR(仮想現実)やAR(拡張現実)のテクノロジーやハードウェア、通信技術などの開発を進めると同時に、今後約1億5000万ドル(約170億3600万円)もの投資を次世代のクリエイターを育成するための没入型学習に実施するとしている。

マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOは、同日に公開した「創業者からの手紙 2021」の中で「今後10年以内に、メタバースを10億人にリーチさせ、数千億ドル規模の電子取引を提供し、数百万人規模のクリエイターや開発者の雇用を支える」とした。

今回の発表はあくまでも会社名がMetaに変わるだけで、SNSとしての「Facebook」「Instagram」、メッセージングの「Messenger」「WhatsApp」、ビジネスSNSの「Workplace」などのサービス名称は残る。

また今回の社名変更、Metaといういかにもありがち、かつ、記述性が比較的強い(Metaverseを明らかに想起させます)名前を商標として選ぶと後々結構大変そうだともyahooニュースは伝えている。

EUIPN(欧州連合知的財産ネットワーク)が提供するTMVIEWデータベースで調べると、9類(電子機器関連)で登録されている(または審査係属中の)Metaという商標は世界各国で約900件におよぶ。

これ以外にも、別の関連区分のもの(たとえば、オンラインゲームの提供等)、および、Metaという言葉を一部に含むもの、TMVIEWに掲載されていない国のもの(典型的には中国、台湾)を含めると、さらに多くの類似先登録商標があると考えられる。

この状況で、Metaという商標を各国においてくまなく登録すること、および、既にMetaを登録している企業からの侵害訴訟に対応することはかなり大変かと思われるが、Facebook的にはそれは織り込み済みということなのだろう。

たとえば、Google、Yahoo!、NVIDIAのように今までにない(あるいはめったに使われない)言葉を選べば、商標登録(および他社の商標権侵害回避)の問題は非常に楽になるが、敢えてそういう道を選ばなかったということだ。
なお、ドメイン名がどうなっているかが気になるところだが、meta.comはFacebookがしっかり押さえていた。この話が公になる前からFacebookの名前を出さずに水面下で動いていたものと思われる。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20211029-00265537
https://news.yahoo.co.jp/articles/2bee989d0e419883c4eb97de8be519a72ea6e288


Latest Posts 新着記事

AI×半導体の知財戦略を加速 アリババが築く世界規模の特許ポートフォリオ

かつてアリババといえば、EC・物流・決済システムを中心とした巨大インターネット企業というイメージが強かった。しかし近年のアリババは、AI・クラウド・半導体・ロボティクスまで領域を拡大し、技術企業としての輪郭を大きく変えつつある。その象徴が、世界最高峰AI学会での論文数と、半導体を含むハードウェア領域の特許出願である。アリババ・ダモアカデミー(Alibaba DAMO Academy)が毎年100本...

翻訳プロセス自体を発明に──Play「XMAT®」の特許が意味する産業インパクト

近年、生成AIの普及によって翻訳の世界は劇的な変化を迎えている。とりわけ、専門文書や産業領域では、単なる機械翻訳ではなく「人間の判断」と「AIの高速処理」を組み合わせた“ハイブリッド翻訳”が注目を集めている。そうした潮流の中で、Play株式会社が開発したAI翻訳ソリューション 「XMAT®(トランスマット)」 が、日本国内で翻訳支援技術として特許を取得した。この特許は、AIを活用して翻訳作業を効率...

特許技術が支える次世代EdTech──未来教育が開発した「AIVICE」の真価

学習の個別最適化は、教育界で長年議論され続けてきたテーマである。生徒一人ひとりに違う教材を提示し、理解度に合わせて学習ルートを変化させ、弱点に寄り添いながら伸ばしていく理想の学習プロセス。しかし、従来の教育現場では、教師の業務負担や教材制作の限界から、それを十分に実現することは難しかった。 この課題に真正面から挑んだのが 未来教育株式会社 だ。同社は独自の AI学習最適化技術 で特許を取得し、その...

抗体医薬×特許の価値を示した免疫生物研究所の株価急伸

東京証券取引所グロース市場に上場する 免疫生物研究所(Immuno-Biological Laboratories:IBL) の株価が連日でストップ高となり、市場の大きな注目を集めている。背景にあるのは、同社が保有する 抗HIV抗体に関する特許 をはじめとしたバイオ医薬分野の独自技術が、国内外で新たな価値を持ち始めているためだ。 バイオ・創薬企業にとって、研究成果そのものだけでなく 知財ポートフォ...

農業自動化のラストピース──トクイテンの青果物収穫技術が特許認定

農業分野では近年、深刻な人手不足と高齢化により「収穫作業の自動化」が急務となっている。特に、いちご・トマト・ブルーベリー・柑橘など、表皮が繊細な青果物は人の手で丁寧に扱う必要があり、ロボットによる自動収穫は難易度が極めて高かった。そうした課題に挑む中で、株式会社トクイテンが開発した “青果物を傷付けにくい収穫装置” が特許を取得し、農業DX領域で大きな注目を集めている。 今回の特許は単なる「収穫機...

<社説>地域ブランドの危機と希望――GI制度を攻めの武器に

国が地理的表示(GI:Geographical Indication)保護制度をスタートしてから10年が経つ。ワインやチーズなど農産物を地域の名前とともに保護する仕組みは、欧米では産地価値を国境を越えて守る知財戦略としてすでに大きな成果を上げてきた。一方、日本でのGI制度は、導入から10年が経った今ようやくその重要性が幅広く認識される段階に差し掛かったと言える。 農林水産省によれば、2024年時点...

保育データの構造化とAI分析を特許化 ルクミー「すくすくレポート」技術の本質

保育業界におけるDXが本格的に進む中、ユニファ株式会社が展開する「ルクミー」は、写真・動画販売や登降園管理、午睡チェックシステムなどを通じて保育の可視化と効率化を支えてきた。その同社が開発した 保育AI™「すくすくレポート」 が特許を取得したことは、保育現場のデジタル化における大きな節目となった。 「すくすくレポート」は、子どもの日々の成長・発達をAIが分析し、保育士の観察記録を補助...

JIG-SAW、動物行動AIの“核技術”を米国で特許化 世界標準を狙う布石に

IoTプラットフォーム事業を展開する JIG-SAW株式会社 が、米国特許商標庁(USPTO)より「AI算出によるベクトルデータをベースとしたアルゴリズム・システム」に関する特許査定を受領した。対象となるのは 動物行動解析分野—つまり動物の動き・姿勢・行動をAIで読み取り、ベクトルデータとして構造化し、行動傾向や異常を自動判定するための技術だ。 近年、ペットヘルスケア、畜産、動物実験、野生動物の行...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る