シン・就活情報ー知財力で企業の将来を見極めろ!

INTRODUCTION

現在、企業の就職活動・採用ルールは政府主導によりスケジュールが決められております。
また、企業は新型感染症の影響もあって、オンラインツールを活用しながら、会社説明会や情報発信を行うようになってきました。学生とってオンラインツールの利用は必須となり、昔と比べて就活方法などが激変しました。

学生がまず就職活動をする上で一番最初にやることはなんでしょうか。一般的には、自分にはどのような仕事が向いているのか、どのような業界や企業があるのか、まずはそのようなことを分析するところから始めると思います。そして、会社説明会やOB・ОG訪問を通じて、エントリーを行い、面接試験を進めていきます。

ところで、このような伝統的な方法で会社情報を取得する以外にも、特許情報・特許技術を活用して、企業の将来を分析した上でエントリーする会社を決めことができたら、どうでしょうか?もしかしたら、会社情報から読み取れない将来有望な会社と出会えるかもしれません。

今回の+VISIONではそんな知財力で企業の将来を見極めて、就活に役立てられる?技術をご紹介します。

CONTENTS

  • #1特許で企業の成長性を見通そう

  • #2口コミ評価で就活サポート!

  • #3企業からの熱意をまとめる就活支援特許

特許で企業の成長性を見通そう


特許制度は、19世紀から続く産業発展に欠かせない制度の一つです。企業がなぜ特許を取得するかといえば、それは当然、特許権という「独占排他権」を取得したいという願望が主たる理由になります。

 一方で、特許権というものは第三者に公開されているものですから、その公開情報をデータベースとして利用して、特許を用いて産業の方向性を予測したり、技術の動向を判断したり、また、個別の企業の開発力を推し量る道具として、古くから活用されてきた面もあります。

今回紹介する特許は、特許情報を用いて、企業の成長率を客観的に算出するものです。特許情報をどのように活用すれば企業の成長度合いが見積もれるのか、詳細に解説していきます。

特許の活用方法として、自社の独占排他権を用いて事業を独占的に有利に進めたり、その独占権を売買したりということが行われていますが、特許権に対しての金銭的価値や、その特許を有している企業の能力(収益力など)を推し量るための手法についても、古くから種々検討されてきました。

特許の評価方法について、従来行われてきた手法としては、大きく「金銭的評価手法」と「相対的評価手法」の2つに大別されます。

金銭的評価手法では、スコアリング利用型DCF法、ブラックショールズモデルなど、様々な手法が用いられてきました。これらの手法は、特許を金銭的、経済的に評価する手法で、特許権譲渡の場面などでの需要が高いのですが、定性分析(スコアリング)に主観が入りやすく、また、すべての特許権を評価しようとすると莫大なコストがかかるという問題点がありました。

一方、相対的評価手法では、特許所有件数、登録率、出願件数、請求項数等を解析する統計的な評価手法や、特許明細書の単語分析、技術系統図などから技術価値を評価する手法が用いられています。これらの手法は、データ中心の評価手法であることから、客観性が担保されやすく、競合他社との相対的な技術力の比較の場面などでその機能を発揮するのですが、評価項目と経済活動(特許権の持つ独占排他力)との因果関係の特定が困難であるなどの問題点がありました。例えば、特許数が多い企業が必ずしも収益力が高いとは限らないことは一般的によく知られていることです。

このような背景に鑑みて、本発明の特許権者である工藤氏は、2009年に企業成長性予測指標算出のための装置、特に特定の企業の競合企業グループ内での位置を算出する発明を出願し、2014年に特許を取得しています。この特許によって算出される「位置」は、スコアリングを使用せずに客観データのみを用いて算出されるものであり、恣意性がなく、客観的かつ数値的に企業の成長性を判断できるという特徴がありました。

(先行技術例)特許5655275号

このような手法を用いて高成長業種に関連の深い技術についての特許力、特にその成長率を各企業について算出することができれば、高成長業種における技術的・特許的観点からの高成長企業を的確に選び出すことが可能となり、所望のテーマに特化したファンドやETFの組成、技術系銘柄の株式指数作成などがたやすくなります。

しかしながら、今や一つの企業が複数の業種に進出していることは珍しくなく、複数の業種にわたって特許を所有しいていることも珍しくありません。したがって、通常の業種分類(東証33業種など)で企業を分類して特許力を評価したとしても、各業種における特許力の正確な評価とはならない、という問題がありました。

このような問題点から、本発明では、特許に関する評価値を算出し、この評価値を、特許を保有する権利者(株式上場企業)ごと、かつ、特許分類と業種分類とを対応付けて得られる特許業種分類ごとに集計し、ここで得られた集計値を時系列で比較することにより、株式上場企業の各特許業種分類における特許力成長率を算出する株式上場企業特許力成長率評価装置を提案することとしました。

発明の目的

では、本発明の詳細を説明していきます。

まず、基本的な定義の説明からですが、多数の競合他社がひしめき合う事業において広い権利範囲をもった強い特許権を持っているということは、強い独占排他力を持っているということになります。市場において強い独占排他力を持つということは、特許権利者に利益をもたらす源泉を持つということになります。つまり、特許の独占排他力を評価することは、特許の収益力を評価することと同義だと考えられます。

独占排他力の評価方法の考え方

独占排他力を持つ特許によって、特許権利者が事業を独占するためには必ず排除すべき相手が存在します。そこで、その排除すべき相手が独占排他力を持つ障害特許に対してとる行動を考えることとします。

仮に、自社の事業障害となる特許権を発見した場合、どのような行動をとるでしょうか。まずは、その特許権の内容を調べ、そして、ライセンス交渉をするのか、潰しにかかるのか、あるいは設計変更をするのか、といった判断が迫られます。そのとき、特許権に対して何らかのアクションを起こすことになるわけですね。よって、本発明の株式上場企業特許力成長率評価装置は、この特許権に対する第三者からのアクションを評価対象とすることが望ましいと考えられます。

実際に発明がなされてから出願、公開、審査、登録、そして消滅するまでには特許に対して様々なアクションが起こされます。例えば、審査請求、拒絶理由通知、特許査定または拒絶査定、閲覧請求、拒絶査定不服審判、異議申立、無効審判などです。このさまざまなアクションの中で、第三者のアクションとは、特許の審査経過情報を知ることができる閲覧請求や、特許権を無効にするために請求される異議申立、無効審判などです。本発明における株式上場企業特許力成長率評価装置は、このような第三者(競合他社)からのアクションを評価することで特許権の持つ独占排他力を指数化することが可能だ、ということを評価の根拠としています。

このように、評価対象を第三者のアクションのみに限定したのはなぜかといえば、例えば、多くの特許を出願した企業が特許による高い収益力を持つとは決して言えないからです。出願された特許のほとんどが審査請求をせずにみなし取下げになる場合や、審査において拒絶され、特許にならない場合にはたくさん出願をしても意味がないので、評価対象に入れることは妥当ではありません。また、自己のアクションを評価対象に入れると恣意的に自己の評価を変えることが可能となってしまいます。

一方で、競合他社がその存在を無視することができず、調査をしなければならない特許、調査をした結果特許回避をすることが難しいと判断し無効審判を起こして無効にしたいと思うような特許などは価値が高いと言えます。

しかし、例外として、自社による特許評価値を算出したい場合には、評価対象を自社アクションとしてもよいことは当然のことでもあります。この場合は、「出願」という自社のアクションが評価対象に含まれるようになります。さらには、例えば、海外出願(ファミリー出願)をしている特許、拒絶査定不服審判を請求している特許については自社による評価が高い特許であるといえるのだから、これらのアクションも評価の対象に含むべきと考えます。

自社が特許に対してかけたコストに注目し、これを集計すれば、コストアプローチの考えで『自社にとっての特許資産価値』を算出することが可能となります。本発明は、第三者のアクションのみを評価対象とした場合において、もっとも効果が高いと言えますが、自社のアクションのみを評価対象とした場合にも大きな効果をあげることが可能ですし、また、すべてのアクションを評価の対象とすることも考えられます。

では、図面も参照しながら、本発明の詳細について解説していきます。

実施形態

【図1】株式上場企業特許力成長率評価装置の機能ブロック図

図1に示す株式上場企業特許力成長率評価装置(0100)は、以下の構成を備えます。

  • 「整理標準化データ取得部」(0101)
  • 「項目内容抽出部」(0102)
  • 「検索結果保持部」(0103)
  • 「コスト表保持部」(0104)
  • 「陳腐化関数格納部」(0105)
  • 「陳腐化後コスト算出部」(0106)
  • 「合算部」(0107)
  • 「出力部」(0108)
  • 「特許業種分類情報格納部」(0109)
  • 「企業毎特許業種分類毎集計部」(0110)
  • 「成長率算出部」(0111)

いくつか抜粋して解説していきます。

整理標準化データ取得部(0101)

整理標準化データとは、特許庁が保有している審査経過情報等の各種情報を整理標準化して加工したものです。整理標準化データを参照することにより、出願日、出願人、発明者、権利者などの情報や、出願審査請求の有無や審査経過の状況などを知ることが可能です。そして、これら整理標準化データは、例えば特許庁の電子図書館やその他の特許情報サービスによって電子化され提供されているので、ネットワークや各種記録媒体などを介して本株式上場企業特許力成長率評価装置はこれらデータを容易に取得するよう構成することができます。

もちろん、オペレータなどが手入力で、公表されている整理標準化データを入力する構成なども挙げられます。

項目内容抽出部(0102)

取得した整理標準化データに記述されている特許に対して取られた法律的手続きを示す標準項目名称の組合せを、予め準備したパターンを利用したパターンマッチング処理により検索し、検索された標準項目名称の組合せに応じて整理標準化データに記述されている項目内容を、その手続日と関連付けて抽出する機能を有する部分です。

ここで、特許に対して取られた法律的手続とは、例えば閲覧請求や情報提供、異議申立、無効審判などのことをいいます。

【図2】整理標準化データの例

コスト表保持部(0104)

標準項目名称の組合せに関連付けて保持されている項目内容の組合せごとに、予め準備されているコストを対応付けたコスト表を保持する機能を有する部分です。

【図3】

図3の1行目には、標準項目名称の組合せが示されています。

例えば、無効審判に対する標準項目名称の組合せは、審判種別、審判最終処分種別、審決の決定記事、などです。そして、2行目、3行目には項目内容の組合せの例が示されています。

2行目の例は、無効審判が起きて、最終処分が請求不成立であり、さらに、審決が無効としないというものであった場合です。この場合には、第三者が無効審判にかけたコスト、例えば、1,000,000(百万)円をコストとしてコスト表に保持します。

また、3行目の例は、無効審判が起きて、最終処分が請求成立であり、さらに、審決が無効とするというものであった場合です。この場合には、特許は無効となり、当該特許に価値はないものと考え、コストとしてゼロをコスト表に保持します。

コスト表に記述されているコストは金銭単位であってもよいし、適当な値で割算した値や、その法律手続に対応する指数などであっても良いものとします。

陳腐化関数格納部(0105)

技術分野ごとにその技術の陳腐化の目安となる陳腐化関数を格納するという機能を有する部分です。

陳腐化関数は、例えば次のようにして求めます。

図4上図は、ある技術分野において、出願から何年目に特許権が消滅したかという統計をとったグラフです。縦軸は消滅した特許権の割合で、横軸は出願からの年数です。この統計データは、出願のときを起点としていることがひとつの特徴です。当たり前のことかもしれませんが、技術の陳腐化は権利が登録されたときから始まるのではなく、発明がなされたときをピークに始まるものであると考えられるからです。ゆえに、発明の瞬間を起点とするのが最も正しいと思われますが、その統計をとることはできないので、出願のときを起点とすることとしました。

図4上図を詳しく見てみると、出願から4年目ぐらいまでに消滅する特許権はほぼ0(ゼロ)であり、その後、徐々に消滅する特許権が増えているのが分かります。そして、出願から20年目に登録特許のうち25%〜30%にあたる特許権が消滅します。これは、特許権の存続期間が原則として出願から20年であることによります。もし、存続期間が20年よりも長い場合にはもっと長い期間維持されたであろう特許権が20年目にすべて消滅しているのです。20年目に技術の陳腐化が一気に起こったわけではありません。

そこで、この20年目に消滅した特許権は20年目以降の数年間に渡って徐々に消滅していくものであったとの仮説に則って、図4下図の丸で囲んだような割合で年々消滅していくであろうとの予測をしました。

なお、この20年目に消滅した特許を、計算上21年目以降に消滅したものと仮定するのは補助的な処理にすぎません。この処理は必ずしも行う必要はありませんが、このように少しでも実際の分布を正規分布に近づける下処理を行うことにより、より正確に陳腐化曲線を求めることができると考えられます。もっとも、実際のデータ(図4上図)をそのまま正規分布で近似した方が、より現実に即していると考えることも可能ですので、この処理を行うか否かは適宜判断すべきものといえます。

【図4】消滅した特許権の割合

さて、これ以降は、図4下図を用いて説明するものとします。

図4下図を正規分布で近似し、「1−正規累積分布」を計算したものが図5です。この曲線が陳腐化関数ということになります。これは、技術価値陳腐化曲線ということもできます。

【図5】陳腐化関数

この図によると、存続期間が20年という区切りがないとすれば、出願から25年程度でほとんどすべての特許が維持する価値を失うことになります。このグラフの特徴は、最初の数年間ほとんど陳腐化しないものの、平均的な特許が消滅する年数に近づくにつれてその陳腐化のレートが加速し、平均消滅年数を通過するとまた、陳腐化レートが緩やかになることです。

陳腐化後コスト算出部(0106)

各特許の標準項目名称の組合せに応じて抽出された項目内容の組合せごとに、コスト表保持部に保持されているコスト表を用いてコストを取得するとともに、算定基準日と、その項目内容の組合せごとに関連付けられている手続日と、その特許の出願日と、この特許が属する技術分野の陳腐化関数とを用いて算定基準日における陳腐化後コストを算出する機能を有する部分です。

例えば、ある特許権について、出願からα年目に特許無効審判が請求されたが、維持審決がでたとします。そして、コスト表によるとその一連の手続が100ポイントであったとします。さらに、算定基準日が出願からβ年目であるとします。この場合において、α年の技術価値残存係数をT(α)、β年目の技術価値残存係数をT(β)とおくと、算定基準日における陳腐化後コストは、以下の式で求めることができます。

陳腐化後コスト=100×T(β)/T(α)

算定基準日を現在として考えると、アクション日(α年)が出願から2年で、現在(β年)が出願から3年であれば、ほとんど陳腐化はしないことになります。そして、アクション日(α年)が出願から2年で、現在(β年)が出願から15年であれば、陳腐化は大きいことになります。つまり、昔に起きた法律的手続きであるほど現在における陳腐化後コストに引き直すと小さい値となるわけです。

このようにして算出したコストを、各特許について全て合算し、特許分類ごとに整理します。特許分類としては、全世界の特許を同一の基準で業種と対応づけられる、IPCを使うことが最も望ましいでしょう。本発明の明細書においては、発明者が独自に作成した「YKS分類」が使われていますが、これに限定する必要はありません。

【図21】整理標準化データに記録された特許の特許力の集計例

このような「特許力」を集計値として算出し、これを2以上の異なる時点における同一の企業の数値と比較すると、「企業毎特許業種分類毎集計値成長率」を算出することが可能となります。

<実施形態1>

図9に、実施形態1としての株式上場企業特許力成長率評価装置の動作方法の処理の流れを記載します。

【図9】

【ステップS0901】
整理標準化データを例えばネットワーク上の情報提供サーバ装置や入力デバイスからの入力情報などを介して取得します。

【ステップS0902】
前記取得した整理標準化データを対象として、予め準備したパターンを利用したパターンマッチング処理をCPUなどの演算処理により実行し、法律的手続きを示す標準項目名称の組合せを検索します。

【ステップS0903】
整理標準化データから検索された標準項目名称の組合せに応じて項目内容をその手続日と関連づけて抽出します。

【ステップS0904】
抽出された項目内容およびそれに関連付けられている手続日を標準項目名称の組合せに関連付けて、各種記録装置に記録、保持します。

【ステップS0905】
前記抽出保持されている項目内容をキーとして予め準備されているコスト表をCPUなどの演算処理により検索して、その項目内容に対応するコストを取得します。

【ステップS0906】
特許が属する技術分野に対応して予め準備されている陳腐化関数を取得します。また前記取得した整理標準化データや前記記録装置に記録されたデータから算定基準日、手続日、出願日を取得します。

【ステップS0907】
取得したコスト、陳腐化関数、算定基準日、手続日、出願日を利用したCPUの演算処理によって各項目に係る陳腐化後コストを算出します。

【ステップS0908】
算出された各項目の陳腐化後コストを特許について全て合算するCPUの演算処理を実行します。また、その他の特許に関しても同様にCPUの演算処理によって合算値を算出します。

【ステップS0909】
特許ごとに得られた合算値を、特許権利者ごとに、かつ、各特許に付された特許分類に対応付けられた特許業種分類ごとに集計し、企業毎特許業種分類毎集計値とします。なお、ステップS0910において企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出するために、2以上の異なる時点における整理標準化データを用いるなどして、2以上の異なる時点における企業毎特許業種分類毎集計値を得ておきます。

【ステップS0910】
ステップS0909で得られた2以上の異なる時点における企業毎特許業種分類毎集計値を比較することにより(例えば、新しい時点の当該集計値を古い時点の当該集計値で除することにより)、企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出します。

【ステップS0911】
得られた企業毎特許業種分類毎集計値成長率を、例えばディスプレイへ出力表示したり、プリンター装置から印刷出力したり、フラッシュメモリなどに記録出力したりします。

<実施形態1で得られる効果>
実施形態1のような株式上場企業特許力成長率評価装置によれば、以下のような特許群の経済的評価を行なうことができます。

これまでは、特許1件ごとの経済的価値をミクロ評価するために莫大な費用(例えば、1件当たり300万円程度)と時間を必要としていたので、特許群の経済的価値のミクロ評価は難しいとされていました。ここでいうミクロ評価とは1件の特許に対して詳細な調査を行い、その経済的価値を算出することです。本実施形態では、第三者が障害特許を調査し自己の事業への障害度合いを評価した結果起こしたアクションを評価対象としているので、第三者のミクロ評価の結果を間接的に評価していることになります。第三者の感じる事業障害度合いが経過情報に散りばめられており、それを評価対象としているのでマクロ評価でありながら解像度の高いデータになっています。

よって、本発明によって、算出される特許当たりの合算値は、スコアリングを利用せずに客観データのみを用いて算出されたものであるので、恣意性を完全に排除しているという特徴を持ちます。

そして、そのような特徴を有する合算値を、特許権利者毎かつ特許業種分類ごとに集計し、その集計値の成長率を算出することにより、極めて精緻かつ客観的に、各特許権利者の、各業種に関わりの深い分野の特許力の成長率を把握することができます。これにより、高成長業種における技術的および特許的観点からの高成長企業を把握することができるようになるのです。

<実施形態2>
実施例1で求められた、企業成長率の算出を行った後、さらに技術的および特許的観点からの高成長企業を選定し、出力することを特徴とする実施例です。

【図10】実施例2の機能ブロック図

図10に示す株式上場企業特許力成長率評価装置(1000)は、以下の構成を有するものです。

  • 「整理標準化データ取得部」(1001)
  • 「項目内容抽出部」(1002)
  • 「検索結果保持部」(1003)
  • 「コスト表保持部」(1004)
  • 「陳腐化関数格納部」(1005)
  • 「陳腐化後コスト算出部」(1006)
  • 「合算部」(1007)
  • 「出力部」(1008)
  • 「特許業種分類情報格納部」(0109)
  • 「企業毎特許業種分類毎集計部」(1010)
  • 「成長率算出部」(1011)
  • 「企業選定部」(1012)

「企業選定部」は、企業毎特許業種分類毎集計値成長率が上位である企業を選定することに特徴があります。もっとも単純な選定の条件としては、各特許業種分類に属する企業のなかで、成長率が「上位20社」に含まれる企業や、「上位10%以上のグループ」に属する企業など、上位の一定以上に含まれることのみを選定条件として企業を選定する方法でありますが、さらにさまざまな条件を付すことが可能です。

というのも、成長率には、絶対値として成長した値が同じでも、元の値が小さいほど大きな率として算出されてしまうという性質があるからです。すなわち、極端な例を挙げれば、企業Aの「環境・エネルギー」分野における、ある過去の時点の値が0.1点であり、現在の値が1点である場合、わずか0.9点の成長幅であるにも関わらず、成長率は+900%と、極めて高い値に計算されてしまうのです。これは成長率の計算結果としては間違っていませんが、「環境・エネルギー」分野の集計値の平均値が、100点ぐらいだとすると、わずか0.1点が1点に伸びた企業を「環境・エネルギー」分野の技術高成長企業とみなすことは妥当ではないということになります。

そこで、「企業選定部」では、例えば、成長後の企業毎特許業種分類毎集計値が50点以上の企業のみを選定対象の母集団とする、などの条件を付することができることとしています。

<実施形態2:処理の流れ>

【図12】

最初に、ステップS1201において、整理標準化データを例えばネットワーク上の情報提供サーバ装置や入力デバイスからの入力情報などを介して取得します。

次に、ステップS1202において、前記取得した整理標準化データを対象として、予め準備したパターンを利用したパターンマッチング処理をCPUなどの演算処理により実行し、法律的手続きを示す標準項目名称の組合せを検索します。

ステップS1203において、整理標準化データから検索された標準項目名称の組合せに応じて項目内容をその手続日と関連づけて抽出します。

ステップS1204において、抽出された項目内容およびそれに関連付けられている手続日を標準項目名称の組合せに関連付けて、各種記録装置に記録、保持します。

ステップS1205において、前記抽出保持されている項目内容をキーとして予め準備されているコスト表をCPUなどの演算処理により検索して、その項目内容に対応するコストを取得します。

ステップS1206において、特許が属する技術分野に対応して予め準備されている陳腐化関数を取得します。また、前記取得した整理標準化データや前記記録装置に記録されたデータから算定基準日、手続日、出願日を取得します。

ステップS1207において、取得したコスト、陳腐化関数、算定基準日、手続日、出願日を利用したCPUの演算処理によって各項目に係る陳腐化後コストを算出します。

ステップS1208において、算出された各項目の陳腐化後コストを特許について全て合算するCPUの演算処理を実行します。

ステップS1209において、特許ごとに得られた合算値を、特許権利者ごとに、かつ、各特許に付された特許分類に対応付けられた特許業種分類ごとに集計し、企業毎特許業種分類毎集計値とします。なお、ステップS1210において企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出するために、2以上の異なる時点における整理標準化データを用いるなどして、2以上の異なる時点における企業毎特許業種分類毎集計値を得ておきます。

ステップS1210においては、ステップS1209で得られた2以上の異なる時点における企業毎特許業種分類毎集計値を比較することにより(例えば、新しい時点の当該集計値を古い時点の当該集計値で除することにより)、企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出します。

ステップS1211において、S1210で得られた企業毎特許業種分類毎集計値成長率が上位である企業を選定します。

最後に、ステップS1212において、得られた選定企業を、例えばディスプレイへ出力表示したり、プリンター装置から印刷出力したり、フラッシュメモリなどに記録出力したりします。

<実施形態2で得られる効果>
実施形態2に掛かる株式上場企業特許力成長率評価装置によっても、実施形態1と同様にスコアリングを利用せずに客観データのみを用いて算出された合算値を、特許権利者毎かつ特許業種分類ごとに集計し、その集計値の成長率を算出することにより、極めて精緻かつ客観的に、各特許権利者の、各業種に関わりの深い分野の特許力の成長率を把握することができます。さらには当該成長率をもとに、さまざま条件を付して成長率上位の企業を選定することにより、さまざま目的に応じた技術的および特許的観点からの高成長企業を選定することができるようになります。

<実施形態3>
この実施形態では、実施形態2と同様に、算出された成長率を用いて、技術的および特許的観点からの高成長企業を選定します。そして、選定された株式上場企業のある時点における時価総額又は株価を基準として、他の時点における相対値である特許力高成長銘柄指数を算出し、出力することを特徴とします。

【図13】実施形態3の機能ブロック図

図13に示す株式上場企業特許力成長率評価装置は、以下の構成を有します。

  • 「整理標準化データ取得部」(1301)
  • 「項目内容抽出部」(1302)
  • 「検索結果保持部」(1303)
  • 「コスト表保持部」(1304)
  • 「陳腐化関数格納部」(1305)
  • 「陳腐化後コスト算出部」(1306)
  • 「合算部」(1307)
  • 「出力部」(1308)
  • 「特許業種分類情報格納部」(1309)
  • 「企業毎特許業種分類毎集計部」(1310)
  • 「成長率算出部」(1311)
  • 「企業選定部」(1312)
  • 「指数算出部」(1313)

<実施形態3:処理の流れ>

【図15】動作方法の処理の流れ

最初に、ステップS1501において、整理標準化データを例えばネットワーク上の情

報提供サーバ装置や入力デバイスからの入力情報などを介して取得します。

ステップS1502において、前記取得した整理標準化データを対象として、予め準備したパターンを利用したパターンマッチング処理をCPUなどの演算処理により実行し、法律的手続きを示す標準項目名称の組合せを検索します。

ステップS1503において、整理標準化データから検索された標準項目名称の組合せに応じて項目内容をその手続日と関連づけて抽出します。

ステップS1504において、抽出された項目内容およびそれに関連付けられている手続日を標準項目名称の組合せに関連付けて、各種記録装置に記録、保持します。

ステップS1505において、前記抽出保持されている項目内容をキーとして予め準備されているコスト表をCPUなどの演算処理により検索して、その項目内容に対応するコストを取得します。

ステップS1506において、特許が属する技術分野に対応して予め準備されている陳腐化関数を取得します。また前記取得した整理標準化データや前記記録装置に記録されたデータから算定基準日、手続日、出願日を取得します。

ステップS1507において、取得したコスト、陳腐化関数、算定基準日、手続日、出願日を利用したCPUの演算処理によって各項目に係る陳腐化後コストを算出します。

ステップS1508において、算出された各項目の陳腐化後コストを特許について全て合算するCPUの演算処理を実行します。

ステップS1509において、特許ごとに得られた合算値を、特許権利者ごとに、かつ、各特許に付された特許分類に対応付けられた特許業種分類ごとに集計し、企業毎特許業種分類毎集計値とします。なお、ステップS1510において企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出するために、2以上の異なる時点における整理標準化データを用いるなどして、2以上の異なる時点における企業毎特許業種分類毎集計値を得ておきます。

ステップS1510においては、ステップS1509で得られた2以上の異なる時点における企業毎特許業種分類毎集計値を比較することにより(例えば、新しい時点の当該集計値を古い時点の当該集計値で除することにより)、企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出します。

ステップS1511において、S1510で得られた企業毎特許業種分類毎集計値成長率が上位である企業を選定します。

ステップS1512において、S1511で選定された株式上場企業のある時点における時価総額又は株価を基準として他の時点における相対値である特許力高成長銘柄指数を算出します。

最後に、ステップS1513において、得られた指数を、例えばディスプレイへ出力表示したり、プリンター装置から印刷出力したり、フラッシュメモリなどに記録出力したりします。

<実施形態3で得られる効果>

実施形態3によっても、実施形態1と同様にスコアリングを利用せずに客観データのみを用いて算出された合算値を、特許権利者毎かつ特許業種分類ごとに集計し、その集計値の成長率を算出することにより、極めて精緻かつ客観的に、各特許権利者の、各業種に関わりの深い分野の特許力の成長率を把握することができます。

また、実施形態2と同様に、当該成長率をもとに、さまざま条件を付して成長率上位の企業を選定することにより、さまざま目的に応じた技術的および特許的観点からの高成長企業を選定することができるようになります。

さらには、このように選定された企業から構成される株式投資などに好適な指数を作成することができます。例えば高成長分野である「環境」や「バイオ」をテーマとしたファンドやETFの組成、技術系銘柄の株式指数作成などを、容易かつ客観的なデータのみに基づいて行うことが可能となるのです。

本発明は、従来の特許を用いた企業の評価方法(金銭的評価手法や相対的評価手法)とは異なり、特定の業種に関連の深い特許の特許力、特にその成長率などを用いて企業の成長度合いを客観的に評価できる点が優れたポイントです。

特に、第三者のアクションを評価の対象として限定する点で、自社をよく見せよう、といった恣意が入らないところに、評価手法の信頼性が担保されていると考えられます。

特許制度は新しい技術を所定の期間、国が独占排他権の保持・行使を「特別に許す」ものですが、同時に、これまで積み上げられたきた特許情報は、いわゆるビッグデータともいえる膨大な技術情報の塊でもあります。

このようなビッグデータのデータベースを、コンピュータ解析によってさらに役に立つ情報へと変換して活用することは、今後どんどん開発・発展していくものと考えられます。これまでは企業の持つ力を判断するのに株価などの少ない情報しかなかったものが、今後は特許をも含めた多面的な企業力の判断が可能となってくることでしょう。

本発明は、すでに「特許価値評価WEBサービス(https://www.patware.net/)」としてリリースがされており、「PATWARE(パットウェア)」という名称のシステムとして実用化されています。

このようなツールを活用することによって、これまで技術開発の面で活用されることが多かった特許が、金融機関や投資家が活用しやすい形に変われば、企業経営の考え方も根本的に変化していくかもしれませんね。

発明の名称

株式上場企業特許力成長率評価装置、株式上場企業特許力成長率評価装置の動作方法及び株式上場企業特許力成長率評価プログラム

出願番号

特願2014-107741

公開番号

特開2015-225357

特許番号

特許第6448078号

出願日

2014.5.26

公開日

2015.12.14

登録日

2018.12.14

審査請求日

2017.5.25

出願人

工藤 一郎

発明者

工藤 一郎 他
国際特許分類

G06Q 50/18 (2012.01)

経過情報

・進歩性違反で一旦拒絶されたが、補正を行い、特許査定となった。

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就職氷河期といわれていた時期に比べ、最近の就職活動は人口減少も相まって、売り手市場だとまでいわれています。しかしながら、いくら求職者に有利な状況であっても、求職者側も企業側も、誰でも良いというわけではなく、より良いマッチングを求めている点は変わらないポイントです。

企業と求職者とをマッチングさせるには、基本的には履歴書等のレビュー、スキルテスト、面接、参加型交流イベント等が行われてきましたが、求職者と企業の、当事者同士による主観的なマッチングは、その後のミスマッチによる離職等を防ぐには充分ではありませんでした。

今回紹介する特許は、就活において企業が求職者について客観性のある情報を得やすくするための方法についての発明で、すでに実用化されているものです。どのように客観性を担保するのか、特許発明の詳細について、解説していきます。

学生の就職活動は、最近ではもっぱらインターネットを介して行うことが一般的になってきました。インターネットを介した就活の支援サービスとして、例えば地方の学生等と都会の中小企業をネット上でマッチングさせる、チャット就活ウェブシステムが特許出願されています。

(先行技術例)特開2015-82241号公報

また、近年では、企業側から採用したい学生に対して直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」という採用方法が一般的になっており、ダイレクトリクルーティングを支援するウェブサービスも実用化されています。

このようなダイレクトリクルーティングを支援する一般的なウェブサービスは、求職者(学生等)が企業に対して自分の学歴や実績、能力、性格、強みなどをアピールし、その求職者からの情報を参考にして企業が採用を希望する求職者を見つけ出せるようにしています。

しかし、求職者が自己アピールの文章等を作成するには、充分に自己分析ができている必要がありますし、自分ひとりでは作成しづらい場合もあります。他者が作成した文章等を参考にすることも可能ですが、参考にしたものに引きずられて、似たような内容の自己アピールとなってしまうことも少なくありません。そのため、求職者から提供される情報だけでは、企業が求める人材かどうかを見極めにくい場合がありました。

発明の目的

本発明は、企業が求職者について客観性のある情報を得やすくすることができるプログラム、方法及びサーバを提供することを目的としています。

本発明により、企業が求職者について客観性のある情報を得やすくなるといいます。

発明の詳細

では、図・画像を一部参照しながら、本発明の詳細を説明していきます。

図1Aは、本発明のサーバ1と端末装置(3〜6)を含んだシステムの構成の一例です。

【図1A】

このシステムの中に、「知人端末装置5」というものが組み込まれているのが、本発明の最大の特徴といえます。

<求職者データベース>
求職者DB21は、それぞれ個別の求職者に関する情報を含んだ複数の求職者情報を検索可能に記憶します。求職者DB21は、求職者ごとに1つの求職者情報を記憶します。

<企業データベース>
企業DB22は、それぞれ個別の企業に関する情報を含んだ複数の企業情報を検索可能に記憶します。企業DB22には、企業ごとに1つの企業情報が記憶されます。

企業情報の具体例としては、例えば以下の情報の少なくとも一部を含みます。

  • 企業の識別情報(企業ID)
  • 企業の名称、所在地
  • 企業の担当者がサーバ1にログインするための認証情報(ログイン用のIDとパスワード等)
  • 企業の担当者の連絡先に関する情報(電話番号、Eメールアドレス等)
  • 企業の担当者が選択したお気に入りの求職者の情報(求職者IDなど)
  • 企業が接触の申し出(オファー)を行った求職者の情報(求職者IDなど)
  • 選考中の求職者に関する情報(求職者ID,選考スケジュール等)

<接触履歴情報>
接触履歴DB23は、求職者と企業とが接触した履歴に関する情報をそれぞれ含んだ複数の接触履歴情報を検索可能に記憶します。接触履歴DB23には、求職者と企業との組み合わせごと、若しくは、求職者と企業との接触ごとに1つの接触履歴情報が記憶されます。

接触履歴情報の具体例としては、例えば以下の情報の少なくとも一部を含みます。

  • 企業ID及び求職者ID
  • 企業が求職者に接触の申し出(オファー)を行った日
  • 接触の申し出(オファー)に求職者が応答した日と、応答結果(承認/非承認)
  • 接触の結果に関する情報

<企業端末装置>
企業端末装置3は、採用活動を行う企業が利用する装置です。例えばスマートフォン、タブレットPC、携帯電話機、ノート型PC、デスクトップ型PCなど、通信ネットワーク9を介した通信機能を備える情報機器を企業端末装置3として用いることができます。企業端末装置3は、通信ネットワーク9を介してサーバ1にアクセスし、求職者に関する情報を検索して閲覧する処理、所望の求職者に対して接触の申し出(オファー)を行う処理などを行います。

<求職者端末装置>
求職者端末装置4は、就職活動を行う求職者が利用する装置です。求職者端末装置4は、通信ネットワーク9を介してサーバ1にアクセスし、所望の企業に関する情報を閲覧する処理、知人やアドバイザーから受けた自分への評価を閲覧する処理、企業から受けた接触の申し出(オファー)に対して応答する処理などを行います。

<知人端末装置>
知人端末装置5は、求職者の知人が利用する装置です。知人端末装置5は、通信ネットワーク9を介してサーバ1にアクセスし、知人として求職者への評価を入力する処理などを行います。

<アドバイザー端末装置>
アドバイザー端末装置6は、就職活動のアドバイザーが利用する装置です。アドバイザー端末装置6は、通信ネットワーク9を介してサーバ1にアクセスし、アドバイザーとして求職者への評価を入力する処理などを行います。

以下に示すステップ図は、求職者に関する知人評価情報を取得し、企業端末装置3と求職者端末装置4において表示させる処理の一例を説明するための図です。

【図2】

サーバ1は、評価対象者である一の求職者に対する評価の入力を求める評価要求を知人端末装置5から受信すると(ST100)、一の求職者の求職者情報に含まれる評価項目情報に基づいて、1以上の評価項目を含んだ知人評価情報の入力を受け付ける知人用画面を表示するための表示情報を生成し、要求元の知人端末装置105に提供します(ST105)。知人端末装置5は、サーバ1から提供された表示情報に基づいて、評価対象者である一の求職者に対する評価を入力するための知人用画面を表示し、評価の入力を受け付けます(ST110)。

以下に示す図は、知人端末装置5において知人評価情報を入力するための知人用画面の一例を示すものです。

【図3】

知人用画面Aは、複数の評価項目の領域A1〜A3と、これらの領域A1〜A3を画面上でスクロールさせるためのスクロールバーA4を含みます。領域A1〜A3には、それぞれ評価項目の内容を入力するため文字入力領域A5が含まれ、領域A3には、評価項目に対する複数の回答の候補から1つを選択するためのラジオボタンA6〜A8が配置されています。

一旦図2に戻ります。

サーバ1の処理部15は、知人用画面A(図3)において入力された知人評価情報を知人端末装置5から取得すると(ST115)、取得した知人評価情報を評価対象者(求職者)の求職者情報に追加します(ST120)。

企業端末装置3は、所定の企業用画面において求職者情報についての検索条件を入力し(ST150)、この検索条件に当てはまる求職者の情報を表示するように求める表示要求をサーバ1に送信します(ST155)。サーバ1の処理部15は、この表示要求を企業端末装置3から受信すると、求職者情報についての指定された検索条件に当てはまる1以上の求職者の求職者情報を求職者DB21から取得します(ST160)。サーバ1の処理部15は、ステップST160において求職者DB21から取得した1以上の求職者の求職者情報に基づいて、検索条件に当てはまる1以上の求職者に関する情報が含まれた企業用画面を表示するための表示情報を生成し、企業端末装置3に提供します(ST165)。企業端末装置3は、サーバ1から提供された表示情報に基づいて、求職者の検索結果の企業用画面を表示します(ST170)。

【図4】

上図は、企業端末装置3において表示される企業用画面の一例を示す図です。ステップST150(図2)において表示される企業用画面の一例を示したものとなります。この図に示す企業用画面Bは、企業に対する各種の通知(お知らせ)が表示される領域B1と、学生(求職者)の検索条件を入力するための領域B2を含みます。領域B2は、検索項目(上図の例では「志望職種」「学歴」)ごとに検索条件を選択するためのドロップダウンリストB3及びB4と、任意の言葉を検索条件として設定するための入力ボックスB5と、検索の実行を指示するためのボタンB6とを含みます。

ボタンB6が押下されると、企業端末装置3は、領域B2に入力された検索条件を確定して、ステップST155の表示要求をサーバ1に送信します。領域B1、B2の横には、領域B1よりも詳細な検索条件を入力する画面を表示するためのボタンB7と、企業が接触の申し出(オファー)を行った学生(求職者)のリストを表示するためのボタンB8と、企業が学生(求職者)の選考状況の管理用画面を表示するためのボタンB9と、企業がお気に入りとして選択した学生(求職者)のリストを表示するためのボタンB10とが配置されています。

【図5】

上図は、学生(求職者)の検索結果を含む企業用画面の一例を示す図です。ステップST170(図2)において表示される企業用画面の一例となります。

この図に示す企業用画面Cは、それぞれ検索条件に当てはまる学生(求職者)の情報が表示される複数の領域C1〜C2と、これらの領域C1〜C2を画面上でスクロールさせるためのスクロールバーC3を含みます。複数の領域C1〜C2には、それぞれ、学生(求職者)の写真、名前、学校名などが表示されます。

また複数の領域C1〜C2には、それぞれ、学生(求職者)の性格等の分析結果を表すチャートC4と、学生(求職者)に関する自己紹介情報及び知人評価情報を表示する領域C5と、企業が学生(求職者)に対して接触の申し出(オファー)を行うためのボタンC6と、企業が学生(求職者)をお気に入りに登録するためのボタンC7とを含みます。

【図6】

上図は、学生(求職者)の詳細情報を含む企業用画面の一例を示す図であり、企業用画面C(図5)の領域C5の「続きを読む」の箇所が操作された場合に表示する企業用画面の一例となります。

この図に示す企業用画面Dは、学生(求職者)の写真、名前、学校名などが表示される領域D1と、学生(求職者)に関する自己紹介情報、知人評価情報、アドバイザー評価情報が表示される領域D2と、領域D2を画面上でスクロールさせるためのスクロールバーC3とを含みます。領域D2における各評価項目の回答人数の箇所が操作されると、個別の回答内容を含んだ画面が表示されます。

領域D1の横には、学生(求職者)の志望業界の情報を含んだ画面を表示するためのボタンD4と、学生(求職者)の性格等のタイプを分析した結果に関する画面を表示するためのボタンD5が配置されます。領域D2の下には、企業が学生(求職者)に対して接触の申し出(オファー)を行うためのボタンD6と、企業が学生(求職者)をお気に入りに登録するためのボタンD7とが配置されます。

では再び図2に戻ります。

サーバ1の処理部15は、一の求職者が利用する求職者端末装置4から、この一の求職者についての情報を表示するように求める表示要求を受信すると(ST175)、要求された一の求職者の求職者情報を求職者DB21から取得します(ST180)。

処理部15は、ステップST180において求職者DB21から取得した一の求職者の求職者情報に基づいて、この一の求職者に関する情報(知人評価情報など)が含まれた求職者用画面を表示するための表示情報を生成して、要求元の求職者端末装置4に提供します(ST185)。求職者端末装置4は、サーバ1から提供された表示情報に基づいて、一の求職者についての知人評価情報が含まれた求職者用画面を表示します(ST190)。

【図7】

上図は、求職者端末装置4において表示される求職者用画面の一例を示す図です。

この図に示す求職者用画面Eは、学生(求職者)に対する各種の通知(お知らせ)が表示される領域E1と、学生(求職者)が獲得した企業からのオファー(接触の申し出)の数が表示される領域E2と、学生(求職者)に対して評価を行った知人(評価者)の一覧が表示される領域E3と、サーバ1が学生(求職者)に提案するお勧め企業が表示される領域E4と、所定の情報通信サービス(SNS等)において交友関係にある他の求職者が表示される領域E6とを含みます。

領域E1、E2の横には、学生(求職者)のプロフィール(名前、連絡先、学校名など)の編集用画面を表示するためのボタンE8と、接触の申し出(オファー)を受けた企業のリストを表示するためのボタンE9と、選考中の企業のリストを表示するためのボタンE10と、学生(求職者)がお気に入りとして選択した企業のリストを表示するためのボタンE11と、知人評価情報を含む画面を表示するためのボタンE12と、アドバイザー評価情報を含む画面を表示するためのボタンE13と、知人評価情報の入力を知人に依頼する際の情報(専用の知人用画面A(図3)が表示されるウェブページのアドレス等)を取得するためのボタンE14とが配置されます。

【図8】

上図は、知人評価情報を含む求職者用画面の一例を示すものです。

上述した図7に示す求職者用画面EにおいてボタンE12が押下されると、求職者端末装置4は、ステップST175(図2)の表示要求をサーバ1に送信します。この表示要求を受けたサーバ1は、ステップST185(図2)において、図8に示す求職者用画面Fを表示するための表示情報を求職者端末装置4に提供します。求職者用画面Fは、知人評価情報が表示される領域F1と、領域F1を画面上でスクロールさせるためのスクロールバーF2とを含みます。

このように、企業側が指定した検索条件に当てはまる1以上の求職者に関する情報が含まれた企業用画面C(図5)において、求職者ごとに1以上の知人による知人評価情報が表示されることになります。

知人評価情報は、求職者本人の主観が入らない客観性のある情報なので、この知人評価情報の収集には求職者の作業が不要であり、求職者に大きな負担をかけることなく、企業が求職者について客観性のある情報を得やすくなるというわけです。

また、求職者端末装置4の求職者用画面F(図8)において、求職者本人についての知人の評価に関する知人評価情報が表示されるので、求職者が自分自身についての客観性のある評価を知ることが可能となります。これにより、企業に対する自己アピールを考える上での参考情報を得ることができるとともに、他者の評価から自己分析を深めることができます。

【図9】

求職者端末装置4は、所定の求職者用画面において、知人評価情報に含めるべき1以上の評価項目を入力し(ST200)、入力した1以上の評価項目の設定を求める評価項目設定要求をサーバ1に送信します。サーバ1の処理部15は、評価項目設定要求を求職者端末装置4から受信すると(ST205)、受信した評価項目設定要求において指定された1以上の評価項目に関する評価項目情報を、要求元の求職者の求職者情報に追加します(ST210)。

サーバ1の処理部15は、評価対象者である一の求職者に対する評価の入力を求める評価要求を知人端末装置5から受信すると(ST215)、一の求職者の求職者情報に含まれる評価項目情報に基づいて、1以上の評価項目を含んだ知人評価情報の入力を受け付ける知人用画面を表示するための表示情報を生成し、要求元の知人端末装置105に提供します(ST220)。

知人端末装置5は、サーバ1から提供された表示情報に基づいて、評価対象者である一の求職者に対する評価を入力するための知人用画面を表示し、評価の入力を受け付けます(ST220)。知人端末装置5は、知人用画面において入力した知人評価情報をサーバ1に送信します(ST230)。

【図10】

上図は、評価項目の設定を入力するための求職者用画面の一例を示す図です。求職者用画面Gは、知人評価情報に追加可能な所定の評価項目のリストが表示される領域G1と、領域G1のリストの中から選ばれた評価項目のリストが表示される領域G5とが含まれます。領域G1には、領域G1の評価項目のリストを画面上でスクロールさせるためのスクロールバーG2と、領域G1のリスト中で指定された評価項目を領域G5のリストに追加するためのボタンG3が配置されます。

領域G1のリスト中で領域G5のリストに追加された評価項目は、薄い点線の枠で表されています。領域G5には、領域G5のリスト中で指定された評価項目を削除し、領域G1のリストに戻すためのボタンG6が配置されています。領域G1の下側には、求職者が新規の評価項目を作成する評価項目作成画面を表示するためのボタンG4が配置されています。領域G1の下側には、領域G5のリストに含まれる評価項目を所定の初期状態にリセットするためのボタンG7と、領域G5のリストに含まれる評価項目を知人評価情報に含めるべき評価項目として設定するためのボタンG8とが配置されています。

求職者端末装置4は、求職者用画面GのボタンG8が押下されると、領域G5のリストに含まれる評価項目を知人評価情報に含めるべき評価項目として設定するように求める評価項目設定要求をサーバ1に送信します(図9のST205)。

このような実施形態とすることで、知人評価情報の評価項目を求職者が任意に設定できるため、求職者ごとに独自性のある知人評価情報を企業に提供することが可能になります。これにより、求職者は企業に対して独自性をアピールし易くなりますし、企業からは、特色のある知人評価情報から所望の人材を見つけ易くなります。

【図11】

上図は、一の求職者から、所定の情報通信サービス(SNS等)で交友関係のある他の求職者についての知人評価情報を取得する処理の一例を説明するための図です。

サーバ1の処理部15は、所定の情報通信サービス(例えばSNS等)を提供する情報通信サービス提供システム7に対して、その情報通信サービスにおける求職者同士の交友関係に関する交友関係情報を要求します(ST300)。例えば処理部15は、情報通信サービスでの認証情報(ID、パスワード等)を求職者端末装置4から情報通信サービス提供システム7へ送信させることにより、情報通信サービス提供システム7に対して交友関係情報を要求します。処理部15は、この要求に応じた情報通信サービス提供システム7から各求職者の交友関係情報を取得すると(ST305)、取得した交友関係情報を各求職者の求職者情報に追加します(ST310)。

このような実施形態によれば、所定の情報通信サービス(SNS等)で交友関係のある他の求職者がいることを画面上で簡単に把握できます。また、交友関係のある求職者同士で相互に知人評価情報評価を簡単に入力できるため、求職者同士の評価の入力を活発化させることができます。

本発明は、一般的な就活データベースプログラムにおいて、「知人からの情報」というこれまでにない客観的情報を取り入れた点がポイントです。

飲食店を紹介する口コミのようなイメージですが、第三者である求職者の知人からの評価を選考ファクターの1つとして取り入れることで、従来の当事者同士の採用マッチングに比べると、より客観的にお互いの情報がわかるようになり、このことから採用後のミスマッチを防止できることにつながります。

知人の評価を就職や進学時の選考ファクターに入れること自体は、知人や地域の顔役のような方からの「推薦状」「紹介状」という形で、古くから行われていたことです(特に社会人大学院などでは入学願書と一緒に、職場の上司などによる推薦書を提出することが求められることがよくあります)。

本発明では、このような第三者からの紹介を、もっと手軽に(カジュアルに)使うことができるようにしたという点で、新しさがあるように思えます。

本発明は、すでに就活アプリとしてプレスリリースがされており、「Metsukete(ミツケテ)」という名称の新卒採用システムとして企業向けに提供の準備が進められているようです。

本発明の就活システムが一般的となれば、今以上にSNSを始めとした交友関係の構築が重要になってきそうです。良い友人、良い人間関係を学生のうちから得ることで、後悔のない就活ができるようになるかもしれませんね。

発明の名称

就職活動及び採用活動を支援するプログラム、方法及びサーバ

出願番号

特願2022-5295

特許番号

特許第7158083号

出願日

2022.1.17

登録日

2022.10.13

審査請求日

2022.1.25

出願人

イーバリュー株式会社

発明者

水野 昌和
国際特許分類

G06Q 10/10 (2012.01)

経過情報

・早期審査が行われ、出願公開公報が発行される前に特許査定となった。


企業からの熱意をまとめる就活支援特許


2000年以降に就活をした方であれば、多かれ少なかれ、企業とのやりとりにメールや就活支援サイトのメッセージサービスを利用したことがあるのではないでしょうか。現在は企業のウェブサイトから就活エントリーページを開くことが就活の第一歩になっているケースが主流で、一昔前のような、人事部の担当者が大学を回って学生と面談する、なんていうことが(もちろん行われていますが)少なくなってきたように感じます。

そのような背景にあって、企業と求職者との間のメッセージのやりとりはかなり多くなり、また、複数社の就活を同時進行で行うことが通常ですから、求職者のメッセージボックスは複数企業からのメッセージでいっぱいになってしまいます。

今回紹介する特許は、そのような複数企業からのメッセージを視認性良く整理する技術です。単なるeメールの「ソート」とはどのような違いがあるのでしょうか。詳細を説明していきます。

近年、企業に関する各種情報を求職者に提供するさまざまな就職情報サイトが運営されています。このような就職情報サイトによって、求職者と企業とのマッチングを支援できます。

例えば学生向けの就職情報サイトでは、企業に対して以下のような機能が提供されています。具体的には、各学生が登録した属性(例えば、出身学校、希望の職種等)に基づいて、共通の属性を持つ学生を指定し、指定された学生にメッセージを一斉送信する機能です。各学生は、個人ページにログインした後に、企業から自分宛に送信されたメッセージを確認します。送信されたメッセージは、個人ページにおいて一覧表示されます。

ところが、求人募集を多く獲得したい企業側は、興味ある属性の学生へ何度もメッセージを送信する場合があります。このような企業が多いと、各学生の個人ページに、多数の企業から大量のメッセージが入り乱れて表示されてしまいます。したがって、メッセージの内容を確認しづらくなるという問題が生じます。この種の問題は、学生向けの就職情報サイトだけでなく、転職者向けの就職情報サイトや特定の業種向けの就職情報サイトでも同様に起こります。

発明の目的

そこで、本発明は、企業からユーザ(例えば就職活動中の学生)に送信されたメッセージを整理して表示できる技術(情報提供装置および情報提供方法)を提供することを目的とします。以下に、本発明の概要を説明します。

まず、本発明の情報提供装置は、ユーザの端末と通信できる装置です。

本発明の情報提供装置は、複数の企業からユーザに送信されるメッセージを取得する取得部を備えます。さらに、取得部で取得されたユーザへの送信メッセージを企業ごとにまとめて一覧表示するための情報を、ユーザ端末に出力する出力部を備えます。

画面には、企業別表示エリアを企業ごとに並べて表示します。その企業別表示エリアには、同一の企業からユーザに送信されたメッセージを表示し、メッセージが複数の場合、複数のメッセージに含まれる情報の一部のみ(例えば件名のみなど)を表示します。

次に、本発明の情報提供方法は、ユーザの端末と通信する情報提供装置に実行させる方法です。

本発明の情報提供方法は、複数の企業からユーザに送信されるメッセージを取得するステップを実行します。また、当該ステップで取得されたユーザへの送信メッセージを企業ごとにまとめて一覧表示するための情報を、ユーザ端末に出力させるステップを実行します。

画面には、企業別表示エリアを企業ごとに並べて表示します。

企業別表示エリアには、同一の企業からユーザに送信されたメッセージを表示し、メッセージが複数の場合、複数のメッセージに含まれる情報の一部のみ(例えば件名のみなど)を表示します。

本発明の情報提供装置および情報提供方法を利用すると、企業からユーザに送信されたメッセージを整理して表示できます。

発明の詳細

以下、本発明の就職情報提供システムについて、学生向けの就職情報サイトを提供する例を挙げて説明します。

ただし、本発明の就職情報提供システムは、以下の例に限定されず、転職者向けまたは特定の業種向けの就職情報サイトを提供する場合にも利用できます。すなわち、求人募集に応募する学生、インターンシップへの申し込みを行う学生、または求職者といった、さまざまなユーザ向けの就職情報サイトを提供できます。また、求人する側の企業は、求人企業、または、インターンシップの申込みを受け付けている企業など、さまざまな企業です。

<システム構成>
図1は、就職情報提供システムのシステム構成例を示します。就職情報提供システムは、情報提供サーバ100、企業が情報提供サーバ100にアクセスするために利用する企業側端末200、および、学生(ユーザ)が情報提供サーバ100にアクセスするために利用するユーザ端末300を備えます。図1には、企業側端末200およびユーザ端末300が1つずつ図示されていますが、企業側端末200およびユーザ端末300が、それぞれ複数存在する場合もあります。

【図1】

情報提供サーバ100は、企業の各種情報を学生に対して提供する就職情報サイトを提供します。

本就職情報サイトを利用する学生は、最初に、自分の氏名、住所および連絡先等を入力して利用登録を行います。利用登録が完了した後、学生は、自身に割り当てられたユーザIDおよびパスワードを用いて本就職情報サイトにログインします。ログインすると、学生ごとの専用ページ(マイページ)を利用できます。マイページでは、学生自身の属性(例えば、在学中の学校、就職を希望する地域や業種等)を登録する機能、Webメール機能、希望の企業にエントリーする機能等が提供されます。例えば、Webメール機能を利用することで、学生が企業との間で直接的に連絡することが可能です。

また、本就職情報サイトでは、学生の特定の集団を指定して、メッセージを一斉送信する機能が企業に提供されています。特定の集団は、共通の属性を持つ集団(セグメント)です。具体的には、各学生が自ら登録した属性、または、就職情報サイトでの行動履歴に関する属性に基づいた集団(セグメント)です。行動履歴に関する属性とは、例えば、各学生が就職情報サイトにおいて閲覧したページの履歴(閲覧履歴)、各学生がエントリーした企業、各学生が説明会の予約を行った企業等です。

以下の説明において、共通の属性を有する学生の集団を指定して企業から送信するメッセージを「特定セグメント向けDM(Direct mail)」または単に「DM」と称します。「特定セグメント向けDM」には、メッセージの件名および本文(メッセージの内容)が記載されています。「特定セグメント向けDM」を利用することで、各企業は、求人情報やインターンシップの案内を送信して募集活動を行うことができます。

例えば、大学Aに通っている学生であり、かつ自社の業種に興味を持っている学生という特定のセグメントの学生に対して、各企業は案内を送信して募集活動を実施できます。また、他の例として、就職情報サイトに掲載されている各社の紹介ページのうち自社の紹介ページを最も多く閲覧した学生向け、または、自社の説明会を予約した学生向けに、各企業が案内を送信することもできます。各企業から送信された「特定セグメント向けDM」は、各学生のマイページにおけるWebメール参照画面で表示され、企業から自分宛に送信されたWebメールとして一覧表示されます。

また、学生が見やすいように、各学生のマイページにおいて「特定セグメント向けDM」を整理して表示します。具体的には、「特定セグメント向けDM」を企業ごとにまとめて一覧表示する画面(以下、「DM一覧画面」)を提供します。同一の企業から学生に送信された「特定セグメント向けDM」が複数の場合、DM一覧画面には、複数の「特定セグメント向けDM」の内容の一部のみ(例えば件名のみ等)が表示されます。

企業側端末200およびユーザ端末300は、有線または無線ネットワークを通じて情報提供サーバ100と相互に通信可能です。企業側端末200およびユーザ端末300としては、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、ノートPC、携帯情報端末(PDA)、家庭用ゲーム機器など、通信機能を備えたさまざまな端末を用いることができます。

<機能ブロック構成>
図2は、情報提供サーバ100の機能ブロック構成の一例を示します。情報提供サーバ100は、受付部11、取得部12、出力部13、および記憶部14を有します。記憶部14には、学生の属性等を管理する学生情報DB(Database)、企業に関する情報を管理する企業情報DB、および、各学生向けに送信された「特定セグメント向けDM」を管理するダイレクトメールDBが格納されます。

【図2】

受付部11、取得部12、および出力部13では、情報提供サーバ100のメモリに記憶されたプログラムをCPUに実行させて処理が実現されます。

記憶部14では、情報提供サーバ100が備えるメモリによって、または、通信ネットワークを介して情報提供サーバ100に接続している記憶装置等によって処理が実現されます。

受付部11は、企業側端末200から、「特定セグメント向けDM」の送信を受け付けます。受付部11は、例えば、「特定セグメント向けDM」の送信を受け付けるWeb画面を企業側端末200へ提供します。企業のユーザは、当該Web画面において、送信対象とする学生の属性、メッセージの内容、および送信日時等を設定することで、「特定セグメント向けDM」の送信を情報提供サーバ100に依頼できます。受付部11で受け付けられた「特定セグメント向けDM」は、設定された送信日時になった時点でダイレクトメールDBに格納され、各学生のマイページにおいて参照できるようになります。

取得部12は、ダイレクトメールDBに格納された各学生向けの「特定セグメント向けDM」のうち、所定の学生(DM一覧画面の参照を所望している学生)向けの「特定セグメント向けDM」を検索して取得します。

出力部13は、就職情報サイトをユーザ端末300の画面に表示させる情報を生成して、生成された情報をユーザ端末300に出力します。ユーザ端末300の画面に表示させるべく生成された情報は、例えば、ユーザ端末300(代表例はスマホ)のWebブラウザ上に表示させるためのhtmlデータ、または、ユーザ端末300(代表例はスマホ)にインストールされ就職情報サイトの表示に特化されたアプリケーション(いわゆるアプリ)用のデータです。

記憶部14には、学生情報DB、企業情報DB、およびダイレクトメールDBが格納されます。

図3(a)は、学生情報DBの一例です。学生情報DBには、各学生が就職情報サイトにログインする際に用いるユーザIDおよびパスワードを格納する「ユーザID」カラムおよび「パスワード」カラムが含まれます。また、学生情報DBには、各学生が登録した各種の属性を格納する「属性」カラム、または、各学生が興味のある企業として指定した企業の企業IDを格納する「気になる企業」カラムが含まれます。「属性」は、具体的には、在学中の学校、就職を希望する地域、就職を希望する業種などです。

図3(b)は、企業情報DBの一例です。企業情報DBには、就職情報サイトを利用する企業の識別IDを格納する「企業ID」カラム、企業の会社名を格納する「企業名」カラム、企業の本社所在地を格納する「本社場所」カラム、および、企業の業種を格納する「業種」カラムが含まれます。

図3(c)は、ダイレクトメールDBの一例です。ダイレクトメールDBには、「特定セグメント向けDM」の送信先である学生のユーザIDを格納する「ユーザID」カラム、「特定セグメント向けDM」の送信元である企業の企業IDを格納する「企業ID」カラム、送信日時を格納する「送信日時」カラム、「特定セグメント向けDM」の件名を格納する「件名」カラム、および、「特定セグメント向けDM」の本文を格納する「本文」カラムが含まれます。

【図3】

<画面表示例>

図4は、学生ごとのDM一覧画面の一例を示す図です。図4を用いて、DM一覧画面の具体例について説明します。

【図4】

学生ごとのDM一覧画面には、企業別表示エリア1001が企業ごとに並べられて表示されます。企業別表示エリア1001には、企業名を表示するエリア1011、本社場所を表示するエリア1012、業種を表示するエリア1013、画像を表示するエリア1014、および、「特定セグメント向けDM」を表示するDM表示エリア1015が含まれます。エリア1011、エリア1012、およびエリア1013には、それぞれ、企業情報DBの「企業名」、「本社場所」および「業種」に格納されているデータが表示されます。エリア1014に表示される画像では、企業によって登録された画像(企業のイメージを示す画像)が表示されます。

DM一覧画面には、学生が“気になる企業”として指定した企業に絞って表示するためのチェックボックス1002が含まれています。学生は、チェックボックス1002をクリックすることで、DM一覧画面に表示される多数の企業から、自分が“気になる企業”として指定した企業のみへと表示を限定できます。なお、学生が“気になる企業”については、エリア1011における企業名の前に、強調するためのアイコンを表示する場合もあります。図4の例では、当該アイコンの一例として星マークが表示されています。

DM表示エリア1015には、企業から学生に向けて送信された「特定セグメント向けDM」の件名(または本文など)が表示されます。なお、同一の企業から同一の学生に送信された「特定セグメント向けDM」が複数の場合、DM表示エリア1015には、これらの複数の「特定セグメント向けDM」のうちいずれか一つの件名のみ(例えば、複数の「特定セグメント向けDM」のうち送信日時が最も新しいもの)が表示されます。DM表示エリア1015には、「特定セグメント向けDM」の送信日(送信日時でもよい)が表示される場合もあります。

上記のような機能によって、企業から複数のメッセージを受信した学生ユーザは、企業からの最新メッセージを迅速に参照できます。

また、複数の「特定セグメント向けDM」のうちいずれか一つを表示する場合、DM表示エリア1015には、同一の企業から同一の学生に送信された「特定セグメント向けDM」の件数を表示する場合もあります。例えば図4に示す例では、A株式会社におけるDM表示エリア1015には、“他99+件”と表示されています。これは、学生AがA株式会社から受信した複数の「特定セグメント向けDM」のうち、DM表示エリア1015に表示されていない件数が100件以上であることを意味します。

上記のような機能によって、企業から複数のメッセージを受信した学生ユーザは、企業から送信されたメッセージ件数を把握できます。また、メッセージ件数を表示することで、学生ユーザは、自分に対する各企業からのアピールの度合いを把握できます。よって、メッセージ件数が多い企業に対してエントリーを行う等の検討が可能であるため、求職活動に生かすことができます。

なお、DM表示エリア1015に表示される件数をクリック(または押下)したときに、「特定セグメント向けDM」を一覧表示させることもできます。

ある学生に向けて複数の企業から「特定セグメント向けDM」が送信されたとき、その学生のDM一覧画面には、複数の企業別表示エリア1001が順に並んで表示されます。この場合、企業別表示エリア1001の並び順は、例えば、「送信日が新しい順(または受信日が新しい順)」に表示されます。具体的には、A株式会社から学生Aに向けて送信した「特定セグメント向けDM」のうち最新のDMの送信日が2017/2/4であり、B株式会社から学生Aに向けて送信した「特定セグメント向けDM」のうち最新のDMの送信日が2017/2/5である場合、B株式会社に対応する企業別表示エリア1001が、A株式会社に対応する企業別表示エリア1001よりも上に表示されます。

上記のような機能によって、学生ユーザは、送信日が新しい順に企業ごとに並べられたメッセージを参照することができます。よって、メッセージの視認性がより高まります。

また、他の方法として、企業別表示エリア1001の並び順は、例えば、「「特定セグメント向けDM」の受信件数が多い順」に上から表示されます。例えば、企業AからセグメントX(東京在住の学生)に向けに1つの「特定セグメント向けDM」を一斉送信し、企業AからセグメントY(希望業種がメーカである学生)向けに1つの「特定セグメント向けDM」を一斉送信したと仮定します。この場合、東京在住かつ希望業種がメーカである学生Aは企業Aから2通の「特定セグメント向けDM」を受信し、東京在住かつ希望業種がサービス業である学生Bは企業Aから1通の「特定セグメント向けDM」を受信することになります。

企業別表示エリア1001の並び順は、まず、「送信日が新しい順」に基づいて決定され、同一順位の企業が複数の場合、同一順位である企業間での企業別表示エリア1001の並び順は、例えば、「受信件数が多い順」に基づいて決定されますが、その逆の順序もあり得ます。

また、他の方法として、企業別表示エリア1001の並び順は、例えば、所定のレコメンドアルゴリズムに基づき学生ごとに決定されます。所定のレコメンドアルゴリズムとは、例えば、学生の属性および“気になる企業”に基づいて学生にふさわしい企業を推定するアルゴリズムです。

上記のような機能によって、学生ユーザは、自身向けにレコメンド(推奨)される企業順にメッセージを参照できます。

また、上述した並び順で表示される企業別表示エリア1001は、例えば、学生により指定された検索条件(例えば、企業の本社場所や業種等)に合致する企業に限定されて表示されます。具体的には、上述した並び順によって「企業D、企業C、企業B、企業A」の順に企業別表示エリア1001が並ぶ場合に、学生によって指定された検索条件に合致する企業が「企業A、企業D」であれば、「企業D、企業A」の順に企業別表示エリア1001が表示されます。

上記のような機能によって、学生ユーザは、自身が興味のある企業に関するメッセージのみを参照することができます。よって、メッセージの視認性がより高まります。

企業別表示エリア1001には、その企業にエントリーすることが可能なエントリーボタンをさらに設ける場合もあります。企業別表示エリア1001にエントリーボタンを設けることで、学生はその企業に容易にエントリーできると共に、企業は、学生からのエントリーを受ける可能性を高めることができます。

以上説明した具体例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではありません。具体例に限定されるわけではなく適宜変更することができます。

上記の通り、本発明は、企業からユーザに送信されたメッセージを整理して表示できる技術(情報提供装置および情報提供方法)を提供します。

本発明を要約しますと、本発明は、ユーザの端末と通信するための情報提供装置および情報提供方法です。

本発明の装置及び方法では、まず、複数の企業からユーザへ送信されるメッセージを取得します。次に、ユーザに送信されたメッセージを企業ごとにまとめて一覧表示する画面をユーザ端末に表示させます。そして、同一の企業からユーザへ送信されたメッセージが複数の場合、ユーザの画面には、メッセージの一部(例えば最新のメッセージ、件数、企業の名称など)を表示します。

画面に表示されるメッセージは、メッセージの送信日、または、メッセージの件数に基づいて決定された企業順で表示されたり、所定のレコメンドアルゴリズムに基づいてユーザごとに決定される企業順で表示されたりします。

あるいは、画面には、興味のある企業としてユーザがあらかじめ指定した企業からの送信メッセージのみが表示される場合もあります。

本発明によって、共通の属性を有するユーザに対して企業が送信したメッセージを、ユーザ側で整理して表示できます。

本特許は、株式会社リクルートホールディングスから出願されたものです。「リクルート」は、すでに学生の就職活動の代名詞になっています。近年は、学生の就職活動におけるサービスだけでなく、転職するときの企業マッチングサービスにも注力していると思われます。このようなマッチングサービスは、終身雇用制度がなくなりつつある現代では、ますます盛んに利用されると予想されます。

本特許発明は、新卒就職や転職を問わず、求職者と求人中の企業とのマッチングサービスに関わるアイデアです。本発明は、上記リクルート社が提供するマッチングアプリで利用される可能性があります。就職前における企業情報の活用は大変重要であることから、それら情報をいかに活用しやすくするかという課題に着目して、本特許発明が生まれたと思われます。

発明の名称

情報提供装置および情報提供方法

出願番号

特願2017-070895

公開番号

特開2018-173769

特許番号

特許第6378390号

出願日

平成29年 3月31日(2017/03/31)

公開日

平成30年11月 8日(2018/11/08)

登録日

平成30年 8月 3日(2018/08/03)

審査請求日

平成29年10月31日(2017/10/31)

出願人

株式会社リクルートホールディングス

発明者

渕田 悠子
国際特許分類

G06Q 50/10
G06Q 30/06

経過情報

・本願は早期審査請求され、1回の拒絶理由通知を経て、公開公報が開示される前に特許となりました。


CONCLUSION

新しい選定基準となるか企業の”知財力”

今まではなんとなく有名だから。とか、年収が高そう!安泰そう。など、就活する側もぼんやりしていたと思います。

最近ではいわゆる「ブラック企業」や「働き方改革」などのキーワードが出てきたことによって、企業の「見える化」が求められ各社採用サイトなどで実際の働き方などをアピールすることが増えたかと思いますが、表面的には良さそうに映っても実際勤めると全然違った!などギャップが多いのがリアルなところ。

有名企業や大手企業ならまだしも、中小企業や有名でない企業だとそのギャップは大きいほど長続きせず、退職につながるケースも多いとおもいます。
そこで、働く前になるべく多角的にその企業を分析する事が必要で、新しい視点で企業を見ることで今までに候補に上がってこなかった、「有名じゃないけど、力のある優良企業」が見えるはず。

その中でもやはり我々としてもオススメしたいのが、知財力。

今回解説にもあったYK値はもちろんですが、シンプルに特許庁が公開しているJPlat(リンク)で企業名をたていてみてください。どんな特許を取っているかを調べてみるのも、その企業がどんな事を考えてるか、どんなアイディアを持っているかの一部が見えてきます。

また、ベンチャー企業であればそもそも特許に関心がない、取得してない場合があるので、その場合は「社内技術力」や、主力サービスの独自性などを分析する1つの基準に。

「知財活動が活発」=「未来投資に明るい」と言えますが、注意点としては、単に「特許数」が多いだけでは、評価できないのでその辺りの見極めは重要です。

就活と同時に、そういったスキルも+VISIONにて身に着けると就職後も役立つはず!