イノベーション・フロンティア、未来を形作るロボット技術

INTRODUCTION

現在のロボット技術は、AIと機械学習の進化により、自律性と知能が飛躍的に向上しています。自己学習能力を持つロボットは、製造業から医療、サービス業まで幅広い分野で活躍しています。

例えば、高度なセンサーとアルゴリズムを搭載した工業ロボットは、生産効率の向上に貢献し、人間の作業者と協働することが可能です。

将来的には、ロボット技術はさらに進化し、より複雑でクリエイティブなタスクを実行できるようになるでしょう。人間とロボットの親和性が高くなり、ロボットは人間にとって必要不可欠な存在になるでしょう。 今回は、そんな高度なロボットの特許を少しだけご紹介します!

CONTENTS

  • #1未来のサービスを今、あなたのテーブルへ

  • #2地形を選ばないフレキシブル移動ロボット

  • #3ロボットをより安全に充電して効率アップ

未来のサービスを今、あなたのテーブルへ


最近、ファミリーレストランなどで、料理を配膳してくれるロボットが活躍していることに気づかれているでしょうか。このロボットは、レストランのフロアを緩やかに動き、最適なルートで料理を運んでくれます。このようなロボットを全国のレストランに展開するためには、動作の正確性や安定性はもちろんのこと、メンテナンス性も優れている必要があります。

今回紹介する発明は、レストランのサービスをレベルアップするための食事サービングロボットについてです。どのような特許技術があるのでしょうか。

一般に、ロボット開発における主な課題はいくつかの側面にわたって広がっています。まず第一に、動作の安定性が挙げられます。安定性はロボットの基本的な要件であり、特に移動中に重要となります。この安定性は駆動輪群と自在輪群の配置に大きく依存しており、これによりロボットが均衡を保ちながら効果的に移動できるようになります。

次に、機動性も重要な課題となります。ロボットは特定の方向に自由に移動できる能力を持つ必要があります。これは自在ホイールセットの設計に関連しており、特定の回転制限を持つように設計された自在ホイールセットによって、ロボットは特定の方向に自由に移動できるようになります。

また、メンテナンスの利便性も重要な課題です。ロボットのメンテナンスは簡単で効果的である必要があります。これは輪郭や取り付け構造の設計に関連しており、効果的な取り付け構造を持つように設計されたロボットは、メンテナンスが容易になります。

さらに、保護構造も重要な課題となります。ロボットの部品は適切に保護される必要があり、これは保護ハウジングの設計に関連しています。保護ハウジングはロボットの部品を保護し、長寿命を保証します。

最後に、コスト効率も重要な課題です。ロボットの設計は製造コストを節約しながらも効果的な性能を提供する必要があります。これは賢明な設計と材料選定によって達成されることが多く、ロボットの開発者は高品質なロボットを低コストで提供する方法を常に探求しています。

発明の目的

この発明の目的は、自在ホイールセットを有するロボットを提供することです。このロボットは、移動安定性を保証し、自由に操舵することを実現できます。具体的には、シャーシ構造が2つの駆動輪とフレーム、そして2つの自在ホイールセットを含むロボットを提供します。

この自在ホイールセットは第一ストッパ、第二ストッパ、自在ホイール、および取り付け構造を含みます。自在ホイールは取り付け構造に回転可能に設置され、第一ストッパと第二ストッパは自在ホイールに近接して設置されます。

自在ホイールは第一ストッパと接触するまで回転し、第一限界位置で停止します。また、自在ホイールは第二ストッパと接触するまで回転し、第二限界位置で停止します。この設計により、ロボットの移動安定性が保証され、自由に操舵することが可能になります。

発明の詳細

それでは、図面も参照しながら、本発明の詳細について説明していきます。

【図1】

図1(および図2から図5)は、本発明の実施形態に関連する自在ホイールセットを有するロボット100を示しています。このロボットは配送タスクを実行するために使用することができます。

ロボット100はシャーシ構造1を含み、このシャーシ構造は以下の要素から構成されます:
2つの駆動ホイールセット10
フレーム30
2つの自在ホイールセット200

自在ホイールセット200はさらに以下の要素を含みます(図2も参照):
第一ストッパ210
第二ストッパ220
自在ホイール230
取り付け構造240

自在ホイール230は取り付け構造240に回転可能に設置され、第一ストッパ210と第二ストッパ220はキャスタ230に近接して設置されます。自在ホイール230は第一ストッパ210と接触するまで回転し、第一限界位置で停止します。また、自在ホイール230は第二ストッパ220と接触するまで回転し、第二限界位置で停止します。

このシステムは、ロボットの移動安定性を保証し、自由に操舵することを可能にします。

【図2】

2つの自在ホイールセットと2つの駆動ホイールセットはフレームの両側に設置されます。この設計により、ロボットは安定して移動することが可能となります。

【図4】

【図5】

図3から図5に示すように、底板31に駆動輪取付溝311が設置されます。駆動輪群10は駆動輪11及び前記駆動輪11に固定的に接続されるロック部材12を含みます。前記駆動輪11は前記駆動輪取付溝311に設置されます。ロック部材12は底板31の外部に固定されます。この場合、底板の外部からロック部材を取り外し、それにより駆動輪を駆動輪取付溝とシャーシから分離し、駆動輪群を着脱すること(つまり交換すること)が簡単になります。

ロボットのシャーシ構造については、次のようにまとめることができます。

底板31には、駆動輪取付溝311が2つあり、それぞれが第一溝3111と第二溝3112を含んでいます。これらの溝は連通しており、同じ延伸方向を持っています。

駆動輪11は第一溝3111に設置され、緩衝構造13は駆動輪11に接続され、第二溝3112から貫通できるように設計されています。これにより、緩衝構造と駆動輪を一体化し、メンテナンスの利便性を向上させることが可能になります。

緩衝構造13の寸法は第二溝3112の寸法よりも小さくなければなりません。

ロック部材12は板部材を含み、緩衝構造13はこの板部材に固定されます。この板部材は第二チャネル3112を覆い、底板31と係止することで、緩衝効果を実現します。

制振構造にはバネが含まれています。

シャーシ構造1はさらに2つのホイールセット40を含み、これによりメンテナンスの利便性が向上します。

底板31には2つのキャスタ取付溝314があり、保護ケース250はこれに設置され、外部から固定されることで、駆動輪群と自在輪群のメンテナンスの利便性が向上します。

この特許発明はロボット技術の分野における革新的な自在ホイールセットを提供しています。このシステムは、ロボットの移動安定性を保証し、自由に操舵することを可能にする新しい自在ホイールセットを導入しています。特に、自在ホイールの回転角度を制限することで、ロボットの回転自由度を保証し、安定性を向上させることが可能です。

この設計は、底板中心を回転軸として自転する能力をロボットに付与し、自在車輪と駆動輪群との間の距離を増加させることで移動過程の安定性を高めます。また、自在車輪群を底板の縁部に配置することで、ロボットの安定性がさらに向上します。

この技術は特に、自律的に料理の配布などのタスクを実行する食事ロボットに有用であり、メンテナンスの利便性も向上させています。

この特許技術が広く採用されることで、未来の食事配布システムは大きく変革される可能性があります。自律的な食事サービングロボットは、病院、高齢者ホーム、学校、企業のカフェテリアなど、さまざまな施設での食事配布を効率化し、人間の労力を大幅に削減することができます。

高度に安定した移動システムを持つこれらのロボットは、狭い通路や混雑したエリアでもスムーズに移動できるため、配布時間を短縮し、サービスの質を向上させることができます。また、自在ホイールセットの採用により、ロボットは障害物を避けながら効率的なルートを選択できるようになります。

さらに、メンテナンスの利便性が向上することで、ロボットのダウンタイムが減少し、長期的な運用コストも削減されます。これにより、施設は人件費の削減だけでなく、ロボットのメンテナンスに関連するコストも削減できるようになります。

未来の社会では、このようなロボットが家庭にも導入され、家庭内のタスクを支援する可能性もあります。例えば、高齢者が自宅で安心して生活できるよう、食事を運んだり、家事を助けたりするロボットが普及するかもしれませんね。

発明の名称

自在車輪を備えたロボット

出願番号

CN202010368440.8

特許番号

CN111730609B

出願日

2020/4/30

登録日

2021/12/14

出願人

深圳市普渡科技有限公司

発明者

王远志 等
国際特許分類

B25J 11/00
B25J 5/00
B60B 33/00
B62D 61/10

経過情報

中国以外へのファミリー出願なし


地形を選ばないフレキシブル移動ロボット


近年、ロボット技術は急速な進展を遂げており、私たちの日常生活、産業、医療、そしてエンターテインメントの分野での利用が増加しています。しかし、これらのロボットが直面する環境は、都市の平坦な道路から、山道、砂漠、森林といった複雑な地形まで、非常に多岐にわたります。

そこで、問題となるのが、これらの異なる環境に適応する能力です。従来のロボットは、特定の環境に特化して設計されていることが多く、多様な環境での適応能力に限界がありました。しかし、今回紹介する発明は、この問題に対する解決策を提供します。

本発明で開示される調節可能なシャーシを持つロボットは、さまざまな地形や障害物に迅速に適応することができます。シャーシの高さや支持領域を調整することで、ロボットは安定性を保ちながら、最も効率的な移動を実現します。

具体的にどのようなロボットなのでしょうか。詳説していきます。

本発明は、移動ロボットの技術分野に関し、特に車体調整可能なロボットに関します。

近年、移動ロボット業界は急速に発展しています。例えば、ロボットを走行させたい路面はさまざまであり、どんな路面であっても安定的に走行できるロボットが強く要望されています。

人間からの指示を受けなくても自律的に走行できるロボットは以前から開発されていますが、凹凸のある地面であっても安定的に走行できる自走式ロボットは、さらに強く要望されています。

自走式ロボットを正常に動作させるためには、例えば、車体の重心や高さを変えながら走行できる性能が必要となります。よって、今後もさらに自走式ロボットの安定的走行性能を向上させる必要があります。

そこで、車体の重心や高さを変えてバランスをとりながら走行できる移動ロボット(自走式ロボット)が要望されています。

発明の目的

本発明は、ロボットの車体全体の重心および高さを自律的に調節するためのアイデアを提供します。本発明のロボットは、様々な環境で円滑に走行できます。例えば、凹凸のある地面においても、バランスを保ちながら走行できます。

本発明の自走式ロボットは、胴体部、通信装置、ロボットアーム装置、および、箱状収容装置を備えます。本発明のロボットは、4本の脚を備えます。詳しくは、左右の片側において前後に2本の脚を備え、前側の脚及び後側の脚は、それぞれ機械式脚装置となっています。

胴体部の左右両側に、前側の機械式脚装置および後側の機械式脚装置がそれぞれ取り付けられています。胴体部の上部前端に、通信装置が取り付けられています。胴体部の上部後端に、ロボットアーム装置が取り付けられています。胴体部の側面中央部に、箱状収容装置が取り付けられています。

それぞれの機械式脚装置は、上部関節、中部関節、底部関節の3つの回転関節を有します。このうち特に中部関節に特徴があり、中部関節に詰め込まれた工夫によって、本発明の自走式ロボットは、走行中にロボットの重心の高さ、および、ロボット自体の高さを調整できます。

発明の詳細

図面を参照して、本発明の具体例を説明します。

図1は、本発明のロボットの斜視図です。

本発明のロボットは、図1に示すように、胴体部(3)、通信装置(4)、ロボットアーム装置(5)、および、箱状収容装置(6)を備えます。

本発明のロボットは、図1に示すように、4つの脚を有し、各脚が機械式脚装置となっています。

詳しくは、本発明のロボットは、左右の片側に機械式脚装置(1)および機械式脚装置(2)の2本の脚を備えます。すなわち、左側の前後および右側の前後に合計4本の機械式脚装置を備えます。前後の機械式脚装置(1)および機械式脚装置(2)は、胴体部(3)の両側にそれぞれ取り付けられています。

言い換えますと、機械式脚装置(1)および機械式脚装置(2)は、左右の一方側(例えば左側)に配置されています。よって、左右のもう一方側(例えば右側)にも、同様に機械式脚装置(1)および機械式脚装置(2)が存在します。

通信装置(4)は、胴体部(3)の上部前端に取り付けられています。ロボットアーム装置(5)は、胴体部(3)の上部後端に取り付けられています。箱状収容装置(6)は、胴体部(3)の側面中央部に取り付けられます。

通信装置(4)、ロボットアーム装置(5)、および箱状収容装置(6)について詳しく説明されていませんが、通信装置(4)によって外部からの指令を受信し、ロボットアーム装置(5)によって、必要とされる物をつかみ、箱状収容装置(6)には、つかんだ物を収容すると予想されます。

【図1】

図2は、本発明のロボットが重心を下げた状態の斜視図です。

【図2】

機械式脚装置(1)および機械式脚装置(2)は、それぞれ上部関節、中部関節、底部関節の3つの回転関節を有します。これら3つの関節は、それぞれ独立してモータで駆動できます。図2において上部関節、中部関節、底部関節の各符号は表示されていませんが、人間でいえば股関節に相当する部分が上部関節であり、ひざに相当する部分が中部関節であり、足首に相当する部分が底部関節です。

図1及び図2では、前方に機械式脚装置(1)が配置され、後方に機械式脚装置(2)が配置されています。機械式脚装置(1)および機械式脚装置(2)は、互いに対称構造です。すなわち、機械式脚装置(1)および機械式脚装置(2)は、左側または右側のいずれから胴体部(3)を見たときに、ほぼ線対称となるように構成されています。

本発明の主な特徴は、中部関節に詰め込まれています。中部関節は、人間の膝に相当するひざ部だけでなく、ひざ部から上下にそれぞれ延びる太もも部およびすね部も含んだ部分です。

図3は、本発明のロボットが備える機械式脚装置の斜視図です。また、図4は、本発明のロボットが備える機械式脚装置の内部構成図です。

【図3】

【図4】

本発明のロボットは、中部関節によって、走行中にロボットの重心の高さ、および、ロボット自体の高さを調整できます。以下に順を追って詳しく説明します。

中部関節は、図3及び図4に示すように、以下の部材を有します。詳しくは図3に示すように、中部関節は、太もも部の外側部材(1-02)、太もも部の内側部材(1-11)、エンドキャップ(1-03)、振動緩衝バネ(1-05)、バネ用シャフトピン(1-04)、すね部の外側部材(1-06)、および、すね部の内側部材(1-10)を有します。また、内部構成を表した図4に示すように、バネ取り付け部(1-21)、直線運動モータ(1-14)、中央ベアリングシャフト(1-15)、転がり軸受(1-20)を有します。

太もも部の内側部材(1-11)は、太もも部の外側部材(1-02)に取り付けられて固定されています。同様に、すね部の内側部材(1-10)は、すね部の外側部材(1-06)に取り付けられて固定されています。

太もも部の内側部材(1-11)は、すね部の外側部材(1-06)に対して回動するように連結しています。

振動緩衝バネ(1-05)は、文字通り、走行中に路面から受ける振動を弱める作用を有します。

振動緩衝バネ(1-05)の上部は、バネ用シャフトピン(1-04)によってバネ取り付け部(1-21)に対して回動するように連結しています。なお、シャフトピンとは、回動する部分の軸となる部品です。

一方、振動緩衝バネ(1-05)の下部は、すね部の内側部材(1-10)およびすね部の外側部材(1-06)に対してそれぞれ回動するように連結しています。

図3及び図4で示していませんが、上記のバネ取り付け部(1-21)にはネジ穴があり、直線運動モータ(1-14)との間でボルトナット構造を形成しています。直線運動モータ(1-14)は、詳しくはリニアステッピングモータであり、直動式ステッピングモータともいわれます。ステッピングモータは、高精度な制御が要求される場合に使用されるモータの1種であり、高精度に制御されつつ直線的な動きを生じさせるモータが、上記の直線運動モータです。ボルトナット構造は、雌ネジと雄ネジの関係を有する構造です。直線運動モータ(1-14)は、直接、バネ取り付け部(1-21)を駆動させます。

太もも部の内側部材(1-11)および太もも部の外側部材(1-02)にはそれぞれガイドレールがあります。そして、直線運動モータ(1-14)によって動かされるバネ取り付け部(1-21)は、ガイドレールに沿って直線的にスライドできます。言い換えますと、バネ取り付け部(1-21)は、太もも部の内部を上下方向に直線的に移動できます。

中央ベアリングシャフト(1-15)は、横方向に延びる短い軸であり、転がり軸受(1−20)によって支えられています。自転車の車輪の中心軸が、ベアリング軸受によって支えられている構造に似ています。

中央ベアリングシャフト(1-15)の一方の端(内側の端)は、転がり軸受(1−20)を介して太もも部の内側部材(1-11)に対して回動するように連結されています。もう一方の端(外側の端)は太もも部の外側部材(1-02)に取り付けられて固定されています。

バネ取り付け部(1-21)は、振動緩衝バネ(1-05)を介してすね部の内側部材(1-10)およびすね部の外側部材(1-06)を駆動させます。

以上のように、機械式脚装置を構成する各部材を連動させつつ動かすことによって、中部関節を全体的に駆動させて、さらにロボット全体の重心および高さを調整します。

以上説明しましたように、本発明の自走式ロボットは、中部関節によって、ロボットの重心の高さ、および、ロボット自体の高さを走行中に調整できます。

本発明の自走式ロボットは、胴体部、通信装置、ロボットアーム装置、および、箱状収容装置を備えます。本発明のロボットは、4本の脚を備え、それぞれの脚は、機械式脚装置となっています。

前側の2つの機械式脚装置は、胴体部の左右両側にそれぞれ取り付けられています。通信装置は、胴体部の上部前端に取り付けられています。ロボットアーム装置は、胴体部の上部後端に取り付けられています。箱状収容装置は、胴体部の側面中央部に取り付けられます。

各機械式脚装置は、上部関節、中部関節、底部関節の3つの回転関節を有し、特に振動緩衝バネを有する中部関節が精密に駆動します。振動緩衝バネの上端部及び下端部は、中部関節をまたぐように、それぞれ太もも部およびすね部に対して取り付けられています。

振動緩衝バネの上端部は、太もも部の長さ方向に沿って直線的に移動でき、一方で、振動緩衝バネの下端部は、すね部に対して回動するように動きます。このような構造によって、機械式脚装置(脚)が折れ曲がってしゃがみ込むような動きが可能となり、ロボットの重心の高さ、および、ロボット自体の高さを走行中に調整できます。

本特許は、中国の深圳市普渡科技有限公司社から出願され、中国のみで特許となった発明です。深圳市普渡科技有限公司社は、プードゥ・ロボティクス(英語表記はPudu Robotics)という会社名でも知られています。2016年に創業者Tao ZHANG(張濤)によって設立されました。配送ロボットが主要な製品です。様々な国でレストラン、ホテル、病院などにプードゥ社のロボットが導入されています。2021年10月に、日本のすかいらーくグループでプードゥ社の配膳ロボットが導入された実績があります。

本発明は、人間による操作指示を受けなくても、自走式ロボットを安定的に走行させるためのアイデアと考えられます。本発明を応用することで、レストランなどで配膳ロボットとして役立つだけでなく、将来的には人間が近寄れない荒野や月面といった場所でも走行できるロボットを開発できる可能性があります。

発明の名称

車体調整可能なロボット

出願番号

CN.202110258615.4(中国出願)

公開番号

CN.113002655(中国公開公報)

特許番号

CN.113002655(中国特許)

出願日

2017.10.10

公開

2021.06.22(公開公報)

登録日

2022.08.16(特許公報)

出願人

深圳市普渡科技有限公司

発明者

张涛
蔡阳春
邓卓
王远志
郭璁
陈鹏
国際特許分類

B62D 57/028
B60G 11/16

経過情報

・本願は中国で出願された親出願からの分割出願です。親出願および子出願である本出願の両方とも、中国ですでに特許となっています。


ロボットをより安全に充電して効率アップ


私たちの日常生活の中で、ロボットはますます重要な役割を果たしています。彼らは私たちの家での作業を助け、オフィスでのタスクをサポートし、さらにはレストランでの配膳サービスを提供しています。しかし、これらのロボットが効果的に機能するために最も必要な機能は何でしょうか?

それは、持続的なエネルギー供給です。充電は単なる電力供給以上のものです。それは、ロボットが安全で効率的に動作するための鍵となる要素といえます。

今回紹介する発明は、移動ロボットの充電におけるショートのリスクを抑制し、低効率、高コストの問題を解決するための充電構造に関するものです。

具体的にどのような発明なのか、詳説していきます。

科学技術の発展とともに、現代化の進行が加速し、人々は単純で繰り返しの多い、技術的内容が低い労働からの解放の需要が増加しています。その結果、ロボットが人々の生活に次第に取り入れられ、関連する作業を助けるようになりました。

現在の飲食業は典型的な労働集約型の産業であり、作業量が多く、労働強度が高く、繰り返しの多さと効率の低さが特徴です。この問題を解決するために、多くの飲食店が従業員の代わりにスマートロボットを使用することを選択しています。

現在の市場において、食事を配達する移動ロボットは自主充電(自動充電)が完全には実現しておらず、他の分野での移動ロボットの自動充電にも多くの問題が存在します。例えば、充電スタンドの充電接点が露出しているとショート(短絡)のリスクがあり、製造コストが高く、自動ドッキングの精度が低く、効率が低下し、成功率も低いという問題があります。

発明の目的

本発明は、移動ロボットに適用する短絡防止の自動充電構造を提供することを目的としています。

発明の詳細

本発明は、移動ロボットの短絡防止自動充電構造を提供するものです。これにはロボット本体、充電スタンド本体、第一充電電極板、第二充電電極板、第一充電接点、第二充電接点が含まれます。大きな特徴として、以下の点が挙げられます。

  • 第一および第二の充電接点は、充電スタンド本体の前端に突出した2つの上下に配置された接点の凹部にそれぞれ取り付けられている。
  • ロボット本体の底部の後端には、一つの電極の凹部があり、その中に第一および第二の充電電極板が取り付けられている。
  • 第一および第二の充電接点、および第一および第二の充電電極板は上下に配置されている。
  • 第一の充電電極板は、第二の充電電極板と比較して、水平方向の長さが異なる。
  • 充電時には、充電スタンド本体の前端の突起部がロボット本体の底部の後端の電極の凹部と合致し、第一および第二の充電電極板がそれぞれ対応する接点の凹部の中の充電接点に接触するようになっている。
  • 充電スタンド本体には、充電スタンドの電源インターフェースが設置されており、充電スタンド本体の外殻の上部には、ロボットの自動充電ドッキングのための識別マークが設置されている。

本発明による移動ロボットの短絡防止自動充電構造は、ロボット本体、充電スタンド本体、ロボットの充電電極板、充電接点を含みます(筆者注:一般的な「お掃除ロボット」と同じです)。

ロボットがバッテリーの電量を検出して充電が必要であると認識すると、ロボットはまず自動的に充電スタンドの近くに移動します。ロボットの頭部に取り付けられたカメラは、充電スタンド上のマークを認識して精確に位置を調整し、充電スタンドとドッキングします。その結果、ロボット本体の充電電極板は充電スタンド上の充電接点と接触します。電極板と接点が接触を完了し、電流を認識すると、ロボットは自動的に充電モードを開始し、充電が完了するまで待機します。

それでは、図面も参照しながら、本発明のさらなる詳細について見ていきます。

【図1】

図1に示すように、自動充電スタンド本体1は、充電スタンドの外殻の上部にあるロボットの自動充電ドッキングのための識別マーク2、充電スタンドの前端の突起部の凹部に取り付けられた弾性の充電接点3、および充電スタンドの電源インターフェース4で構成されています。

充電接点は2つあり、上下に配置されています。上部の充電接点は第一の充電接点、下部の充電接点は第二の充電接点です。

第一の充電電極板は、第二の充電電極板と比較して、水平方向で一定の長さが大きい、または一定の長さが小さく設計されていてその長さの差は2mmです。弾性の充電接点3は、充電スタンド本体1の前端の突起部の接点の凹部に取り付けられており、電極などの導電材料が同時に2つの正負の接点に接触して短絡するリスクを大幅に減少させるため、短絡防止の機能効果を奏します。

【図2】

【図3】

図2に示すように、ロボット本体7の底部の後端の下側の電極の凹部には、第一の充電電極板5と第二の充電電極板6が取り付けられています。ロボット本体の上部には、識別マークを識別するための視覚センサー8が取り付けられています。充電電極板5、6は、ロボット本体7の底部の外殻の下側の凹部に取り付けられており、電極などの導電材料が電極板に触れて短絡するリスクを大幅に減少させます。

さらに、図3に示すように、第一の充電電極板5は、第二の充電電極板6と比較して、水平方向での長さが異なるように設計されています。例えば、第一の充電電極板5は、第二の充電電極板6と比較して、水平方向で2mm長い、または2mm短くなっています。これにより、導電材料が同時に電極板に接触して短絡するリスクがさらに低下します。

【図4】

具体的な充電作業は、図4に示すように、充電スタンド1とロボット本体7の充電ドッキングによってなされます。両者は相補的な形状構造として設計され、十分なスペースの余裕があり、ロボットの自主的なドッキング充電はシンプルで信頼性が高いといえます。

本発明によって開示されたロボットの充電構造は、スマートな移動食事配達ロボットの短絡防止自動充電に主に使用されます。

食事配達の移動ロボットによる自主的な充電動作だけでなく、他の分野の移動ロボットも含めて、自動充電には多くの問題がありました。具体的には、充電接点が露出していると短絡のリスクがあり、コストが高く、自動ドッキングの精度が低いなどの問題がありました。本発明で開示された短絡防止設計は、食事配達ロボットの短絡防止自動充電だけでなく、他の移動ロボットの自動充電にも適用できます。

本発明、すなわち移動ロボットの短絡防止自動充電構造に関するものは、ロボット技術と自動充電技術の進化において重要な基礎技術です。このような技術を活用することで、次のような利点が考えられます。

1.安全性の向上:

短絡防止技術の導入により、ロボットの充電中の安全性が大幅に向上します。これにより、消費者やビジネスの信頼性が増し、ロボット技術の採用がさらに加速する可能性があります。

2.ロボットの普及:

飲食業をはじめとする多くの産業で、労働集約的な作業をロボットが担当することは一般的なこととなるでしょう。特に、安全で効率的な充電システムが導入されることで、24時間稼働するロボットの導入が現実的になります。

3.環境への影響:

ロボットの普及とともに、電力消費が増加する可能性については常に議論される懸念点です。しかし、効率的な充電技術の導入により、エネルギーの無駄は減少し、環境への影響を最小限に抑えることができると考えられます。

発明の名称

自在車輪を備えたロボット

出願番号

CN202010368440.8

特許番号

CN111730609B

出願日

2020/4/30

登録日

2021/12/14

出願人

深圳市普渡科技有限公司

発明者

王远志 等
国際特許分類

B25J 11/00
B25J 5/00
B60B 33/00
B62D 61/10

経過情報

中国以外へのファミリー出願なし


CONCLUSION

ロボットとAIの融合

今回は既に実用化されているロボットや海外の特許についても取り上げてみました。ロボット産業は今後さらに世界中でイノベーション合戦が起こると予想されます。

「機械は体、AIは脳」そんなイメージをするとわかりやすいと思いますが、AIの発達により、ロボットは単なる単一処理をする機械から双方向性を進化させ、会話型など応用力をもったロボットの成長が進むと思われます。

しかし、一方で行き過ぎた開発には怖さもあると感じる人も多いのではないでしょうか。例えば「ロボットが自我を持つ」なんてことが、映画の世界ではなく現実となると、人間を敵と認識した場合とんでもないことが起こりそうですよね。

さらには、自動運転などの安全性や万が一の責任問題など、様々なリスクも含んでいます。AIであればハッキングや通信障害などセキュリティ問題も。そうなると付随してセキュリティ関連や保険、街の電気屋さんも復活するかもしれないですし、ロボット用の駐車場?ホテル?なんかも生まれるかもしれない。

このロボットの特許を応用して…というよりも、こんな技術があるなら、こんな分野も成長しそうだ。そんな風に考えてみると新しいアイデアが生まれるかもしれないですね。