芸能人・著名人が発明した特許

vol.8//

芸能人・著名人が発明した特許

目次

INTRODUCTION

新型コロナウイルスの流行が終息をみせない中、在宅ワークなどの浸透により、これまでよりも自宅でテレビを観る機会が増えたという方も多いのではないでしょうか。

平時であれば、夜は職場から疲れて帰ってきて、そのままテレビも見ないという生活を送っていたサラリーマンも、最近はゴールデンタイムのドラマやバラエティを観るなど、自宅での時間をテレビ視聴という形で楽しむことが増えているようです。

テレビでよく見る芸能人をはじめとした著名人は、音楽や美術、文学といった著作物からなる知的財産を常に生み出しているわけですが、その活動において、技術的な成果物、つまり『発明』という知的財産を生み出すこともあります。そしてそれらの発明は、特許出願から特許庁での審査を経て、最終的に特許権として認められることもあるのです。

そこで、今回は芸能人・著名人の持っている特許について、その一部を解説していきます。

秋元康考案の疑似恋愛シミュレーション!?

ほろ苦さを味わえる恋愛ゲーム

ほろ苦さを味わえる恋愛ゲーム

ビデオゲームの人気ジャンルの一つとして、いわゆる「恋愛ゲーム」は古くから根強い人気を得てきました。恋愛ゲームは、恋愛を擬似的に体験することを意図したものですが、典型的な恋愛シミュレーションゲームと呼ばれるジャンルでは、プレイヤーはゲームの主人公(多くの場合、若い男性)を操って、様々なイベントをこなしていき、次々と登場する異性キャラクタの好感度(人気パラメータ)を上昇させていくことで、結果として恋愛を成就させることを目的としています。

ところで、従来の恋愛ゲームでは、異性キャラの誰からでも「告白される」などの恋愛成就ができれば、それでハッピーエンドとなるケースが多かったようです。しかし、実際の恋愛においては、誰でも良いから付き合えれば良い、というものではないですし、「本命」の異性との恋愛成就が最も望ましいのは当然のことですよね。また、実際の恋愛においては、本命じゃない異性から告白されるケースなどもあって、「告白を断る(つまり振る)」という局面も必要で、そのような本命を射止めるためのほろ苦い体験も、恋愛の重要な要素といえます。

そこで、プレイヤーはゲームを始める際に、「本命」を決めるものの、その他の異性キャラからの誘惑や、異性キャラ同士の妨害、好感度パラメータの異性キャラ間での相互作用といった要素を取り入れること、また、プレイヤーのキャラクタに「耐久度」を設定することによって、耐久度が低いときに本命でない異性キャラクタから告白された場合、断ることができずに、なし崩し的に相手の告白を受け入れてしまうという設定を取り入れることで、より実際の恋愛体験に近い、ほろ苦さを味わえるようにしたのです。実際の恋愛は、ハッピーエンドばかりじゃないよ、ということですね。

でも、ゲームに登場するような美しい異性から、次から次へと告白されるような、そんな体験はやはりゲームの中だけなのでしょうね…。

■従来の課題

ビデオゲームの人気ジャンルに疑似恋愛を楽しむことを目的とした「恋愛ゲーム」がある。

恋愛ゲームのうち「恋愛シミュレーションゲーム」と呼ばれる典型的なタイプでは、プレーヤはキャラクタを操り、登場する異性キャラクタに好感を抱かせ、異性キャラクタの好意に関するパラメータ値を増加させて、恋愛を成就することを目的とする。
しかしこれまでの恋愛ゲームでは、登場人物の誰でも良いので「告白される」などの形で恋愛成就ができればグッドエンディングとするケースが多かった。実際の恋愛では、やはり「本命」の異性との恋愛成就が最も望ましいところ、これまでのゲームではこの分類が曖昧なため、「本命」以外の異性との恋愛成就に至った時の「ほろ苦さ」を体感し難いという課題があった。

■本発明の効果

本発明によれば、「本命」キャラクタの好感度を上手く限界に至らせることができたときに、グッドエンディングとする演出を行うことができる。逆に「本命」以外の異性との恋愛成就に至ってしまった時、「うれしいけどちょっと残念」といった恋愛にまつわるある種のほろ苦さを体感できる恋愛ゲームを実現することができる。

■特許請求の範囲のポイントなど

本発明のポイントを下記に示す。

プレーヤキャラクタと、複数の登場キャラクタそれぞれとの間の恋愛に係るシミュレーションゲームをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
・複数のイベントの中から、プレーヤの選択操作に従ってイベントを選択する選択手段、
・プレーヤが選択肢を選択操作することでイベントを実行するイベント実行手段、
・イベントの実行結果に基づいて、登場キャラクタのプレーヤキャラクタに対する好感度を変更する好感度変更手段、
・好感度が所定の限界条件を満たした登場キャラクタを検出する検出手段、
・検出された登場キャラクタが、プレーヤキャラクタに告白し、当該告白に対する応答選択肢をプレーヤが選択操作する告白イベントを実行する、告白イベント実行手段、
・告白イベントにおいて受け容れる旨の応答選択肢をプレーヤが選択操作した場合、エンディング演出を実行するゲームエンディング制御手段、
・前記告白イベントにおいて辞退の旨の応答選択肢をプレーヤが選択操作した場合に、当該告白イベントに係る登場キャラクタのイベントを、イベントの選択候補とすることを禁止する禁止制御手段を有する、プログラム

本発明の更なるポイントとして、
・プレーヤキャラクタの耐久パラメータ値が、更なるダメージを許容することができないほど低い場合に、希望のキャラクタ以外の登場キャラクタによって告白イベントが実行されると、バッドエンディング演出を実行するバッドエンディング演出実行手段、
・複数の登場キャラクタがプレーヤキャラクタに同時期に告白する同時期告白イベントを実行する、同時期告白イベント実行手段、
・前記プログラムを有するゲーム装置、が挙げられる。

■全体構成

本発明における恋愛シミュレーションゲームの概要を図1に示す。

【図1】恋愛シミュレーションゲームの概念図

プレーヤは、「本命」として選択した女子キャラクタ4(4h)との恋愛を成就する為に、いくつものイベント3及び3s(図中の白帯)をこなして女子キャラクタ4の好感度Pgを上げることが必要である。この「好感度Pg」は、登場する全ての女子キャラクタ4それぞれが固有に備えるパラメータ値であって、各女子キャラクタ4が抱くプレーヤキャラクタ2への愛情の度合、恋愛感情の盛り上がりを示す。図中では、好感度Pgの大小をハートマークのサイズで表している。
イベント中に行われるプレーヤキャラクタ2の行動選択入力は、単に当該イベントにおけるストーリ展開を左右するだけでなく、対話相手としている女子キャラクタ4の好感度Pgを増減させる一因となる。 好感度Pgが限界条件にまで達すると、その女子キャラクタ4がプレーヤキャラクタ2に愛の告白をする告白イベント7が発生する。好感度Pg限界条件として最大値である必要はなく、一定の値に達したことを条件としてもよい。
ゲームの目的からすると、「本命」の女子キャラクタ4(4h)とのイベントのみを選択すれば容易にクリアできるはずである。しかし、本実施形態の恋愛シミュレーションゲームでは、「本命」の女子キャラクタ4(4h)とのイベント3をプレイしていると、本命以外の女子キャラクタ4(4a,4b,…,4g)とのイベント5が強制的に発動されることになる。つまりは、本命の女子キャラクタとの恋愛の障害となる妨害イベント5をこなさなければならなくなる。
本発明において、各女子キャラクタ4にはそれぞれ恋愛を成就するまでの過程を描くシナリオが用意されており、シナリオを構成する複数のイベントの中には、女子キャラクタ4とプレーヤキャラクタ2とが何らかの約束(例えば、買い物、何かを貸す約束)をするイベント3と、その約束を遂行するイベント3sとがセットで挿入されている。そして、後者は妨害イベントの発生が予め許可されており、約束を取り付けるイベント3と、約束を遂行するイベント3sとの間で妨害イベント5が発生するように制御される。

■細部

本発明の好感度Pgの増減に影響するファクタの説明図を図2に示す

【図2】好感度Pgの増減に影響するファクタの説明図

好感度Pgの増減に影響する第1のファクタは、イベントプレイにおけるプレーヤキャラクタ2の行動選択結果であり、これは「本命」「妨害」何れの種別の女子キャラクタ4に共通して適用される。第1のファクタは、基本的には、対話相手である女子キャラクタ4の好意が増加するような好意的な内容の選択肢(図2の例では「選択○」) が入力されると、当該女子キャラクタ4の好感度Pgは増加し、反対に好意が低下するような相手を疎遠にする内容の選択肢(図の例では「選択□」)が入力されると、好感度Pgは低下する。それらの中間の選択肢(図の例では「選択△」)では、好感度Pgが変化しない、或いは僅かに増加する。
 第2と第3のファクタは、人物同士の相関関係による影響であり、これも「本命」「妨害」何れの種別の女子キャラクタ4に共通して適用される。
 第2のファクタは、プレーヤキャラクタ2と女子キャラクタ4との近しさや気の合う関係などで言い表される親近感の影響であり、第3のファクタは、仲の良い他の女子キャラクタの好感度Pgの影響である。これらをゲームに反映させるための仕組みとして、本実施形態ではキャラクタの相関図を用いる。

■実施例

本発明における主たる処理の流れを図3に説明する。

【図3】主たる処理の流れを説明するフローチャート

処理部は先ず、プレーヤに「本命」とする女子キャラクタ4を選択させるための本命選択画面を表示する(ステップS2)。 本命選択画面にて、プレーヤは恋愛成就の相手として希望する女子キャラクタ4の選択決定操作を入力する。こうした選択操作入力が検出される(ステップS4)と、処理部は当該選択された女子キャラクタの種別を「本命」、他の女子キャラクタの種別を「妨害」とするように、女子ステータスデータの種別フラグを設定する(ステップS6)。 処理部は、相関データを自動生成(ステップS8)し、生成した相関図に基づいて全ての女子キャラクタ4の変動率Rを算出及び決定する(ステップS10)。
ゲームを開始する(ステップS20)と、処理部は先ずホーム画面を表示する(ステップS22)。ホーム画面が表示された状態で、相関図の変更操作入力を検知する(ステップS24のYES)と、処理部は相関図変更処理を実行する(ステップS26)。
ホーム画面で対話相手の選択操作の入力される(ステップS46)と、処理部は対話相手に選択された女子キャラクタ4のキャラクタ初期設定データからシナリオデータを読み出し(ステップS48)、当該シナリオ進度データで示すポイントからイベントプレイを開始及び再開する(ステップS50)。対話相手の女子キャラクタ4と始めて会話するならば最初のイベントから、既に一度でも会話していれば前回のイベントの次に続くイベントからのプレイとなる。
シナリオの所々に設けられた分岐点では、プレーヤキャラクタ2の行動選択入力が必要になる。イベントプレイが進行し、分岐点となるシーンで行動選択入力が検知される(ステップS52のYES)と、処理部は対話相手の好感度変更処理を実行する(ステップS54)。
ステップS122は、対話相手の女子キャラクタ4の好感度Pgが変化したことが他の女子キャラクタ4に影響を及ぼす事象を、恋愛シミュレーションゲームにおいて仮想的に再現するための処理である。ステップS146は、好感度Pgが限界条件を満たす、つまり気持ちが十分に高ぶった女子キャラクタ4を判定し、告白イベントを実行し、告白の結果に応じたパラメータの変更やエンディングを実行させる処理である。
対話相手の女子キャラクタ4の好感度Pgがそもそも上限に達していない場合などの理由で、告白発生処理でエンディングの実行に至らなければ、処理部は実行中のイベントが終了する(ステップS260のNO)まで、ステップS50~S146を繰り返す。

■展望、結語

以上、本発明によれば、人物間の相関関係という要素をゲームに織り込み、登場キャラクタがどのようにしてプレーヤキャラクタに好意を抱いていくかに多様性をもたらすことができる。結果として、恋愛模様を複雑かつ面白くすることで、従来にはなかったリアルな恋愛シミュレーションゲームが提供される。

■概要

出願国:日本 発明の名称:プログラム及びゲーム装置
出願番号:特願2010-204907
公開番号:特開2012-55644
特許番号:特許第5710187号
出願日:2010年09月13日
公開日:2012年03月22日
登録日:2015年04月30日
出願人:株式会社バンダイナムコゲームス 株式会社秋元康事務所
経過情報:登録済(現在も権利維持)
A63F 13/822 (2014.01)
A63F 13/58 (2014.01)
A63F 13/45 (2014.01)

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。

ちょっとキモいけど画期的?なドクター中松の特許発明

お面にもなり、チラシにもなり、うちわにもなるビラが特許に!

お面にもなり、チラシにもなり、うちわにもなるビラが特許に!

誰でも子供の頃には、ヒーローのお面などをつけて遊んだことがあると思います。お面といえば縁日の屋台などで売られているものを想像されるかもしれませんが、節分などで鬼のお面をつけて怖い鬼の役をやるお父さんも多いのではないでしょうか。
しかし、このようなお面には、当たり前ですが「うちわ」として使う機能や宣伝機能がなく、また、宣伝広告目的で配布される「ビラ」がお面として使える、という機能もこれまではありませんでした。

そこで、お面の目の部分に穴をあけて、指を通せるようにすることでお面を「うちわ」として使えるようにし、さらにお面の裏に宣伝文等を書き込むことでチラシとしても使える工夫をしたものが特許出願され、最終的に特許が認められました。
このお面は紙やプラスチックなどで作られ、うちわとしても使えますが、選挙や商品宣伝等のチラシなど、様々なPR活動に活用できるとのことです。非常にシンプルな発明ですが、発想の転換でいままでにない製品が生まれ、特許権が得られるということに驚きを感じます。

■発明のポイント

<お面ビラ>

本発明は、お面としての機能だけでなく、うちわにもなり、チラシにもなり、宣伝、広告業に新たな媒体として使用可能なものです。

実施例として、A4用紙など、一般的な紙やプラスチックからなるシートに、スター又は選挙立候補者の写真又は絵を描き、お面1とします。ここで、お面を顔に装着したときに目の前が見えるように、写真又は絵の目2に孔2を開けます。ここで、目の位置に開けた孔に指を通すようにすれば、うちわとして使用可能になるというわけです。
また、お面の左下角部分に証紙張り部兼用取っ手とし、これを、お面を顔につける際の取っ手としたことが、特許を取得するポイントとなっています。

【図1】本発明実施例の正面図

【図2】本発明実施例の指を入れてうちわとして使用する図

【図3】本発明をA4角型とした実施例

本発明は、お面1の目の部分に開けた孔2に指6を通すことにより、うちわとして使用することができることを第1の特徴としています。

【図4】本発明角下方を角型とした実施例

お面1は、顔の輪郭に沿ってカットされている必要はなく、長方形の紙に印刷したままでも構いません。これは、以降に述べる裏面宣伝文などを記載する場合に便利なものとなるでしょう。

【図5】本発明裏面宣伝文の実施例

お面の下左部を角3にした場合には、この部分を指で持って、お面を顔につけることができます。また、角3に選挙用の証紙を貼るためのスペースにもなります。

【図6】本発明実施例の正面図

お面1の裏側には、選挙のチラシや、商品のPRや図などを印刷することができます。このような、広告宣伝媒体としての機能を持たせることが、本発明の第2の特徴となっています。

お面1の下方の左右を角3、4とすることで、この左右角を両手で持ってお面を保持することもできます。また、角3、4のいずれかに証紙を貼り、スペースを兼用することもできます。

以上のように、本発明は、単なるお面としての機能だけでなく、宣伝文句も書き込むことができ、さらにはうちわとしても使うことができる新しい媒体として、広くPR活動に利用可能なものといえます。

■概要

経過情報:本発明に関する特許出願は、一旦は拒絶査定となったものの、拒絶査定不服審判において2014年6月24日に特許審決を得ました。その後2014年8月1日に特許登録がなされ、現在も登録は維持されています。特許存続期間の満了日は2030年6月28日となっています。

ロバートの秋山氏が発明した「あの小道具」が特許に!

単純だけど意外性のあるお笑い小道具

単純だけど意外性のあるお笑い小道具

ロバートといえば人気のお笑いトリオですが、そのメンバーである秋山氏が発明し、ロバートの代表的なネタで使われるTシャツの小道具について紹介します。この特許出願、一旦は特許庁の審査で拒絶査定となったものの、拒絶査定不服審判の審理で拒絶査定を覆し、特許権を取得したという苦難の特許です。
さて、お笑いに限らず、舞台等において、自分の顔を瞬時に別人の顔等に変えることで観衆を楽しませるという芸は、古くから行われてきました。こうした芸において、従来は他人の顔等をかたどった絵や写真等から作成したお面を用意しておき、これを予め手に持っておくとか、近くにおいておくなどして、必要なときに取り出すようにしていました。 しかし、お面のような小道具を手にすることなく、顔を変化させることができれば、観衆に更なる意外性を感じさせ、より一層の面白さを感じさせることができると考えられます。

そこで、Tシャツなどのプルオーバー型の上着の前身頃の裏地に人物の顔をかたどった像が上着の上下方向に対して倒立状態で設けられ、前身頃の表地には、裏地に描かれている像の有する目の位置を示す目印が付けられ、この目印は像の目の並び方向に延び、かつ、像の目の並びの位置と合致した位置に設けられ、目印の両端はそれぞれ像の輪郭と対応する位置にあるようにしました。

そして、このような仕掛けが施されたTシャツを着て観衆の前に現れ、Tシャツを脱ぐ動作をすることで、裏地に施された像がちょうど着用者の顔に相当する位置に現れ、瞬時に顔を別人の顔に切り替えることができるというわけです。さらに、この動作は単にTシャツを脱ぐ動作であるため、観衆はシャツを脱いで胴部が露出されるという結果は予測できるものの、顔が変わるという効果は予測することができないため、より一層の面白さを味わうことができるというわけです。

このようなお笑いの小道具であっても、「新しい技術」として着目し、新規性や進歩性等の特許要件を満たすことで、特許権を取得することができるということなのですね。

■従来の課題

お笑い芸人は、自分の顔を瞬時に別人の顔等に変えることで観衆を笑わせたり驚かせたりする芸を披露する場合があります。

この場合、従来、他人の顔を描いた絵や写真等で作成したお面をあらかじめ手に持ったり近くに置いたりして、必要なときに取り出すようにしていました。よって、最初から何か仕掛けがあることが観客にバレてしまう可能性があります。

本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、お面のような小道具を手にすることなく顔を変化させることができ、観衆に意外性を感じさせて、さらに興趣を高めることができる小道具を提供します。

■本発明の効果

本発明は、顔を別人の顔に一瞬で変化させ、観衆を笑わせたり驚かせたりできる小道具に関するものです。本発明によれば、自分の顔を一瞬で別人の顔に変えてみせることができるため、観衆の興趣をさらに高めることができます。

■特許請求の範囲のポイントなど

本発明の特許請求の範囲における概要を説明します。本発明の小道具は、顔を別人の顔に瞬時に変化させるためのものです。詳細は、後で詳細にご説明しますが、本発明によって、観客の笑いや驚きの感情を引き出すことができます。

■全体構成

1番目の特許請求の範囲(特許第6366202号)には、「小道具」の発明が記載されています。また、2番目の特許請求の範囲(特許第6249501号)には、「小道具」の発明と「小道具の使用方法」の発明が記載されています。いずれも似通った内容となっています。

まず、1番目の特許発明(特許第6366202号)について説明します。
本発明の「小道具」は、上半身に着用する服型の小道具です。
詳しく説明しますと、本発明の「小道具」は、プルオーバー型の上衣(上着)の前身頃(前半分)の裏地に、人物の顔をかたどった像が上下反対に描かれており、前身頃(前半分)の表地に、その像の目の位置を示す目印が描かれています。その目印は、その像の目の並び方向(横方向)に並び、裏地の像の目の並び位置と一致する位置に描かれており、それら目印の両端は、それぞれ像の輪郭と対応する位置にあります。 上記の通り、本発明の「小道具」は、頭からかぶって着る衣服(前にボタンを使った開きがないタイプ)を利用した小道具であり、衣服の内側に顔が描かれたものです。

次に、2番目の特許発明(特許第6249501号)について説明します。
本発明の「小道具」は、上記の目印がない点で異なりますが、上記の1眼目の特許の「小道具」と似ています。
詳しく説明しますと、本発明の「小道具」は、プルオーバー型の上衣を着用する使用者によって、使用者の左右の腋が露出するまで裾(スソ、上着の下部分)が引き上げられて、上衣の前身頃(前半分)と後身頃(後半分)とがそれぞれ裏返えるように使用されます。また、上衣の前身頃の裏地には、左右の袖ぐり(そでぐり)の下端同士を結ぶライン(わきの下同士を結ぶライン)を上下にまたぐように、人物、動物及びキャラクターのうちのいずれかの顔をかたどった像が上下反対に描かれています。そして、使用者が両手で裾を引き上げて、使用者の顔の前で像を上下正しく観客に見せた後、手を引き上げた状態を維持して像が使用者の顔の前にとどまるように設計されています。
上記の通り、本発明の「小道具」は、衣服の内側を裏返して見せたときに、ちょうど良いところに顔が出現するように設計されたものです。

また、2番目の特許発明(特許第6249501号の「方法」は、以下の通りです。
プルオーバー型の上衣の前身頃の裏地のうち左右の袖ぐりの下端同士(わき同士)を結ぶラインを上下にまたぐように、人物、動物及びキャラクターのうちのいずれかの顔をかたどった像が、上下反対で描かれた小道具を使用する方法です。詳しくは、上衣を着用する使用者によって、使用者の左右の腋を露出させ、上衣の前身頃(前半分)と後身頃(後半分)がそれぞれ裏返えるように裾部を引き上げます。これにより、使用者の顔の前に、像が、使用者から見て上下正しく現れた後、使用者が裾部を引き上げた状態を維持することで、像が使用者の顔の前にとどまるようにします。

■細部

本発明の特許請求の範囲には、さらに、下位概念の発明として、以下のような内容の発明も記載されています。上記「小道具」は、好ましくは以下のように設計されています。
・像は、絵又は写真である。
・上衣は、Tシャツ、トレーナー、スウェット及びセーターのうちのいずれかである。

このような発明を実施するための具体例について、以下に説明します。

■実施形態

図1は、本発明の小道具1の一例です。小道具1は、プルオーバー型(かぶり型)の上衣10を基にしています。上衣10は前身頃11、後身頃12、襟部13等を有しますが、さらに、左右の長袖部14,14を備えた長袖型の上衣であってもかまいません。この例では、上衣10はトレーナーです。

【図1】

【図2】

図1及び図2(a),(b)において、小道具1は、上衣10の前身頃11の裏地(以下、前身頃裏地11Bといいます)に、人物の顔の像(正面像21といいます)を、上下方向反対にして備えています。図2(b)は、上衣10の前身頃11を裏地(前身頃裏地11B側)から見た図であり、表裏を裏返した上衣10の前身頃11を正面から見た図に相当します。

正面像21は絵や写真等です。上衣10の前身頃裏地11Bに直接描かれ、貼り付けられ、プリントされ、または、縫い付けられています。正面像21の具体的な位置は、例えば、衣10の左右の袖ぐりの下端14G同士を結ぶラインLを上下にまたぐ位置(ラインを覆う位置)です(図1)。

図1において、上衣10の前身頃11の表地(前身頃表地11Aといいます)には、正面像21が有する左右の目21Eの位置を示す目印Mkがあります。図1に示すように、例えば目印Mkとして、複数の星が横一列に並んで描かれています。この星の横一列の並びが、正面像21が有する左右の目21Eの並びに相当します(図2(a),(b))。好ましくは、正面像21が有する左右の目21Eの並びの位置と合致するように、目印Mkが存在します。ただし、目印Mkは、正面像21が有する目21Eの位置が分かるように存在していればよいため、必ずしも左右の目21Eの並びの位置に正確に合致しなくてもよいのです。

図3に示すように、小道具1を使用する者(以下、使用者30といいます)は、上衣10を着用します。使用者30が上衣10を着用すると、使用者30の胴部34の前方に前身頃11が配置され、胴部34の後方に後身頃12が配置されます。そして、この状態から、使用者30が左右の手35,35で前身頃11の裾部11sをつかみ、さらに、左右の腋36,36を露出させるように裾部11sを勢いよく引き上げ、前身頃表地11Aにある目印Mkを自分の目に合わせます(図4)。すると、前身頃11と後身頃12はそれぞれ裏返って、使用者30の頭部31が上衣10によって覆われます。しかも、胴部34が露出した状態となります。この一連の動作は、人が通常、着用していた上衣を脱ぐ際の動作と同じです。

【図3】

【図4】

上記のように、使用者30が上衣10の裾部11sを引き上げて左右の腋36,36が露出し、前身頃11及び後身頃12がそれぞれ裏返ると、前身頃裏地11Bにある正面像21が、使用者30の顔の前に、上下正しく現れます(図4)。このため、使用者30が上記一連の動作を行うと、使用者30の顔が瞬時に別人の顔に変化したように見え、観衆は面白味や驚きを感じて興趣を覚えます。

上衣10は、日常的に人が身に着けるものですから、これを着て使用者30(芸人)が観衆の前に現れても不自然ではありません。そして、使用者30が上衣10を脱ぐ動作を始めたとしても、その動作によってまさか顔が変わるとは思いません。このため、観衆は意表をつかれ、意外性を感じて、より興趣を覚えます。

上記の一連の動作において、使用者30は前身頃裏地11Bに描かれた正面像21はまったく見えないのですが、使用者30が見ることのできる前身頃表地11Aには、正面像21の目21Eの位置を示す目印Mkがあります。よって、使用者30は目印Mkを自分の目に当てる感覚で裾部11sを引き上げることで、正面像21を自然な位置(使用者30の顔と置き換わった位置)で保持することができます。

以上説明したように、本実施の形態における小道具1には、プルオーバー型の上衣10の前身頃裏地11Bに、人物の顔をかたどった絵又は写真の正面像21が、上下逆になって描かれています。また、前身頃表地11Aに、正面像21の目21Eの位置を示す目印Mkがあり、使用者30が、目印Mkを自分の目に合わせるように裾部11sを引き上げて上衣10を脱ぐ動作を行うと、上衣10の前身頃11を裏表逆にして使用者30の顔の前で保持できます。これによって、観客から見れば、使用者30の顔の前に、別人の顔21が現れます。このため観衆は、使用者30の顔が突然変化したことに対して興趣を覚えるうえ、上衣10を脱ぐという行為から顔の変化が生じることにも意外性を感じて、さらに興趣を覚えます。
このように本実施の形態における小道具1によれば、自分の顔を瞬時に別人の顔に変えてみせるときに、観衆の興趣をより一層高めることができます。

以上のように本発明の一例を説明しましたが、本発明の範囲は上述の例に限定されません。例えば、上述の例では、上衣10がトレーナーでしたが、上衣10はプルオーバー型であれば制限されません。従って、長袖部14,14を有する他の上衣10、例えばスウェットやセーター等であってもよく、長袖部14,14の代わりに半袖部を有したTシャツや、袖のないタンクトップシャツ等であってもよいのです。ただし、使用者30が上衣10を着用した状態において、上衣10の裏地側に何か(ここでは正面像21や背面像22)が描かれていることが観客に気付かれることは好ましくないため、上衣10には裏側が透けて見えない生地のものを採用します。あるいは、上衣10の表地に別途布地等を縫い付けておいたり(この場合は布地等の表面に目印Mkを設けるようにします)、正面像21や背面像22とは全く無関係の図柄や写真等をプリントしておいたりします。

また、上述の例では、正面像21に描かれるのは人物の顔でしたが、その他、動物やキャラクター等の顔でも可能です。すなわち、小道具1は、プルオーバー型の上衣10の前身頃裏地11Bに、人物、動物及びキャラクターのうちのいずれかの顔をかたどった像(正面像21)が上衣10の上下反対で描かれていればよいのです。
また、上述の例では、上衣10の前身頃裏地11Bにおいて、左右の袖ぐりの下端14G同士を結ぶラインLをまたぐように正面像21が存在しましたが、正面像21は前身頃裏地11Bにあればよく、その位置は特に限定されません。
また、上述の例では、目印Mkは、複数の星が横一列に並んだデザインでしたが、これは一例に過ぎません。すなわち、目印Mkの星の数はいくつでもよく、星でなくてもよく、他の図形や文字当であっても構いません。横方向に延びた直線や枠の図形等であってもよいです。目印Mkは前身頃11を前身頃表地側から見たときにデザイン感があるものでもよいのです。
また、本発明の小道具は見掛け上、Tシャツ、トレーナー、スウェット及びセーター等の上衣に見えるため、日常的な上衣として使用することが可能です。よって、本発明の小道具をTシャツ、トレーナー、スウェット及びセーター等の上衣として販売したとしても、本発明の構成を備えているものは、本発明の範囲に含まれます。

以上のように、本発明は、自分の顔を瞬時に別人の顔に変えてみせるときに、観衆の興趣をより一層高めることができる小道具を提供します。

■展望、結語

以上ご説明しましたように、プルオーバー型の小道具によって、観衆を笑わせたり驚かせたりすることができます。上述したような工夫が詰め込まれた本発明は、費用をあまりかけずに作ることができ、意表をついた芸(ネタ)ができる注目できる発明です。

■概要

出願国:日本 発明の名称:小道具
出願番号:特願2016-172346(P2016-172346)
特許番号:特許第6366202号(P6366202)
出願日:2016年09月03日
公開日:2018年03月08日
登録日:2018年07月13日
出願人:株式会社エース・マーチャンダイズ
経過情報:本出願は、審査において拒絶査定となりましたが、拒絶査定不服審判を請求し、審理を経たあとに特許査定となり、特許となりました。
その他の情報:本権利は抹消されていません。存続期間満了日は2036年9月3日です。
IPC:A41D

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。

INTERVIEW

ライター

中尾さとみ


経歴
高校時代アメリカへ留学、カリフォルニア州の公立高校卒業。
帰国後、短期大学に進学し、アーチェリー部所属。卒業後、都市銀行に就職。
結婚後、ブラジルのサンパウロに数年滞在。
帰国後、広告代理店にて飛び込み営業、パソコンスクールにて受付事務、レストランにて調理補助、ショッピングモール運営会社にて営業事務などを経験。
子育てが一段落後に発明学会に入会。現在、主婦。
入会から2年後に発明品が商品化。

——特許の概要 (商品説明、特許の活用方法など)をお聞かせください。

まだ出願中で公開されていませんが、商品名は【災害用簡易安眠ハウス】、災害時に避難所で使用する段ボール製簡易就寝用品。
就寝時にボックス部分が頭部を覆う形になり、下に敷く就寝シートと組み合わせて使用します。

ボックス部分に頭部から胸元が囲まれて、遮光、防塵、防寒などの効果により、安眠しやすくなります。また寝顔を他者に見られる心配は無く、プライバシーが守られます。

感染症が流行していますが、頭部を囲まれることで、飛沫感染を防ぎやすい形になっています。
ボックス内では、マスクを外すことも出来るので、快適に過ごすことができます。
付属の就寝シートを敷くことで、硬い床の上でも安心して眠れます。
組み立ては60秒で出来るような簡単なものなので、スタッフは配るだけで、避難者自らが組み立ててすぐに使えて大変便利です。

整然と並べられるので、ソーシャルディスタンスを容易に保てます。
保管時は約5センチと薄型なので、災害に備えて大量保管に適しています。
段ボールを使用しているのでリサイクルが可能、また手ごろな価格設定となっています。

日本は現在でも雑魚寝が主流の避難所生活を余儀なくされており、他の先進国から大きく遅れています。実際に避難した方から避難所は雑魚寝による様々な問題があり、ストレスが多く、とても安眠出来る環境ではないと聞いています。 この商品を使うことで、これまで困っていたこと(寝るときに頭上のライトが眩しい、埃が舞う、寒い、周りが気になる、プライバシーが無いなど)の問題点を解決し、健康維持に必要な安眠がしやすくなると思います。ぜひ全国の避難所で活用して頂きたいです。

——アイデアのきっかけとなったエピソードをできるだけ具体的にお聞かせください。
きっかけは、今から20年以上も前の話。旅行先のホテルで幼い子供を先に寝かせた時のこと。
部屋を暗くして寝かせた後、そのまま暗い部屋で過ごすことがとても不便でした。眠っている子供の頭だけを囲って暗く出来たら、大人は普通に過ごせて便利なのに、と思いました。

その後かなりの年数が経ちましたが、そのような商品を見かけることはなかったので、発明学会のコンクールに応募し、発明学校で発表しました。その際、災害用に使えたら良いのではないかとのアドバイスを頂き、避難所用に特化して考えました。

当初はワイヤーを組み、そこに布地を縫い付けてドーム型で作っていましたが、災害用にと徐々に形を変化させながら試作を繰り返しました。備蓄を考えて薄型折り畳み、簡単組み立て、頑丈、量産できることなどを考えたら、材料は段ボールが一番適していることに気付きました。形も、当初のドーム型から、四角い箱型へと進化を遂げてとてもシンプルな形になりました。

——日頃の考え方やモノゴトに取り組む姿勢など、自分のどのような部分がアイデア発案につながったと思われますか?
普通に生活をしていて不便だと思うことを、どうしたら改善できるのかと考えることでアイデアが浮かびます。仕事、家事、趣味など様々な経験をすることで、よりアイデア発案の機会は広がると思っています。

——アイデアの実現(開発)に関して、一番大変だったことはどんなことですか?どうやって乗り越えていったかなどエピソードもお聞かせください。
災害時のテレビ中継に、各地の避難所で人々が雑魚寝をしている姿が映し出されるのを目の当たりにして、早く普及させて、雑魚寝はもうやめて貰いたいという思いに駆られました。

コンクールに応募したものの商品化には至らなかったので、早く商品化を実現したいと思い、発明学会に相談しました。その時に、同じような商品を販売している会社を探して、提案をしてみたらとのアドバイスを頂きました。そこで、災害用品を製造販売している会社を探して、その会社の方針を調べて、アイデアに共感してくれそうな会社に問い合わせをしてみることにしました。出来れば実際に訪問をしてご提案をしたかったのですが、コロナ禍でしたので、先ずはお電話をかけてご担当者の方に打診をしてみました。

会社により個人のアイデアを商品化契約しないところもあると思いますが、良いアイデアがあれば検討してくれるところもあるはずと希望を持っていました。

商品化を決めてくださった奈良県の株式会社タカオカのご担当の方は、以前被災地に出向きボランティアや商品の寄付をされており、すぐに私の熱い思いに共感してくださりました。
何度かお話をしていくうちに、サンプルを作成してくださることになりました。送って頂いたサンプルの大きさや段ボールの厚みなどをお話合いしながら、商品化に向けてご相談をさせていただきました。
本来こちらから出向くところですが、コロナが流行していたことと遠方ということ、先方のご厚意もあり、全て電話とメールでやり取りをさせていただきました。コロナ禍ゆえの、とても特殊なケースだったと思います。

株式会社タカオカのご担当者の方に、初めてご連絡をしてから商品化決定まで2週間と驚くほど、早い決断をしてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。
商品化の契約において、発明学会のサポートがなければ個人では何も分からず難しかったと思います。契約後も、随時サポートをして頂いており、とても心強く感じています。

——新しいモノゴトを生みだすためのアドバイスをするとしたら、一番大切なことはどのようなことだと伝えますか?
最初は、自分が不便だと思う出来ごとがきっかけで、アイデアを思いつきました。 そのアイデアが、人や世の中のためになることを考えることが一番大切なのだと思うようになりました。

——企画のスタートから特許取得に至るまで、どれくらいの期間がかかると想定されていましたか?また、実際にはどれくらいの期間が必要でしたか?
スタートをした時は、予想も出来ませんでした。
特許出願に関しては、当初はわからないことだらけでした。実際にコンクールに応募してから、 何度も試作品を作り直して特許出願書類を仕上げるまで、1年以上は掛かりました。 特許取得に関しては、まだ出願をしている状態です。

——特許取得に至るまで、どれくらいのコスト(開発・特許申請の金銭面、労力面)が必要でしたか?
特許出願書類を自分で書きたいと思い、発明学会の無料相談に何度も通い、書き方のアドバイスを頂きました。時には、郵送でも無料相談をお願いできたので大変助かりました。 その際に、発明学会発行の「アイデア権利化のガイドブック」を参考にさせて頂きました。

書き始めてから少しずつ修正をしていき、出願するまでに数か月かかりました。自分1人だけで全て書きあげることは難しかったと感じました。 出願に印紙代14,000円と電子化手数料が掛かりました。(基本料1,200円+700円×枚数) 翌年の商品化決定時に国内優先権の申請をしており、印紙代14,000円と電子化手数料が掛かりました。

今後、取得に向けて審査請求の手続きが必要です。その際に、市町村民税非課税者は減免制度があるそうなので、ぜひ活用したいと思います。

——その他、今回の特許をめぐるウラ話など、お聞かせください。
特許はまだ出願段階ですが、商品化が決まってから新聞に掲載されたり、テレビに出演したりとメディアに出る機会があり、〚発明家〛として取り上げられるようになりました。それにより、周りの方々から発明の活動を応援して頂けるようになり、嬉しく思っています。

商品化が決まった時はコロナ禍で、先方の会社の方とは、全て電話とメールでのやり取りでした。 その後、公開調印式が予定されておりましたが、コロナの影響で中止となってしまいました。 コロナ感染が収束しないので、商品化から何か月も経過した現在も、まだ直接ご担当の方と一度もお会いできていません。いつかお会いできる日を心待ちにしているところです。

発明品に関しては当初から商品化を目指してきましたが、実は商品化はゴールではなくて、そこからがスタートだと感じています。その商品を活用して貰うことが大切なので、商品化後は、自分で県内の市役所にご提案回りに行っています。実物をお見せすることで、ようやくそのものを理解して頂けることがあり、お話を聞くことで現状を知ることが出来ます。予想以上に雑魚寝という根強い考え方が強く、また導入には予算、備蓄倉庫等の問題があると分かりました。 どうしたら多くの都道府県に導入されて雑魚寝を減らすことが出来るのか、リサーチした現状を踏まえつつ、その都度ご提案内容を検討しています。 少しでも人の目に触れるように、防災館への展示を調べたり、公的施設の帰宅困難者向け備品閲覧パンフレットに加えて頂いたりしています。

商品化を決めてくださった会社に恩返しが出来たらと思い、営業活動を継続していきたいと考えています。

——今回の特許の未来への展開・発展、もしくは、新たな企画の方向性など、これからの活動について、公開できる範囲でお聞かせください。
災害用簡易安眠ハウスは、避難所の人々が少しでも安心して過ごせて、ストレスが減り、安眠できるようにと考えたものです。日本は、まだまだ雑魚寝が一般的で、避難所生活のレベルが他の先進国に比べてかなり遅れています。早く雑魚寝という劣悪な状態を脱して、避難所環境が改善されるようにと願って、この商品のご提案を続けています。

また、災害が起こってからの備品の搬入は極めて難しいそうなので、日頃から災害に備えて備蓄をしていくことの大切さを理解していただきたいと思っています。

役所にご提案を続けて、最終的には日本中の避難所で雑魚寝がなくなることが目標です。
また、帰宅困難者向けに、企業にも備蓄をご提案して、災害に備えて頂きたいと考えています。

今後は、生活用品のアイデアも新たに商品化が出来るように進めていきたいと思っています。 自分のアイデアで世の中が便利になり、人々に活用して喜んでいただけたら嬉しい限りです。

取材協力:
株式会社タカオカ https://takaoka-bosai.com/
一般社団法人 発明学会 https://www.hatsumei.or.jp/