テレワークで進む!?AR・VR技術たち〜体験編〜

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テレワークで進む!?
AR・VR技術たち〜体験編〜

目次

INTRODUCTION

日本ではCOVID-19(新型コロナウィルス感染症)の影響からようやく回復に向かっておりますが、まだまだコロナに対する注意が必要だと言われております。
政府は「新しい生活様式」を提言し、日本を含む各国ではソーシャルディスタンスなどの習慣が定着しつつあります。その他にも、政府は、ZOOMを初めとするビデオチャットを用いて、在宅で仕事をするテレワークや飲み会などを行うことを推奨しています。 このような生活様式の変化を機会に、人々は、ライフスタイルや価値観そのものの変化を感じてるのではないでしょうか?
今後、ネットサービスを利用するた分野は、さらに盛んになると予測されております。 特に、ZOOMなどのビデオチャットよりも、”より近くに、よりリアルに”感じることができるVR(仮想現実)AR(拡張現実)が再注目されています。


そこで、今回の+VISIONでは、その場にいなくてもワクワクする体験を味わうことができる「VR・AR」の新技術に着目し、その一部を解説していきます。

仮想引力

リアルな宇宙を身近に!

リアルな宇宙を身近に!

夢とロマンに満ち溢れた宇宙空間、一度は旅をしてみたいと思ったことのある方も多いではないでしょうか?
現在では「Virtual Reality(仮想現実)」技術の登場により、宇宙をいるかのような体験ができるゲームも多く発売されています。

しかし現在の仮想宇宙空間では、遊んでいるうちに迷子になりやすいという難点ありました。

そこで、よりリアルな立体感とメリハリのある宇宙体験の実現という事で、「プログラム及びコンピュータシステム」が発明されました。本発明のポイントは、仮想宇宙空間の軸となる平面とプレイヤーとを紐付けられるようになった事。

また、仮想宇宙空間自体の回転が制御できるようになる事で、プレイヤーそれぞれの間隔と遠近がより明確に、またプレイヤー自身の操作もより簡単になりました。この発明によって、宇宙体験という夢への旅がよりリアルに、そしてより身近なものとなる事でしょう。

■従来の課題

仮想現実(VR)ゲームにおける「ゲーム空間の設定」は様々である。

例えば、ゲーム空間が「市街地、軍事施設及びその周辺地形」である場合には、これ以上先には行けない境界が設定されており、プレイヤーは地形を利用した作戦を検討する。

しかしながら、ゲーム空間が「宇宙或いは宇宙相当空間」である場合、地面や床面が無く、周囲の背景が似ており、空間の奥行きが深いため、自分の位置や姿勢を掴みにくく、自分がどっちにどれだけ移動したか、どういった姿勢でいるかが分かりにくい。このように相対位置の把握や方向感覚が不足することで、キャラクターがゲーム空間に散らばり過ぎる場合がある。結果として、市街地戦のような頻繁な攻防は起こらず、散漫なゲーム展開になってしまうという課題があった。

■本発明の効果

本発明によれば、ゲーム空間の設定を宇宙空間或いは宇宙相当空間とした場合に生まれる上記問題が低減される技術が提供される。具体的には、プレイヤーが自身の操作キャラクターの移動や姿勢のコントロールが容易にできるようになる技術、及びキャラクター同士の過度な分散によってゲーム進行が阻害されるのが防止される技術が提供される。

■特許請求の範囲のポイント

本発明のポイントを下記に示す。

「仮想3次元空間の画像を生成してゲームを実行させるためのプログラム及びコンピュータシステムであって、
・仮想3次元空間に、キャラクターが通過可能な基準面を設定する基準面設定手段としてプログラム及びコンピュータシステムを実行させ、
・キャラクターそれぞれに対して、基準面のどちら側に位置しているかに関わらず、基準面に近づける方向の力を作用させる助力制御を行う助力制御手段を有する、プログラム及びコンピュータシステム。

本発明の更なるポイントとして、
・助力制御手段は、基準面からの距離に応じて作用させる力の大きさを変化させる
・助力制御手段は、助力制御によるキャラクターの移動速度を、プレイヤーの移動操作入力に従ったキャラクターの移動速度の1/5以下とすること、が挙げられる。

■全体構成

本実施形態におけるゲームシステムの一例を図1に示す。

【図1】本実施形態におけるゲームシステムの一例

本実施形態のゲームシステム1000は、仮想現実体験(VR体験)をユーザーに提供する装置であり、VRゲームをマルチプレイで実行するための演算処理を担い、プレイに必要な入出力を実行するコンピュータシステムである。具体的には、プレイヤーが操縦席に着座して仮想のパイロットキャラクターとなり、仮想のロボット兵器や戦闘機といった乗り物を、宇宙空間という設定の仮想世界で操縦するVRゲームを提供する。
ゲームシステム1000は、現実世界におけるプレイエリア3と、プレイエリア3を撮影するトラッキングセンサユニット1007と、プレイエリア3に配置された複数の座席1010と、各座席1010に着座するプレイヤー2に対応付けられるVRゴーグル1200と、ゲーム制御装置1100を有する。


本実施形態では、トラッキングセンサユニット1007がカメラユニットを有する構成とし、複数のトラッキングセンサユニット1007が、プレイエリア3をステレオ撮影できるように配置されている。そして、各トラッキングセンサユニット1007は、VRゴーグル1200を撮影する。撮影された画像データは、ゲーム制御装置1100に出力される。撮影された画像データには、VRゴーグル1200に設けられた発光式のトラッキングマーカーが写されており、これを追跡対象としゲーム制御装置1100にて画像処理を行うことで、プレイエリア3内におけるVRゴーグル1200の位置と姿勢とを検出する。


座席1010には、ゲーム制御装置1100にて駆動制御されるバイブレータ1014が内蔵されており、ゲーム演出としての振動や、プレイヤーへの注意を促すことを目的とした振動を座席別に与えることができる。


ゲーム制御装置1100は、ゲームシステム1000に含まれるコンピュータシステムの1つである。本実施形態のゲーム制御装置1100は、本体装置1101と、タッチパネル1108とを有する。そして、本体装置1101は、媒体読取装置1110と、制御基板1150とを搭載する。


タッチパネル1108は、ゲームの紹介や操作説明等のアトラクション映像の表示と、プレイヤーの受け付け等の操作入力に用いられる。
媒体読取装置1110は、プレイヤー媒体の記録方式や通信方式に対応して、プレイヤー媒体に直接或いはプレイヤー媒体を介して、データを書き込んだりデータを読み出したりすることのできる装置である。

■細部

本実施形態では、第1に、プレイヤー操作キャラクターの過度な分散によりゲーム進行が阻害されるのを防止する「分散防止技術」と、第2に、キャラクターの移動や姿勢が容易にできるようになる「操作性向上技術」が適用されている。これら技術につき以下に詳しく説明する。

<分散防止技術>

本実施形態における分散防止技術の原理を図3に示す。

【図3】分散防止技術の原理の説明図

分散防止技術の要素の1つにゲーム空間の中に基準面8を設けることが挙げられる。  基準面8は、ゲーム空間中に設定された任意の点を通って、ゲーム空間6を横切る平面である。基準面8は、ゲーム内のオブジェクト(プレイヤー操作キャラクター4を含む)の移動は妨げない演算処理上の存在であり、基本的には不可視の設定であって、各オブジェクトは基準面8を通過することができる。よって、ゲーム画面中には通常は表示されない。但し、ペナルティを伴う所定の可視化操作をすると一時的に表示させることができる。
ゲームが開始されると、各プレイヤー操作キャラクター4に対し、基準面8のどちら側に位置しているかに関わらず、プレイヤー操作キャラクター4を基準面8に近づけるように作用する仮想吸引力Fsを作用させる。これを「助力制御」と言う。
仮想吸引力Fsは、プレイヤー操作キャラクター4の代表点から基準面8までの距離Lが大きくなるほど大きくなるように決定される。但し、仮想吸引力Fsには所定の最大値、最大吸引力Fsmaxが設定されている。

<操作性向上技術>

本実施形態における、操縦性向上の原理を図4に示す。

【図4】操縦性向上技術の原理の説明図

本実施形態では、プレイヤー操作キャラクター4には6つの自由度が与えられる。すなわち、プレイヤー操作キャラクター4の前後・左右・上下の座標系X、Y、Zは、ゲーム空間座標系に対して移動自在であり、各軸周りの回転も自在である。結果、プレイヤー操作キャラクター4は、仮想3次元空間内で任意の方向に移動し、任意の姿勢を取り得る。


これに対して、仮想カメラの座標系Xm、Ym、Zmの回転については制限がかかる。結果として、ゲーム画面では、プレイヤー操作キャラクター4の移動や姿勢変化に応じて、ピッチングやローリングによる視界変化と、前後の振り向きに相当する視界変化はあるが、上下の反転は起きないことになる。その点でプレイヤー操作キャラクター4のコントロールがし易くなる。

■実施例

これに対して、仮想カメラの座標系Xm、Ym、Zmの回転については制限がかかる。結果として、ゲーム画面では、プレイヤー操作キャラクター4の移動や姿勢変化に応じて、ピッチングやローリングによる視界変化と、前後の振り向きに相当する視界変化はあるが、上下の反転は起きないことになる。その点でプレイヤー操作キャラクター4のコントロールがし易くなる。

【図4】ゲームシステム1000の動作の流れ

ゲームシステム1000は、先ず、受け付け処理を実行する(ステップS12)。
受け付け処理は、例えば、使用するゲームステージの選択を受け付ける。また、プレイヤー別に、使用するプレイヤー操作キャラクターの選択、使用するVRゴーグル1200 の選択、使用する座席1010の選択、などを受け付ける。勿論、これら以外の内容の選択・入力の受け付けも適宜行うことができる。例えば、プレイ対価の徴収や、プレイヤー別のセーブデータの読み込みなどを行うことができる。


次に、ゲームシステム1000は、各種初期化を行う(ステップS14)。具体的には、VRゴーグル1200のキャリブレーション、ゲーム空間6の初期化、基準面8の設定、各プレイヤー操作キャラクター4の初期配置などを行う。


次に、ゲームシステム1000は、ゲーム進行制御を開始する。つまり、ゲームプレイを開始する(ステップS16)。
ゲームプレイが開始された後、チームリーダーによる基準面可視化操作が検出される(ステップS70のYES)と、ゲームシステム1000は、当該チームリーダー及び当該チームリーダーと同じチームの全プレイヤーのゲーム画面にて基準面8が可視化/表示される(ステップS72)。そして、当該チームリーダーと同じチームの全プレイヤーを対象にして、不利に作用するハンディキャップを適用する処理を実行する(ステップS74)。


ゲームプレイが終了する(ステップS80のYES)と、ゲームシステム1000は、プレイ結果の通知を行って(ステップS82)、プレイヤー別のセーブデータの更新を行い(ステップS84)、一連の処理を終了する。

■展望、結語

以上、本発明によれば、ゲーム空間の設定を、宇宙空間或いは宇宙相当空間とした場合に生まれる問題(キャラクターの過度な分散によるゲーム進行の阻害、キャラクターの移動や姿勢のコントロールが困難)が低減する技術を提供することができる。

■概要

出願国:日本 発明の名称:プログラム及びコンピュータシステム
出願番号:特願2017-209751
特許番号:特開2019-080743
出願日:2017年10月30日
公開日:2019年5月30日
出願人:株式会社バンダイナムコエンターテインメント
経過情報:出願審査未請求
その他情報:本特許の出願国は日本のみである
IPC:A63F 13/57

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。

不動産情報出力装置

AIが土地と建物をマッチング

AIが土地と建物をマッチング

不動産を探す場合には、普通は土地と建物の両方をセットにして探すことが多いですよね。

しかし、土地と建物の両方に満足できるケースは、実はなかなか多くありません。交通の便が良い場所に土地だけが見つかることもあれば、建物の立地は良いけれど、あとから建て直したいということもあり、このような場合に、どのような土地に対してどんな建物を建てればいいのか、具体的なイメージが得られにくいという問題がありました。

そこで、AIが有する膨大な土地情報と建物情報とを組み合わせて、例えば、購入候補の土地にマッチした建物が建っているような画像を生成することや、既に土地に建物があったとしても、別の建物の情報を組み合わせたVR表示を提供することもできる、画期的な技術が開発されました。これにより、購入者に土地と建物とを組み合わせた、具体的な完成イメージを直感的に伝えることができます。これからの不動産選びは、AIの力を使って、仮想空間に建物を建てるところからスタートすることになりそうですね。

■不動産業においてもAIが活躍する時代が到来

近年様々な分野で採用され始めているAIに関する特許を紹介します。

この特許は、不動産選びのサイトにAIを採用したシステムであり、不動産事業者のジブンハウスと東京大学発ベンチャーのアスカラボが共同出願したものです。


従来、住宅等の購入を希望する者は、不動産事業者に相談して、不動産事業者が提供する情報に基づいて所望の土地を探したり、現地の見学等を行ったりしています。また、インターネット上で不動産の検索が可能な検索システムも知られていて、このような検索システムにおいて、複数の物件の情報をWeb上で確認します。


しかし、例えば、土地と建物の両方を購入しようとする者にとって、所望の土地が検索できたとしても、検索された土地に建てることができる建物をさらに探す必要が生じてしまい、また、所望の建物が検索できたとしても、検索された建物を建てることができる土地をさらに探す必要が生じてしまいます。しかも、土地の情報と建物の情報が別個に存在している場合、土地に建物が建っている状態、すなわち、その土地にその建物を建てたときの完成イメージが分かりにくいという問題もあります。


これに対して、本発明の不動産情報出力システムは、購入検討者の端末から入力された不動産検索用情報に基づいて、AIが不動産に関する情報を学習し、学習結果を用いて、購入候補となる土地の土地情報を抽出し、かつ、抽出した土地情報によって特定される土地に建てることができる建物の建物情報を抽出して、抽出した土地情報によって特定される土地に、建物が建っているようにみえる画像を、購入候補となる不動産の情報として購入検討者の端末に表示させるものです。


このように、本発明の不動産情報出力システムは、購入可能な土地及び建物の情報を提供でき、土地に建物を建てたときの完成イメージを直観的に分かりやすく提示できるものとなっています。

■解説

本発明の不動産情報出力システム1は、図1及び図2に示すように、不動産情報出力装置(管理サーバ)10と、学習用装置(学習用サーバ)20と、購入検討者端末(スマートフォンやPC等)30と、登録用端末(スマートフォンやPC等)40と、を有しています。

【図1】

【図2】

不動産情報出力装置10は、不動産購入検討者(土地、建物等の不動産の購入を検討する者)が利用する購入検討者端末30に接続されて購入検討者端末30からの要求に応じて購入検討者端末30に購入候補となる不動産の情報を表示させます。不動産情報出力装置10は、例えば、サーバとして機能するコンピュータによって実現されています。また、不動産情報出力装置10は、通信ネットワーク(インターネット等)2を介して、購入検討者端末30と通信可能に接続されています。また、不動産情報出力装置10は、通信ネットワーク2を介して、登録用端末40と通信可能に接続されています。さらに、不動産情報出力装置10は、通信ネットワーク2を介して、学習用装置20と通信可能に接続されています。


不動産情報出力装置10は、各種の情報を記憶する記憶部12と、装置全体を制御する制御部11と、データの入出力等の通信を行う通信部13と、を有しています。記憶部12は、例えば、ハードディスク、メインメモリ、フラッシュメモリ、その他の各種メモリ等の記憶手段によって実現され、各種のプログラム、各種のデータ等を記憶しています。


通信部13は、購入検討者端末30及び登録用端末40からの各種情報を受信し、不動産情報出力装置10のメイン制御部15に入力します。また、通信部13は、購入検討者端末30及び登録用端末40に各種情報を送信します。また、通信部13は、学習用サーバ20との間でのデータ通信、データ入出力も実行します。したがって、通信部13は、入力部として機能し、また、出力部としても機能します。


制御部11は、例えば、プロセッサ、CPU等の演算手段によって実現され、各種のメモリ、ハードディスク等の記憶手段と協働して機能し、各種のプログラムを実行します。制御部11は、抽出部16と、登録処理部18と、出力制御部19と、を有しています。


抽出部16は、図3のフローチャートに示すように、入力部(通信部)13が入力した不動産検索用情報に基づいて、不動産に関する情報を学習した学習結果を用いて、購入候補となり得る複数の土地の土地情報から購入候補となる土地の土地情報を抽出し、抽出した土地情報によって特定される土地に建てることができる建物の建物情報を、購入候補となり得る複数の建物の建物情報から抽出します。

【図3】

なお、「不動産に関する情報を学習した学習結果を用いて」とは、学習用データを用いて不動産に関する情報を学習させた学習済みモデル72を用いる場合も、学習済みモデル72から出力した出力結果をデータベース化した学習結果データベース73を用いる場合も含みます。学習済みモデル72及び学習結果データベース73は、AI(人工知能)の分野の技術を用いた各種のデータ、アルゴリズムを記憶する記憶部12に記憶されています。


出力制御部19は、図5に示すように、抽出部16が抽出した土地情報によって特定される土地に、抽出部16が抽出した建物情報によって特定される建物が建っているようにみえる画像を、購入候補となる不動産の情報として購入検討者端末30に表示させます。
これにより、不動産情報出力装置10によれば、購入可能な土地及び建物の情報を提供でき、土地に建物を建てたときの完成イメージを直観的に分かりやすく提示することができます。

【図5】

また、不動産購入検討者は、土地と建物を組み合わせた状態で、土地及び建物の購入を検討することができます。不動産情報出力装置10において、図5や図8に示すように、出力制御部19が購入検討者端末30に表示させる画像は3D画像となっています。


これにより、不動産購入検討者は、土地と建物を組み合わせた状態をより直観的に把握することができます。


また、出力制御部19は、図5や図8に示すように、抽出部16が抽出した土地情報によって特定される土地に、抽出部16が抽出した建物情報によって特定される建物が建っているようにみえる画像を、購入検討者端末30にVR表示させるように構成されています。


これにより、不動産購入検討者は、購入検討対象の土地及び建物について、より臨場感の高い情報を得ることができます。


出力制御部19は、図8に示すように、抽出部16が抽出した土地情報によって特定される土地であって購入検討者端末30に表示される現実の土地に、抽出部16が抽出した建物情報によって特定される建物が建っているように見える画像を合成した拡張現実空間を購入検討者端末30に表示させるように構成されています。


これにより、不動産購入検討者は、実際の土地がある場所において、その土地に建物を建てたイメージをより直観的にリアルに把握することができます。

【図5】

ここで、不動産検索用情報としては、土地に関する検索条件、建物に関する検索条件、環境に関する情報、不動産購入検討者に関する情報、ライフスタイルに関する情報、個人の趣味に関する情報、個人の嗜好に関する情報、個人の価値観に関する情報、個人の人生観に関する情報、個人の性格に関する情報、家族構成に関する情報、家族に関する情報が挙げられます。


これにより、不動産購入検討者の希望、好み、属性等に沿った購入候補の土地又は建物 の情報を提供することができます。
また、不動産情報出力装置10では、登録処理部18が、土地又は建物に関するデータシートから、不動産の情報を登録するための登録用端末40が認識した土地情報又は建物情報を、購入候補となり得る複数の土地の土地情報又は購入候補となり得る複数の建物の建物情報に追加して登録します。ここで、登録処理部18は、登録用端末40から受信した土地情報又は建物情報を不動産情報出力装置10の記憶部12に記憶するものであり、登録用端末40の利用者としては、不動産事業者、ハウスビルダー等、建物や土地等の不動産を提供する者が想定されます。


これにより、不動産事業者等が、販売したい土地又は建物を不動産購入検討者の購入候補となり得る土地又は建物として登録することができます。よって、不動産事業者等は、不動産の販売力を強化することができます。また、簡易且つ短時間で登録処理を実行することができます。

■概要

出願国:日本 発明の名称:不動産情報出力装置、不動産情報出力方法及び不動産情報出力プログラム
出願番号:特願2019-21249
出願日:2019年2月9日
優先権主張番号:特願2018-30212
優先日:2018年2月22日
公開番号:特開2019-145100
公開日:2019年8月29日
出願人:ジブンハウス、東京大学、アスカラボ

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。

乗物アトラクション

スリル満点!!AR・VRアトラクション

スリル満点!!AR・VRアトラクション

いま、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を楽しむ娯楽といえば、例えば3Dメガネをかけて楽しむ3D映画などが広く楽しまれています。

しかし、こういった拡張/仮想現実の体験は、あくまでも視覚や聴覚からの疑似体験にすぎません。一方、例えば遊園地のジェットコースターのような、いわゆる物理的刺激によってスリル感などを味わうことができるアトラクションに対して、こうした技術を適用することは、ジェットコースターの既存のコースや物理的性質に限定した上でのみ、狭い範囲で適用できるものと認識されていました。

そこで、乗客が装着するゴーグルに外部カメラ及びディスプレイを内蔵させ、外部カメラで現実世界をキャプチャし、そのストリーミングメディアに対して仮想拡張を生成させ、現実世界映像に基づいて生成された映像に重ねて乗客の目に映す、という技術が開発されました。

このような技術を用いれば、外界の気象環境とはまったく独立に、通常の乗車体験とはまったく異なる体験をすることが可能となります。従来のAR/VR体験よりも、より大きな運動自由度を有するこの技術を用いることで、一層スリル感の増したアトラクションが楽しめそうです。

■内容

遊園地で楽しむジェットコースターなどのアトラクションに関して、3つの特許出願をご紹介します。

今回ご紹介する3つの特許出願は、いずれもアメリカで出願された特許出願を基にして国際特許出願(PCT)されたものです。その後、日本にも移行されて、一部審査されていますが、未だ特許権は得られていません。先に出願されたものから順に説明いたします。
最初に紹介する1番目の特許出願は、すでに審査が終わり拒絶査定となってしまいましたが、分割出願することによって権利化を狙っています。分割後の子出願は、まだ審査されていません。次に紹介する2番目の特許出願は、まだ審査されていない状況です。
最後に紹介する3番目の特許出願は、拒絶理由が通知され、これに対して手続補正書と意見書が特許庁に提出された状況です。

まず、1番目の特許についてご紹介します。

■特許情報(特願1-1)

出願国:日本(PCT出願経由) 発明の名称:拡張現実及び仮想現実画像を生成するためのシステム及び方法
出願番号:特願2017-510337(P2017-510337)
出願日:平成27年8月10日(2015.8.10)
公開日:平成29年11月2日(2017.11.2)
出願人:ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
経過情報:拒絶査定(2019年4月1日)の後、拒絶査定不服審判は請求されていません。
その他情報:国際特許出願されて日本国に移行してきた本出願は、上記のごとく拒絶査定となり特許にできませんでした。一方、本出願から分割された分割出願(後述 特願1-2)は、まだ審査されていません。
IPC:H04N

■従来の課題

遊園地やテーマパークのアトラクションでは、メリーゴーランドやジェットコースターのような乗物を楽しむことができます。従来、急勾配で曲がりくねって走行するジェットコースター等によってスリル感を体験することができますが、より強いスリル感を体験できる絶叫マシンは、未だにあまりありません。
そこで、従来よりもさらに楽しく、スリルを感じられるアトラクションが要望されています。
本発明は、上記の要望に鑑みてなされたものであり、スリル体験を十分に楽しむことができるスリルライドを提供することを目的とします。

■本発明の効果

電子ゴーグルおよびグラフィックス生成システムを用いて、拡張現実(AR)体験、仮想現実(VR)体験、複合現実(ARおよびVRの組合せ)体験を生み出すことによって、絶叫マシンのスリル感を高め、絶叫マシンに乗車したときに十分に楽しむことができます。

本発明では、拡張現実(AR)体験、仮想現実(VR)体験、複合現実(ARおよびVRの組合せ)体験を、絶叫マシンにおいて利用するため、乗客が絶叫マシンでスリル体験を十分に楽しめることができます。
なお、拡張現実(AR)とは、現実世界に仮想世界を反映させる技術であり、具体的には、コンピューターが作る仮想世界を現実に反映させることで現実を拡張させることです。一方、仮想現実(VR)とは、仮想世界に現実の人間の動きを反映させて、現実ではないが現実のように感じさせる技術です。

■特許請求の範囲のポイント

一度審査され、手続補正書が提出されて、特許請求の範囲に2つのカテゴリの発明があります。拡張現実および仮想現実画像を作り出すための「乗物システム」、並びに、「その方法」です。残念ながら特許権を得ることはできず、本出願から分割出願をして、権利化を狙っている状況です。

本発明の特許請求の範囲に記載されている概要を説明しますと、遊園地又はテーマパーク内の絶叫マシンのようなアトラクションに、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)などの技術を適用したものです。
乗客には、絶叫マシンの走行中に電子ゴーグル又はメガネを着用してもらいます。電子ゴーグルは、AR体験、VR体験できるAR/VRゴーグルです。
また、本発明を実現させるためのコンピュータグラフィックス生成システムは、電子ゴーグルからリアルタイムビデオデータを受信して、現実世界環境と、ARおよびVRとをミックスして、乗客の電子ゴーグルに映し出す(レンダリング)することができます。例えば、乗物の位置、移動距離、経過時間に応じて、AR/VR画像を電子ゴーグルに映し出すことができます。このようにして、電子ゴーグルおよびグラフィックス生成システムを用いて、AR体験、VR体験、又は複合現実体験を生み出すことによって、絶叫マシンのスリル感を高めて、乗客を十分に楽しませることができます。

■全体構成

本発明の全体構成を説明するために、少し抽象的な表現になりますが、審査を受けた発明を概説します。本発明の2つのカテゴリのうちの1つ、「乗物システム」について説明します。

本発明の「乗物システム」は、位置センサが取り付けられた乗物移動体と、乗物が装着する、カメラおよびディスプレイを有する電子ゴーグルと、電子ゴーグルと乗物移動体の位置センサとに通信できるコンピュータグラフィックス生成システムと、を備えます。

 コンピュータグラフィックス生成システムは、以下のように構成されています。
・乗物移動体の位置センサからのデータを用いて乗客の視点を決定し、
・電子ゴーグルのカメラによって取り込んだ画像データおよび前記乗物の乗客の視点に基づいて現実世界環境のストリーミングメディアを作り出し、
・現実世界環境のストリーミングメディア上に重ね合わされる仮想拡張を、乗物移動体の位置センサからのデータに基づいて作り出し、
電子ゴーグルのディスプレイ上に表示されることになる、重ね合わされる仮想拡張と共に、現実世界環境のストリーミングメディアを送信する。

本発明のもう1つのカテゴリである方法の発明は、2つに分けて請求項に記載されていますが、やや抽象的な内容ですので、ここでは割愛いたします。

本発明における主なツールを具体的に説明しますと、電子ゴーグルと、コンピュータグラフィックス生成システムです。
乗客には、電子ゴーグル(例えばAR/VRメガネ)が与えられます。電子ゴーグルには、少なくとも2つのカメラがあり、乗客のそれぞれの視点に対応します。また、2つのカメラは、乗客と、現実世界環境のリアルタイムビデオデータ(例えばライブビデオ)を取り込むために使用されます。また、電子ゴーグルには、少なくとも2つのディスプレイもあります。
コンピュータグラフィックス生成システムは、走行中に、現実世界環境のビデオストリームを様々なAR/VR画像と共に、乗客の電子ゴーグルのディスプレイに映し出すことができます。例えば、グラフィックス生成システムは、絶叫マシンの乗物移動体の位置、移動距離、経過時間に応じて、AR/VR画像を電子ゴーグルに映し出すことができます。
このようにして、電子ゴーグルとグラフィックス生成システムを用いて、AR体験、VR体験、複合現実体験を生み出し、スリル感を高めることができます。

■細部

本発明では、道具として電子ゴーグルを使います。
図2に示すように、乗客22は、AR/VRメガネなどの電子ゴーグル34を装着します。電子ゴーグル34は、ヘルメット、サンバイザー、ヘッドバンド、目隠し、眼帯、メガネ類の一部であってもかまいません。

【特願1-1 図2】

電子ゴーグルは、少なくとも2つのカメラを備え、それぞれ乗客22の左右の目の視線に対応することができます。カメラは、走行中の現実世界環境(例えば、遊園地の光景)のリアルタイムビデオデータを取り込むために使用することができます。電子ゴーグルには、乗客の左右の目にそれぞれ対応する2つのディスプレイディスプレイもあります。
図2に示すように、電子ゴーグル34は、無線ネットワーク48(例えば、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線広域ネットワーク(WWAN)、近距離通信(NFC))を通して、コンピュータグラフィックス生成システム32と通信可能です。電子ゴーグル34を用いて、AR体験、VR体験、複合現実(例えば、ARおよびVRの組合せ)体験といった、超現実環境30を体験できます。電子ゴーグル34を装着した乗客は、走行中の全行程で、超現実環境30に完全に取り囲まれ、超現実環境30を現実世界と感じることができます。超現実環境30は、電子ゴーグル34無しでも見ることができる現実世界画像44と、AR又はVR画像45(例えば仮想拡張)とが電子的に融合されたリアルタイムビデオとすることができます。
このような発明を実施するための具体例について、以下に説明します。

■実施形態

図3は、AR/VR画像45(図2の拡張又は仮想現実画像45)の様々な実施例を示します。このAR/VR画像45は、先ほどの図2で示したグラフィックス生成システム32やゴーグル34によって作り出されます。  図2および図3に示すように、絶叫マシンに乗車中に、グラフィックス生成システム32は、現実世界画像44、並びに様々なAR/VR画像45を、乗客の電子ゴーグル34を通して映し出すことができます。例えば、現実世界画像44は、電子ゴーグル34なしでも乗客が見ることができる、トラック18、施設14、他の乗客、来場者などです。様々なAR/VR画像45を電子ゴーグル34のディスプレイ37,38に映し出すことによって、絶叫マシンのスリル感をより高められます。
図3に示すように、グラフィックス生成システム32は、例えば、遊園地施設のモール49、架空キャラクター50、トラック18の裂け目52(破線で図示)、といった、AR/VR画像を映し出すことができます。例えばAR/VR画像は、乗物20がトラック18を移動する際に、トラック18を遮るように現れるモンスターの画像50といった仮想拡張を映し出すことができます。また、グラフィックス生成システム32は、電子ゴーグル34無しでは不可能な現実世界の物体の消去を映し出すこともできます。
グラフィックス生成システム32は、例えば、絶叫マシンの走行中に乗物20の位置、移動距離、又は経過時間に応じて、AR/VR画像を映し出すことができます。例えば、乗物移動体が地点60まで移動すると、乗客は、電子ゴーグル34を通して、トラック18上を遮る架空のキャラクター50のAR/VR画像を見ることができます。
さらに、乗物20が地点62まで移動すると、乗客は、電子ゴーグル34を通して、壊れたトラック18の裂け目52のAR/VR画像を見ることができます。

【特願1-1 図3】

■展望、結語

説明しましたように、本発明の遊園地の乗物システム、および、それに関連する娯楽提供方法によって、絶叫マシンのスリル感を高め、絶叫マシンに乗車したときに十分に楽しむことができます。本発明は、今後の乗物アトラクション技術の進歩という点でも注目できます。

以上が1番目の特許(特願1-1)のご紹介です。本特許は、審査の結果、拒絶査定となりましたが、その後、本特許出願から分割出願されました。分割された子出願(特願1-2)は、以下の通り、まだ審査されていません。

■特許情報(特願1-2)

出願国:日本(PCT出願経由) 発明の名称:拡張現実及び仮想現実画像を生成するためのシステム及び方法
出願番号:特願2017-510337(P2017-510337)
出願日:令和1年6月14日(2019.6.14)
公開日:令和1年10月3日(2019.10.3)
出願人:ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
経過情報:2019年6月20日に出願審査請求書が提出され、未審査の段階です。
その他情報:特願2017-510337 (P2017-510337)の分割出願です。
IPC:A63G

■従来の課題、本発明の効果

本特許出願(特願1-2)の従来の課題、本発明の効果は、1番目の特許(親出願 特願1-1)と同じですので、割愛させていただきます。

■特許請求の範囲のポイント

分割出願のときに親出願の内容が補正されて変更されています。これによって、権利化を狙えそうな2つのカテゴリの発明が特許請求の範囲に記載されています。拡張現実および仮想現実画像を作り出すための「乗物システム」、並びに、「その方法」です。  親出願の審査のときに公知文献が引用され、結果として「進歩性なし」という理由で拒絶査定(特許にできない)と判断されました。この拒絶理由を解消させるために、公知文献にない特徴的な内容が(補正によって)追加されています。

本発明の2つのカテゴリのうちの1つ、「乗物システム」は、
 センサを含む乗物移動体と、
 乗客に装着される、ディスプレイを含む電子ゴーグルと、
 電子ゴーグルおよび乗物移動体のセンサに通信可能に接続されたコンピュータグラフィックス生成システムと、を備えます。
 上記のコンピュータグラフィックス生成システムは、
 電子ゴーグルおよび乗物移動体のセンサからのデータを用いて乗客の視点を決定し、
 電子ゴーグルおよび乗物移動体のセンサからのデータを用いて決定された乗客の視点に基づいて仮想拡張を作り出し、
 電子ゴーグルのディスプレイ上に表示されることになる、仮想拡張を送信します。  上記の「乗物システム」について少し具体的に説明しますと、主なツールは、親出願と同様に、電子ゴーグルと、コンピュータグラフィックス生成システムです。特徴的な部分は、電子ゴーグルおよび乗物移動体の両方のセンサを基にして乗客の視線を決定すること、そして、決定した視点を基にして仮想拡張を作り出して電子ゴーグルのディスプレイ上に表示することです。
本発明のもう1つのカテゴリである方法の発明は、2種に分けて請求項に記載されていますが、非常に抽象的に記載されていますので、説明を割愛いたします。ただし、内容は上記の「乗物システム」と同様です。
上記内容の特徴部分は、親出願(特願1-1)の審査で引用された公知文献には記載されていないという理由で、出願人によって追加された内容です。この特徴部分によって、本発明の特許出願(特願1-2)が特許となるかどうかは、興味深いところです。

特願1-2の発明は、電子ゴーグルとグラフィックス生成システムを用いて、親出願である特願1-1と同様に、AR体験、VR体験、複合現実体験を生み出し、スリル感を高めることができます。  このような本発明は、親出願(特願1-1)と同様の構成をしていますので、全体構成および実施形態についての詳しい説明は割愛させていただきます。


次に、2番目の特許(特願2)のご紹介をいたします。
2番目の特許(特願2)の技術的思想は、基本的に1番目の特許と類似しています。2番目の特許では、特に、アイウェア(眼鏡など)に特徴をもたせています。

■特許情報(特願2)

出願国:日本(PCT出願経由) 発明の名称:立体視的な拡張現実画像および仮想現実画像を生成するためのシステムおよび方法
出願番号:特願2018-558202(P2018-558202)
出願日:平成29年5月5日(2017.5.5)
公開日:令和1年6月13日(2019.6.13)
出願人:ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
経過情報:2020年3月2日に出願審査請求書が提出され、未審査の段階です。
その他情報:国際特許出願されて日本国に移行してきた出願です。
IPC:A63G

■従来の課題

アミューズメントパーク、テーマパークは、回転木馬やローラーコースターといった乗物を来園者に提供し、楽しんでもらう場所です。例えば、ローラーコースターのようなスリルライド(スリル体感乗物)は、急勾配で曲がりくねるような複雑なコースを提供すること以外に、さらなるスリルを提供することが困難な状況です。
そこで、従来よりもさらに楽しく、スリルを感じられる乗物が要望されています。
本発明は、上記の要望に鑑みてなされたものであり、スリル体験を十分に楽しむことができるスリルライド(スリル体感乗物)を提供することを目的とします。

■本発明の効果

本発明では、AR体験、VR体験、および、これらを組み合わせた複合現実体験を創り出すために、アイウェア(眼鏡など)およびグラフィックス生成システムを用います。これにより、スリル体感乗物に乗ったときのスリルを高めることができ、乗客が十分に楽しむことができます。

■特許請求の範囲のポイント

本発明は、先ほどの1つ目の特許(特願1)と内容が似ていますが、アイウェア(眼鏡など)に焦点を当てている点が異なります。
本発明の概要は、アミューズメントパークなどにおけるスリル体感乗物に、拡張現実(AR)体験、仮想現実(VR)体験、複合現実(ARおよびVRの組み合わせ等)体験を組み合わせて提供するシステムおよび方法に関します。
各乗客は、走行中に着用するアイウェア(例えば、立体視AR/VRゴーグル等)を提供されます。アイウェアは、立体視画像を簡単に見ることができるだけでなく、AR/VRの両方の機能を備えます。容易にAR/VR体験または複合現実体験するために、アイウェアは、実世界表現に重ねられた仮想画像を表示することもできます。
さらに、コンピュータグラフィックス生成システムを使います。乗客の各立体視アイウェアのディスプレイに、AR/VR画像に、実世界環境の画像を重ね合わせることができます。例えば、グラフィックス生成システムは、スリル体感乗物の場所、乗物が移動した距離、経過時間に応じて、アイウェアにAR/VR画像を重ね合わせることができます。
このようにして、アイウェアおよびグラフィックス生成システムを用いて、AR体験、VR体験、複合現実体験を創り出すことによって、スリル体感乗物のスリル感覚を高めることができ、十分に乗客を楽しませることができます。
本発明では、大きく分けて3つのカテゴリの発明が特許請求の範囲に記載されています。立体視的な拡張現実画像および仮想現実画像を生成するための「乗物システム」と「その方法」、並びに、「ウェアラブル電子デバイス(装着可能電子デバイス)」です。それぞれについて少し抽象的な表現になりますが下記に説明します。

■全体構成

上記の「乗物システム」は、ユーザの目を覆うアイウェア(眼鏡など)と、コンピュータグラフィックス生成システムとを備えます。
アイウェア(眼鏡など)は、立体視表示画像を見ることができる立体視機能を有するディスプレイを備えます。
コンピュータグラフィックス生成システムは、アイウェア(眼鏡など)と通信可能です。また、アイウェア(眼鏡など)のカメラによって取り込んだ画像データに基づいて実世界環境の映像を作り出します。また、この映像上に重ねられた仮想的な拡張(拡張現実AR)を作り出します。そして、アイウェア(眼鏡など)のディスプレイに表示される仮想的な拡張と組み合わせて実世界環境の映像をアイウェア(眼鏡など)へ送信し、実世界環境内に立体視画像を投影するように構成されています。
上記の「方法」については、かなり抽象的な内容になりますので、説明を割愛いたしますが、基本的には、本発明の目的を達成するために、上記のアイウェアなどを使う方法となります。
上記の「装着可能電子デバイス」は、下記のものを備えます。
A.フレームフロントを備えるフレーム、
B.フレームフロントに接続された左目用および右目用の各ディスプレイのレンズ、
C.左目用ディスプレイのレンズ上の第一のフィルタ、
D.右目用ディスプレイのレンズ上の第二のフィルタ
(第一のフィルタと第二のフィルタとは異なる)、
E.処理回路、
(拡張現実(AR)画像または仮想現実(VR)画像と、仮想化された実世界環境の画像とを含む信号を、コンピュータグラフィックス生成システムから受信し、左目用ディスプレイおよび右目用ディスプレイに画像を表示させるように構成されています)

■細部

上記のような効果を発揮させるために必要なアイウェアについて説明します。アイウェアとは、例えば、眼鏡、サングラス、ゴーグルなど、両目に装着する物です。アイウェアは少なくとも2つのカメラを備えます。カメラは、乗客の各視線方向を向くように設計されています。また、カメラは、走行中における乗客の実世界環境(例えば、刻々と変わる景色)をリアルタイムで取得するように使用されます。なお、アイウェアは、乗客の各目にそれぞれ画像を映し出す少なくとも2つのディスプレイを備えます。
このような本発明を実施するための具体的な物や方法について、以下に説明します。

■実施形態

図2に示すように、それぞれの乗客22に、眼鏡などの立体視AR/VRアイウェア34が提供されます。
立体視AR/VRアイウェア34は、ワイヤレスネットワーク48を経由して、コンピュータグラフィックス生成システム32に通信可能であり、超現実環境30を創り出すために使用されます。この超現実的環境は、AR体験、VR体験、複合現実体験、AR体験およびVR体験の組み合わせなどです。立体視AR/VRアイウェア34によって、乗車中の乗客は、超現実環境30に完全に取り囲まれているように感じることができます。また、超現実環境30を実世界物理的環境であるように知覚することができます。超現実環境30は、例えば、乗客が見る実世界画像44のリアルタイムビデオ、または、あらかじめ取得しておいた環境の記録画像などです。
本発明の立体視AR/VRアイウェア34(眼鏡など)は、ヘッドマウントディスプレイ(HMDs)やヘッドアップディスプレイ(HUDs)のような従来のデバイスとは全く異なります。例えば、立体視AR/VRアイウェア34は、乗客の位置や動作を追跡する方向センサ、位置センサ(例えば、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、全地球測位システム[GPS]受信機)を備えます。
また、立体視AR/VRアイウェア34は、例えば、着用者の位置、場所、方向等を判断するために監視システム(例えばカメラ)によって監視されます。監視システム33は、コンピュータグラフィックス生成システム32と通信可能であり、乗客の位置、場所、方向等を特定するために使用されます。乗物20は、各乗客の視線を判断するために、各乗客を監視するためのセンサ(例えば、重量センサ、質量センサ、動作センサ、超音波センサ)を備えることもできます。なお、立体視AR/VRアイウェア34は、カメラ(40および42)およびディスプレイ(37および38)を備えることができるため、乗客の各視線に関するデータを獲得できます。

【特願2 図2】

図3は、外部から投影された立体視画像を見ることもできる立体視AR/VRアイウェア34を示しています。例えば、ディスプレイ37および38は、3D画像を映し出すための偏光機能を備えます。右用ディスプレイ37の偏光機能は、左目用ディスプレイ38の偏光機能とは異なる偏光特性を有します。これによって、2つの投影画像は、立体的に見えます。立体視AR/VRアイウェア34としては、Inficolor 3D technologyまたはInfitec(登録商標)3D technology(Infitec GmbH,バーデン=ヴュルテンベルク州,ドイツ)を用いることができます

【特願2 図3】

図4は、グラフィックス生成システム32によって、または、立体視AR/VRアイウェア34によって作り出されるAR/VR画像45の例です。具体的には、グラフィックス生成システム32は、乗客22、24、26、28の各立体視AR/VRアイウェア34を通して、立体視画像43、実世界画像44、そして様々なAR/VRグラフィック画像45(図2の左側ご参照)を映し出すことができます。また、グラフィックス生成システム32と、立体視プロジェクタ53とを使用して、立体視画像を映し出すことができます。実世界画像44は、立体視AR/VRアイウェア34無しでも乗車中に見える、他の乗客、トラック18、施設14、来園者などです。各立体視AR/VRアイウェア34に様々なAR/VRグラフィック画像45を映し出すと、走行中のスリル感を十分に高めることができます。

【特願2 図4】

グラフィックス生成システム32は、例えば、乗物20の位置、場所、移動距離、経過時間に応じて、AR/VRグラフィック画像45を映し出すことができます。例えば、乗物がポイント60を通過したときに、立体視AR/VRアイウェア34を通して、架空のキャラクターのAR/VR画像50が、トラック18上で進路を妨害するように出現します。さらに、乗物20が次のポイント62を通過すると、例えば、あたかもトラック18が無くなったかのように、AR/VR画像52が乗客の前に出現します。
グラフィックス生成システム32は、乗客に応じて、さまざまなAR/VRグラフィック画像45を様々に映し出すことができます。例えば、それぞれの乗客に応じて、メモリ47に格納された画像のなかから特定の画像を選択して映し出します。これにより、各乗客は、それぞれカスタマイズされたコンテンツを受信できます。例えば、ある乗客には、特定のキャラクターに関連付けられたAR/VR画像が映し出されます。過去の履歴、年齢、興味等に基づいて、乗客には、さまざまなコンテンツが表示されます。

■展望、結語

以上ご説明しましたように、本発明の遊園地の乗物システム、装着可能電子デバイス、および、それに関連する娯楽提供方法によって、スリル体験を十分に楽しめます。上述したような工夫が詰め込まれた本発明は、乗物アトラクション技術の進歩という点で、注目できるものです。


次に、3番目の特許のご紹介をいたします。
3番目の特許の技術的思想は、1番目の特許(特願1)や2番目の特許(特願2)と異なり、操縦する乗客のアクションに応じて乗物の動きが変わるという体験ができる乗物アトラクションに関するものです。

■特許情報(特願3)

出願国:日本(PCT出願経由) 発明の名称:ゲームプレー型乗物車両システム及び方法
出願番号:特願2019-548559(P2019-548559)
出願日:平成30年3月6日(2018.3.6)
公開日:令和2年4月16日(2020.4.16)
出願人:ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
経過情報:2020年3月30日に拒絶理由通知書が送達され、5月28日に手続補正書、意見書が提出された段階です。
その他情報:国際特許出願されて日本国に移行してきた出願です。
IPC:A63G

■従来の課題

従来、遊園地乗物アトラクションは、車両の動きがあらかじめプログラムされ、決まったようにしか動きません。一方、最近では、乗客が車両を操作することによって車両の動きを少し制御できるようになってきました。
しかし、今後は、乗客によって車両の動きをより強く制御して、乗客の制御と動きが相互作用するような工夫によって、より楽しい乗物体験をもたらすアトラクションが要望されています。
本発明は、上記の要望に鑑みてなされたものであり、乗客が車両を制御(操作)することと、車両の動きとが強く相互作用することで、十分に楽しむことができる遊園地乗物アトラクションを提供することを目的とします。

■本発明の効果

本発明によれば、乗客が今までよりも楽しめる乗物アトラクションを提供できます。
具体的には、例えば乗客が装着したヘッドマウントディスプレイ(頭部装着ディスプレイ)によって拡張現実(AR)を乗客に与えることができます。また、アクセルペダルやブレーキペダルやハンドルといった操縦によって、車両の動きを制御することができます。そして、拡張現実(AR)に応じるように乗客が車両を操縦でき、その操縦結果に応じて、車両の動きが変わります。
このように、変化に富んだ車両制御が、拡張現実(AR)と関連付けられているため、乗客は、運転者だけでなく他の乗客も、乗物アトラクションを十分に楽しめます。

■特許請求の範囲のポイント

本願については、拒絶理由通知書に対して、すでに手続補正書が提出されています。その手続補正書に記載されている内容に基づいてご説明をいたします。
本発明は、既にご紹介した2つの発明と異なり、乗客がゲームに参加したかのような体験を楽しむことができるシステムや方法に関するものです。
乗客は、ハンドルや押しボタンなどを操作することによって、軌道に沿って走行する車両をある程度操縦することができます。一方、乗客は、頭部装着ディスプレイを装着し、このディスプレイによって走行中に仮想の像を見ることができます。乗客のうち、運転者であっても他の乗客であっても同様です。
そして、例えば、車両走行中にディスプレイに仮想指示(分岐点で車両が進むべき方向の指示)が示されたときに、ハンドル等を操作して、車両の走行方向を変えることができます。このときハンドル操作が成功したか否かによって、車両の走行スピードなどが変化し、体感ゲームのような感覚を楽しめます。
さらに、例えば、車両走行中にディスプレイに仮想標的物(星のマークなど)が示されたときに、仮想放射体(仮想ビーム銃等)を操作して、仮想標的物へ受けてマーキング操作を行うことができます。このときマーキング操作によって命中したか否かによって、車両の走行スピードなどが変化し、体感ゲームのような感覚を楽しめます。
上述しましたように、本発明は、拡張現実(AR)などの仮想指示を表示する頭部装着ディスプレイ等を乗客に装着してもらい、乗客が操作できるユーザ入力装置(ハンドルや仮想発射体など)を使って、車両の操縦や走行中のゲームといった娯楽を楽しむことができる「遊園地の乗物システム」、「娯楽提供方法」、および、「乗物およびゲーム制御システム」に関します。請求項に記載された「娯楽提供方法」の発明を例に挙げて詳しく説明します。

■全体構成

本発明の「娯楽提供方法」では、乗客を乗せて軌道に沿って進む車両を使います。
この車両と通信可能なコンピュータグラフィックス生成システム(制御システム)によって、拡張現実(AR)オブジェクト(仮想指示や仮想標的物)などのゲーム環境が作り出されます。ゲーム環境は、乗客が装着した頭部装着ディスプレイによって表示します。
また、乗客が各自で操作するユーザ入力装置を使います。ユーザ入力装置とは、乗客が操作するハンドルや仮想発射体などです。これらのユーザ入力装置から、上記の制御システムを経由して信号を受け取ります。受けた信号を基にして、上記の制御システムによって車両の動きを引き起こします。
このような方法では、例えば、頭部装着ディスプレイによって映し出された仮想指示(車両の進むべき方向)に従うように、ハンドルを操作することができます。さらに、頭部装着ディスプレイによって映し出された仮想標的物に向かって、仮想発射体から仮想ビームなどを発射できます。ハンドル操作が正しかったか否かに応じて、また、仮想標的物に命中したか否かに応じて、車両の速さなどを変化させることができます。このように、乗客とAR環境との相互作用の結果に応じて、車両の動きが変わります。

■細部

一例では、分岐点で曲がるように拡張現実(AR)が運転指示を出せば、その指示に従えたか否かの結果に応じて、車両の動きを遅くしたり速くしたりできます。
他の例では、拡張現実(AR)によって映し出された標的に、仮想ビームを命中させるようなゲームが走行中に仕組まれて、その結果に応じて、車両の動きを遅くしたり速くしたりできます。
このような仕組みでは、ある時には運転者が、ある時には他の乗客が、車両の動きを制御することができます。また、乗客の全員がゲームに参加して、ゲームの成績を競うこともできます。
ゲームの成績に応じて、例えば、ゲームの成績が最も良かった他の乗客が、運転者よりも車両の動きを強くコントロールできるようにもなり得ます。

■実施形態

図2に示すように、乗物およびゲーム制御システム24は、仮想的相互作用を基にして、車両20の動きの変化を引き起こして、車両20を制御することができます。仮想的相互作用とは、乗客からの直接的な入力(例えば、ハンドル操作)と、AR環境(例えば、ゲーム環境)と間における相互作用です。本発明のシステム24は、車両の動きを直接的および間接的に乗客が変更できるように構成されており、その変更に応じて、車両走行中に動きの変化を起こして、相互作用的な乗物体験を提供することができます。

【特願3 図2】

少し抽象的な説明になりましたので、頭部装着ディスプレイを挙げて具体的に説明します。
図3に示すように、頭部装着ディスプレイ28は、電子眼鏡80(例えば、AR眼鏡、ゴーグル)と、電子眼鏡80の少なくとも一部を収容するように構成された装着部分82とを備えます。頭部装着ディスプレイ28は、すべての乗客22が装着でき、乗客22に非現実的環境84を作り出すことができます。
頭部装着ディスプレイ28に備わっているプロセッサ86およびメモリ88によって、頭部装着ディスプレイ28はディスプレイとして機能します。例えば、コンピュータグラフィックス生成システム70(図2ご参照)から、ディスプレイに映し出す信号を受け取ることができます。
頭部装着ディスプレイ28は、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、GPS受信機などの位置センサといった追跡システム90を備えます。追跡システム90は、乗客の位置、焦点距離、視線方向、視野、動きといったリアルタイムデータを収集することができます。頭部装着ディスプレイ28は、追跡システム90によって取り込まれたリアルタイムデータを処理するプロセッサ86、および、コンピュータグラフィックス生成システム70に送信する通信インターフェイス92(例えば、無線トランシーバ)を備えます。頭部装着ディスプレイ28は、コンピュータグラフィックス生成システム70によって送信された表示信号を、通信インターフェイス92によって受信することもできます。
なお、頭部装着ディスプレイ28は、音響装置(例えば、イヤホン、スピーカ、マイク)を有することができます。

【特願3 図3】

図4に示すように、車両20が走行中に、頭部装着ディスプレイ28によって、指示オブジェクト104(ARオブジェクト26)などが乗客100に提示されます。指示オブジェクト104は、例えば方向転換する指示、速度を変える指示、軌道分岐点でいずれかの軌道を選択する指示といったゲーム指示です。指示オブジェクト104は、運転者100だけにも提示でき、また、さらに全ての乗客22にも提示できます。

【特願3 図4】

例えば、指示オブジェクト104は、迫り来る軌道分岐点112において従うべき方向を示す矢印です。軌道18は、軌道分岐点112において2つに分かれ、運転者は、現在の経路を進み続けることも、指示オブジェクト104が示す経路116に従うようにステアリング用ユーザ入力装置34(ハンドル等)を使用して車両20の方向を変えることもできます。
例えば、提示された指示オブジェクト104の指示に正しく従ったときに、又は、運転者100や車両20の成績スコアが追加されたときに、車両20に特定の動きを引き起こすこともできます。
具体的には、指示オブジェクト104に従って車両20を軌道116の方に方向転換させた場合、ステアリング用ユーザ入力装置34(ハンドル等)から受け取った信号に基づいて車両20が軌道116の方に方向転換します。また、指示オブジェクト104に正しく従って運転成績スコアが上がったことによって、車両20に特定の動きを引き起こすことができます。
車両20に引き起こされる動きは、速度変化、車両20の停止などです。例えば、指示オブジェクト104に従ったことに応じて引き起こされる動きは、より高速にして興奮を高めることであってもよく、また、より低速にして他の乗客22がARオブジェクト26と相互作用する時間を増やしてより多くのスコアを獲得できるようにすることであってもよいのです。このように、提示された指示オブジェクト104に従うことに対応して、車両20の動きを制御することができます。
これに対して、指示オブジェクト104に従わなかったり誤って操作したりしたときに、車両20に特定の動きを引き起こすこともできます。例えば、指示オブジェクト104に従わなかった場合、車両の速度を変えることができます。指示オブジェクト104の見逃し等によって引き起こされる動きは、例えば、より高速にして他の乗客22によるスコアの獲得を困難にすること、より低速にしてゲーム感を単純にすることなどです。指示オブジェクト104を見逃すことによって乗客のスコア又は車両のスコアが減少し、これによって車両20に特定の動きを引き起こすこともできます。
図5に示すように、乗客130は、マーキング用ユーザ入力装置36を操作してマーキングを実施できます。マーキング用ユーザ入力装置36は、AR環境25のARオブジェクト26と相互作用するために使用され、複数の乗客22が同時に操作することができます。

【特願3 図5】

乗客22は、頭部装着ディスプレイ28を通して、AR環境25を、乗物アトラクション12の現実世界の風景と組み合わせて見ることができます。マーキング中の乗客130には、走行中に、視野134内に標的物やキャラクターなどのARオブジェクト26を提示できます。乗客130は、AR発射体136を用いてARオブジェクトをマーキングできます。
このようなAR環境25とARオブジェクト26との相互作用は、車両20の動きに影響を与え、車両20に特定の動きを引き起こすことができます。また、乗客のスコア又は車両のスコアが上がったことに対応して、車両20の動きを引き起こすこともできます。
例えば、乗客130は、提示されたARオブジェクト26にAR発射体136でマーキングすることができます。乗客130がマーキングに成功したり、ARオブジェクト26(例えば、キャラクター)とのゲームに勝ったりした場合、車両20に特定の動きを引き起こすことができます。また、スコアを達成することによっても、特定の動きを引き起こすことができます。
なお、車両20の全ての乗客22が、同時に複数のユーザ入力装置32を制御することもできます。車両20の全ての乗客22とARオブジェクト26との相互作用が、車両20の動きに影響を与え、特定の動きを引き起こすことができます。また、運転成績も、車両20の動きに影響を与え、特定の動きを引き起こすことができます。

■展望、結語

以上ご説明しましたように、本発明の遊園地の乗物システム、乗物およびゲーム制御システム、および、それに関連する娯楽提供方法によって、乗物アトラクションを乗客が十分に楽しむことができます。上述したような工夫が詰め込まれた本発明は、乗物の動きと、拡張現実への乗客のアクションとが相互に関係するアトラクションであり、将来的に注目できるものです。

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。

INTERVIEW

ライター

パタママ


仕事の経歴
高校卒業後、大田区内の企業に入社。
その後、転職&フリーターをして、95年に結婚して専業主婦をしています。
趣味は特に入れ込んだものはないですが、生活のすべてが趣味みたいなものでしょうか。
節約料理や便利になる工作など。新婚のころはよく家で大工さんのようにすのこで棚を作ったりしていました。
他にも、中学生~高校生のころは裁縫や手芸が好きで、漫画イラストを描くのも好きだったことからか、PTAで新聞を書いたり、子供が少年野球を始めた時、子供が在籍している間の卒業記念品のスライドショーを毎年作成しておりました。

——特許の概要 (商品説明、特許の活用方法など)をお聞かせください。
まだ出願中ですので、特許の詳しい概要は控えさせていただきますが、 クラウドファンディングをしていますので、そちらをご覧ください。 https://camp-fire.jp/projects/view/237765

——アイデアのきっかけとなったエピソードをできるだけ具体的にお聞かせください。
現在、クラウドファンディング中のもので、「わんぽろキャッチ」という犬のフンとり具があります。
特許出願中ですが、まだ公開されていません。2019年2月に出願しました。
https://camp-fire.jp/projects/view/237765 最初に出願した特許は全面平らでした。これだと、袋を反転させるために、袋の一部を本体に係止させる作業が必須でした。そこで犬のフンとり具の周囲の立ち上がりがあれば、間に何か挟まっていれば、それが袋を押さえる役目をするようになりました。そのため、本体に袋をかぶせるだけで、袋を反転できるようになり使い勝手が飛躍的にUPすると気が付き、追加出願、さらにその類似を排除するためにもう一件の特許を出願しました。
また外国でも犬のフンについては関心が高いようなので、Hagueを使ってUS(米国)とEU(欧州)に出願、コンクールの展示の件があったので、国内意匠も出願、「わんぽろ」の商標登録、「発明★雑貨」「パタママ」というのを自分のブランドとして使いたいので商標登録を行いました。
金型を作ってプラスチック成型品を作るため、権利に関してのちのち悔いが残らないようにしました。

※Hagueとは…意匠の国際登録制度

——アイデアの実現(開発)に関して、一番大変だったことはどんなことですか?どうやって乗り越えていったかなどエピソードもお聞かせください。
今つくっている「わんぽろキャッチ」ですが、これを売りモノとして作るときに、どう作らなければならないのか?これを考えることが大変でした。
最初は手作りでMDFをレーザーカッターで抜いて、作っていましたが、商品として流通させるにはやはり量産することが必要だと思いました。
それにはどうやって作ったらいいのか?抜きで作ったらどうなるか?
個人で作ろうと思ったときに、周りの人のほとんどは「初期費用が安い方法」でやるべきだと言います。
しかし、私が考えたのは、初期費用はとても高いのですが、製品の単価にしたら、プラスチック成型品が一番安くなるはずだし、製品としても完成度が高いものになるはず。
製品化が目標というわけではなく、事業としてやっていけるのかを考えていたので、プラスチック成形品にするための金型導入の決断が最も大変でした。


——新しいモノゴトを生みだすためのアドバイスをするとしたら、一番大切なことはどのようなことだと伝えますか?
新しいもの、今までになかったものって、人に説明するのが大変です。
それをどうやってわかってもらうのか。また、よく言われたことは「問屋に言わせると、棚がない」という、断るための常套句?
しかし、これからは自分で発信できる時代で、自分で売れる時代だと信じて、プラスチック成型をやってしまいました!(ただし、まだ結果は出ていません…)


——企画のスタートから特許取得に至るまで、どれくらいの期間がかかると想定されていましたか?また、実際にはどれくらいの期間が必要でしたか?
私は発明家なので、どちらかというと特許出願優先です。
逆に、特許を製品化してしまったので、実はすこしドキドキしています。
しかし、犬のフンとり具として先に違うものを考えていて、それを使っていくうちに違うものを思いついた。そこから製品化を計画するとしたら、1年3か月くらい期間がかかりました。


——特許取得に至るまで、どれくらいのコスト(開発・特許申請の金銭面、労力面)が必要でしたか?
権利の出願関連はすべて自分で書いて出願するので14000円×3の42000円。
審査請求は今現在、非課税納税者なので無料(審査請求済み)
商標2区分のものが4件、(内3件登録済み、1件審査中)
査定はまだですが、意匠出願16000円×1
Hagueを使用し申請したUS(米国),EU(欧州)で今のところ約12万円かかっています。今後EUが登録されれば登録料があと4万円かかってきます。
専業主婦の特権をフル活用しています。


——特許取得に関して、一番大変だったことはどんなことですか?どうやって乗り越えていったかなどエピソードもお聞かせください。
犬のフン取り具に関して、先願の量がとても多く、先願を踏まえて、自分はどこで権利を主張するのかが大変でした。
そして、出願して製品化を検討しているときに改良点を見つかったこと。
考えた結果、別の特許を出願することにしました。


——特許取得による結果(金銭面、活用面)をお聞かせください。
まだ、公開されていないので、結果はわかりません。
しかも、自分で書いているので、全て自己責任です。
では、大変な出願を弁理士に頼まず、あえて個人で特許を出願するのかというと、自分のアイデアとして主張したいこともありますが、製品化したときに、他社の侵害がないようにするためでもあります。
製品化するなら特に。


——その他、今回の特許をめぐるウラ話など、お聞かせください。
今回の特許の裏話ではないですが、8年くらい前に出した出願で、拒絶査定された参考文献が大正時代に出願された意匠でした。そんな昔からあったのかと感心しました。
また、エコバッグの出願時にあった拒絶の参考文献がアメリカの5、60年くらい前の特許。
日本人がまだ風呂敷を使っている時代の手提げバッグの先願があるなんで、アメリカはすごいな、と思いまいした。

やはり、特許は出願&審査請求してみないとわからないなと思いました。



——今回の特許の未来への展開・発展、もしくは、新たな企画の方向性など、これからの活動について、公開できる範囲でお聞かせください。
まずは、クラウドファンディング中の「わんぽろキャッチ」の金型代を回収できるように頑張りたいです

取材協力:一般社団法人 発明学会 https://www.hatsumei.or.jp/