文房具業界の変革!特許が示す新たな方向性

INTRODUCTION

昨今の文房具業界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で働き方や学び方が大きく変わり、これに伴い様々なニーズが生まれています。リモートワークやオンライン授業の増加に伴い、従来の文房具にはない新しい機能やデザインが求められており、業界もこれに応えるべく日々革新に努めています。

文房具は私たちの日常生活に欠かせない存在ですが、時と共にその形や機能は革新的に進化しています。Vol35では、その進化の秘訣とも言える「特許技術」にスポットを当て、文房具の魅力を再発見しましょう。

文房具業界では、使い勝手を追求した製品開発が活発に行われており、多くの特許技術が申請されています。例えば、持ち運びやすく、落としても中身が散らばらない筆箱や、シャープペンシルの芯が自動でとがるシャーペン等、私たちの働き方や学び方をサポートするアイテムが次々と登場しています。

特許を持つ文房具は、他の製品と差別化され、消費者の目を引く要素となります。特許技術により、使いやすさ、機能性、デザイン面で優れた製品が市場に登場し、私たちの生活をより便利で快適なものに変えてくれます。

Vol35では、特許技術が生み出す文房具の新しいトレンドや、その技術の舞台裏に迫っていきます。どうぞお楽しみに!

CONTENTS

  • #1シャープペンシル芯押し戻し用ペンスタンド

  • #2空間を活かす創造力!新形の付箋で効率アップ

  • #3落としても散らばらない!安心・安全な筆箱

シャープペンシル芯押し戻し用ペンスタンド


今回紹介する特許発明は、シャープペンシル利用者のためのペンスタンドを提供するものです。このペンスタンドの最大の特徴は、シャープペンシルの芯を簡単かつ安全に押し戻すことができる押戻し用パッドを備えている点です。このパッドは、ペンの後端を指で押しながらペンの先端をパッドに押し当てることで、芯を安全に押し戻すことができます。

これにより、指を汚したり、机や他の表面を傷つけたりすることなく、芯を押し戻すことが可能になります。非常にシンプルな発明ですが、どのような狙いがあるのでしょうか。詳説していきます。

従来のペンスタンドや方法では、シャープペンシルの芯を戻す際に指や机などに芯を押し当てる必要がありました。しかし、これにはいくつかの問題がありました。例えば、指が汚れる、芯が書籍に転写する可能性があり不安を感じる、または机にペンを突き刺す行為が不謹慎と感じられるなどの問題がありました。特に、机に突き刺す行為は、五寸釘で藁人形を打ち付けるような「呪詛のイメージ」を惹起するとされ、不適切と感じる人もいるようです。

例えば、ソーシャルネットワークサービス(SNS)を閲覧していると、いつの間にか自分好みの情報(興味ある情報)が次々と提供された経験はありませんか。このように、ユーザの興味を自動的に特定し、そのユーザ向けに特定の情報を提供する技術は、以前から要望されてきました。

発明の目的

本発明は、上記課題に鑑み、新たなペンスタンドを開発したものです。この新しいペンスタンドは、シャープペンシルの芯を安心して押し戻すことができる押戻し用パッドを備えています。このパッドは、ペンスタンドの台部の上面に貼り付けられた柔軟性のある部材(例えば、ゴム)の小片から作られています。この押し戻し用パッドを利用することで、芯を指や机に押し当てることなく安心して押し戻すことが可能となります。

発明の詳細

それでは、図面も参照しながら、本発明の詳細について説明していきます。

【第1実施形態】

上図は、本発明のペンスタンドの第1実施形態を示す説明図です。本発明の重要な部分は、ペンスタンド全体というよりも、押戻し用パッド3にフォーカスすると理解しやすいでしょう。

この発明のペンスタンドは、シャープペンシルのペン先から飛び出している芯を指や机に押し当てることなく、安心して押し戻すことができる押し戻し用パッド3を備えています。このペンスタンドは板状の台部とシャープペンシルを保持するホルダ、そしてそのホルダを支持する支持部を有しています。支持部は板状の台部に設けられ、ホルダは筒状でペン挿入口側に向かうに従い拡径されています。そして、板状の台部の上面にシャープペンシルの芯を押し戻すための押し戻し用パッドが設けられています。

押戻し用パッド3の断面図をみてみると、アクリル樹脂板3aの上に合成ゴムシート3bが積層された二層構造となっています。このパッド3は、ペンスタンドの台部2の上に載せるだけで利用することができます。また、個別に筆箱に収納して持ち運ぶことも可能です。台部に貼り付けて固定したい場合には、硬質部分であるアクリル樹脂板を有する小片部材を台部上面に両面テープや接着剤で固定すれば良く、位置決めは容易です。

押戻し用パッドは正方形の板状であり、上記合成ゴムシートに代えて天然ゴムシート、天然皮革、合成皮革、人工皮革またはコルクシートを用いることも可能です。また、パッドの色は黒色が好ましいです。これはシャープペンシルの芯材が付着しても目立たないためです。

このペンスタンドの第1実施形態では、柔軟性部材である合成ゴムシート等を最上層に有する押戻し用パッドが板状の台部の上面に設けられています。このため、シャープペンシルの使用後にペンシルの後端を指の腹で押し込みながらペンシルの先端を押し戻し用パッドに当接させれば、ペン先から飛び出している芯をペン先を損傷させることなく安心して押し戻すことができます。

また、指を汚すことなく、机に押し当てることもありません。さらに、 シャープペンシル専用の押し戻し用パッドにペン先を当接させることで、大事なものに針を突き刺す場合の不謹慎感や藁人形に五寸釘を突き刺す場合の呪詛感が生じないため、規則正しい生活をしている人や強迫神経症気味の人にとっては気になり感が減り特に有効です。

【第2実施形態】

この実施形態では、ペンスタンドの台部と押戻し用パッドの構造が特徴的です。台部2Aは一層の磁性体の層を持ち、磁性を有する材料として炭素鋼が使用されています。他にもニッケルやフェライト系ステンレス鋼、鉄などの磁性を有する材料が使用可能です。

押戻し用パッド3Aはマグネットシートから作られており、このパッドは台部に着脱自在に磁着することができます。この構造により、パッドを指で摘んで台部の好きな位置に磁着させることが可能となります。また、第1実施形態同様、パッドは板状であり、その大きさや筆箱の形状によっては筆箱に入れて持ち運ぶことも可能です。

さらに、この実施形態では、マグネットシートからなる押戻し用パッドを用いた例を説明していますが、下図に示されるように、磁性体の層であるマグネットシート3cに合成ゴムシート3bを貼り付けた押戻し用パッド3Bも使用可能です。

また、次図に示されるように、硬質の磁石3dを嵌め込んだ木板3eに合成ゴムシート3bを重ねた押戻し用パッド3Cも好ましいです。この磁石3dは正方形板状であり、木板3eの裏面側に形成された立方体状の凹部に嵌め込まれています。

従来のペンスタンドとして、例えば万年筆用スタンドとして、以下のようなものが知られていました。

【特許第4861531B2】

このペンスタンド100を万年筆ではなくシャープペンシル用として使用することを考えた場合、ペンスタンドの台部103に、芯戻しのためにシャープペンシルを突き刺すのであれば、机に突き刺す場合に比べて不謹慎さは若干緩和されるものの、ペンスタンドに鋭利なものを突き刺すという点で、それほど不謹慎さを払拭できるものではありませんでした。

この特許発明は、シャープペンシルの芯を安心して押し戻すことができるペンスタンドを提供することに焦点を当てています。このペンスタンドは、板状の台部とシャープペンシルを保持するホルダー、そしてそのホルダーを支持する支持部を有しています。特に注目すべきは、板状の台部の上面に設けられた押し戻し用パッドであり、このパッドを使用してシャープペンシルの芯を押し戻すことができます。

押戻し用パッドは、アクリル樹脂板とその上に配置された柔軟な部材(例えば、合成ゴムシート)から構成されています。このパッドは台部に固定されるか、または単に上に置くことで使用できます。この設計により、ユーザーはペンの後端を指で押しながらペンの先端をパッドに押し当てることで、芯を安全に押し戻すことができます。これにより、指を汚したり、机にペンを押し当てたりすることなく、芯を押し戻すことができます。

さらに、第2の実施形態では、押戻し用パッドが磁性体から作られ、台部に磁着できるようになっています。これにより、パッドを簡単に取り外し、好きな位置に移動させることが可能となります。

この発明のポイントは、シャープペンシルの芯を安心して押し戻すことができる押し戻し用パッドを備えたペンスタンドを提供することにあります。このパッドは、ペンの芯を安全かつ清潔に押し戻すことができる新しい方法を提供します。

この発明は、明細書中にはっきりと明記されてはいませんが、特に自閉症スペクトラム(ASD)にある多くの人々に向けて効果的なペンスタンドといえるでしょう。このペンスタンドを利用することで、ASDを持つ人々の様々な特性や症状に対応できると考えられます。例としては次のような点が挙げられるでしょう。

■感覚過敏の緩和:
ASDにある多くの人々は感覚過敏を経験するため、このペンスタンドは彼らにとって安心感を提供することができます。芯を手で触れずに調整できることで、不快な感覚刺激を避けることが可能になります。

■ルーティーンの維持:
ASDを持つ多くの人々は一貫したルーティーンを好みます。このペンスタンドは、利用者がペンシルの芯の長さを一貫して維持できるようにすることで、日常のルーティーンを維持するのに役立つでしょう。

■自立支援:
本発明のペンスタンドは、ASDを持つ利用者が自身でペンシルの芯を調整できるように支援するツールとして機能します。これにより、利用者は自立して学習や作業を行う能力を向上させることができます。

■教育と療育の支援:
教育者や療育士は、本発明のペンスタンドを利用して、ASDを持つ利用者に対して書く技術や自己管理技術を教えることができます。

このように、本発明のペンスタンドはASDを持つ利用者にとって、安全で心地よい利用環境を提供することができる有効なツールとなり得るといえるでしょう。

発明の名称

ペンスタンド

出願番号

2023-70514

特許番号

特許第7311869号

出願日

2023.4.22

審査請求日

2023.4.22

登録日

2023.7.11

出願人

豊川 直樹

発明者

豊川 直樹
国際特許分類

B43K 23/00

経過情報

早期審査に付され、出願公開前に特許査定となっている。


空間を活かす創造力!新形の付箋で効率アップ


デスクワークや受験勉強で、メモや目印として付箋紙を使う方は多いですよね。私も受験生の頃には大量に付箋紙を使っていました。ところで、通常、付箋紙は平面的に積層されたものですが、このような形態だと、複数の色や形を持つ付箋紙を整理・利用する際に不便さがありました。

このような問題を解決するために、新たに特許を取得した立体集合型付箋紙は、4つの付箋紙ブロックを一体化させ、それぞれの前面を4方向に向けて配置することで、どの方向からでも簡単に付箋紙を取り出せるようにしたのです。具体的にどのようなものなのでしょうか。詳説していきます。

本発明は付箋紙に関します。詳しくは、色の異なる付箋が積層されたブロックを4つ集合させることで、使用時や収納時にバラバラになることがなく、収納性が良く、付箋1枚の取り出しが便利な立体集合型付箋紙に関します。

近年、付箋紙は、事務仕事や勉強時に欠かせないほど普及しています。しかしながら、まだまだ開発の余地があり、さらに便利に使用できる付箋紙が要望されています。

付箋紙を使用するうえで、収納が問題となり得ます。色違いの付箋紙ブロック(積層された多数枚の付箋紙)を複数収納するには、例えば、付箋紙ブロックを箱などに入れ、箱を机の上や引き出しの中などに保管します。一方、外出する際は、付箋紙ブロックを箱から取り出し、バックの内ポケットや筆箱の中に入れて持ち歩くこととなります。この場合、ポケットの中や筆箱の中で付箋紙ブロックが散らばったり、最も前面側の付箋紙が剥離したりします。

そこで、厚紙等の平面な台紙に複数の付箋紙ブロックを横に並べて貼着して集合させる方法が知られています。しかしながら、この方法では、机上や引き出しの中で広い面積が必要となり、スペースを有効活用できません。

一方、複数の付箋紙ブロックを上下に重ねて収納すると、最も上に配置された付箋紙しか確認できません。よって、ひと目で付箋の色がわかり、便利に使用できる機能を有する付箋紙ブロックの集合体が要望されています。

発明の目的

本発明は、筆箱や引き出し等に収納しやすく、付箋紙ブロックがバラバラに散乱せず、使用したい色の付箋紙がひと目でわかり、さまざまな方向から付箋紙の色を確認して利用できる、付箋紙の集合体を提供します。

以下、後に説明する図面での符号を付して、本発明の概要を説明します。

本発明の立体集合型付箋紙(1)は、矩形形状(四角形)の付箋紙(14)が何枚も積層されて1つのブロック(21)となった付箋紙ブロック(20)を、さらに複数結合した集合体です。なお、積層されている各付箋の前面(12)には離型剤が塗布され、背面(11)には再剥離性粘着剤が塗布されています。積層された状態では、上に重なる付箋の背面の再剥離性粘着剤が、下に重なる付箋の前面の離型剤と弱い力で付着し、上に重なる付箋が容易に剥離されて使用されます。

立体集合型付箋紙の立体構造において。4つの付箋紙ブロックは、それぞれ前面が四方を向くように配置されています。各付箋紙ブロック(20)は、1つの前面(12)、1つの背面(11)、および、多数の付箋が積層されることで形成された2つの側面(22)を有します。互いに隣り合う付箋紙ブロックは、一方の付箋紙ブロック(20)の側面(22)と、他方の付箋紙ブロック(20)の背面(11)とが結合するように配置されています。同様にして合計4つの付箋紙ブロック(20)が配置されて、四角柱のような構造体が形成されています。これにより、4つの付箋紙ブロック(20)の前面のそれぞれは、上下方向を除く4方向を向いているため、どの方向からでも少なくとも1枚の付箋紙(14)を取り出せます。

本発明の立体集合型付箋紙(1)は、上記のように四角柱のような形状を有しつつ、例えば、上下方向に貫通する空間領域(25)が中心に形成される場合があります。隣り合う2つの付箋紙ブロック(20)において、一方のブロックの背面(11)の右半分または左半分だけを、他方のブロックの側面全体と結合すると、空間領域(25)が形成された立体集合型付箋紙(1)ができあがります。

上記の空間領域(25)に支持軸(40)を挿入して、支持軸(40)の一端が付箋紙ブロック(20)から突出し、支持軸(40)の先端部に筆記具(41)を取り付けて使用できます。

付箋紙ブロック(20)(すなわち、ブロック(21))は、最も背面側に台紙(31)を備える場合があります。

発明の詳細

本発明の立体集合型付箋紙の具体例について図面を参照しつつ説明します。

図1は、本発明の立体集合型付箋紙1の集合状態における基本構成を説明する説明図です。図1(a)は立体集合型付箋紙の平面図を示します。図1(b)は正面図、図1(c)は斜視図、図1(d)及び図1(e)は多数の付箋紙14が積層された1つのブロック21(付箋紙ブロック20)を示します。図1(f)は1枚の付箋紙14を示します。なお、図1(d)、図1(e)において二点鎖線で囲まれた部分は、多数の付箋紙14が積層された厚みで面となった側面22を示します。この側面22に接着剤が塗布され、隣接する付箋紙ブロック20の最背面11と結合23されます。

付箋紙ブロック20は、多数の付箋紙14が積層されて1つのブロック21となったものです。基本的に「ブロック21」と同じ意味です。

【図1】

背面11は、各付箋紙14において、再剥離性粘着剤10が塗布された側の面です。

再剥離性粘着剤10は、糊残りせずに剥がせる特性を有する粘着剤です。このような特性を発生させるには、粘着力および再剥離性のバランスが良い粘着剤を用います。再剥離性粘着剤10を塗布する面領域(塗布面領域)は特に限定されず、各図では塗布面領域を図示していません。

前面12は、各付箋紙14において、再剥離性粘着剤10に対する剥離機能を持たせるために離型剤13が塗布された側の面です。離型剤13は、いったん粘着した物(付箋紙14)を剥離させやすくするための物質です。2つの付箋紙14が重なった状態で、上に重なった付箋紙14の背面に塗布された再剥離性粘着剤が、下に重なった付箋紙14から容易に剥離されるように、下に重なった付箋紙14の前面に離型剤13が塗布されています。

付箋紙14は、図1等において矩形(四角形)ですが、例えば台形や三角形などさまざまな形状が採用されます。多数の付箋紙14が積層されることによって、1つのブロック21が形成されます。

側面22は、図1(d)、図1(e)、図4(d)、図4(e)のそれぞれにおいて二点鎖線で囲まれた領域の面であり、多数の付箋紙14が積層されて形成された厚み分の面です。この側面22に接着剤が塗布され、隣接する付箋紙ブロック20の最背面11と結合23されます。換言しますと、付箋紙ブロック20の側面22と隣接する他の付箋紙ブロック20の最背面11等が接着30によって一体化しています。

次に、図2は、本発明の立体集合型付箋紙1において、4つの付箋紙ブロック20の中心24に空間領域25が形成される集合状態を示す説明図です。図2(a)は、立体集合型付箋紙の平面図、図2(b)は正面図、図2(c)は斜視図をそれぞれ示します。

【図2】

4つの付箋紙ブロック20が組み合わされた集合体には中心24があります。4つの付箋紙ブロック20は、その中心を囲むように配置され、前面12がそれぞれ4方向へ向かうように配置されています。

図2に示される空間領域25は、上記の中心24の周囲に設けられる空間です。図2に示すように、複数の付箋紙ブロック20の前面が別々の4方向を向くように配置し、しかも、隣り合う一方の付箋紙ブロック20の側面22全体を他方の付箋紙ブロック20の背面11の右半分または左半分だけに結合させると、このような空間領域25が生じます。空間領域25は、支持軸40(後述)の挿入穴ともなります。

続いて、図3は、本発明の立体集合型付箋紙1において、各付箋紙ブロック20に台紙31が備えられた場合の説明図です。図3(a)は、立体集合型付箋紙の平面図、図3(b)は正面図、図3(c)は斜視図をそれぞれ示します。

台紙31は、各付箋紙ブロック20において、最も背面11側に位置する付箋紙14の背面11に設けられる支持台です。

図3に示すとおり、各付箋紙ブロック20の最も背面側に支持台となる台紙31が設けられることにより、集合体としての立体的形状を維持しやすくなります。特に、互いに色の異なる付箋紙ブロック20を結合させた場合に、特定の色の付箋紙14が偏って使用されて少なくなっても、集合体としての立体的形状が維持されやすくなります。

【図3】

さらに、図4は、立体集合型付箋紙において、台紙によって囲まれた空間領域が形成される状態の説明図です。図4(a)は立体集合型付箋紙の平面図です。図4(b)は正面図であり、図4(c)は斜視図であり、図4(d)及び図4(e)は異なる向きの付箋紙ブロック20を示します。図4(f)は1枚の付箋紙14を示します。

【図4】

最後に、図5は、別の具体例の説明図です。図5(a)は、空間領域25に挿入される支持軸40を示します。図5(b)は、支持軸40を備えた場合の使用状態を示します。

支持軸40は、図5に示すように、空間領域25に挿入されます。支持軸40の一端が付箋紙ブロック20から突出し、例えば持ち手部分として機能します。例えば図5(a)に示すように、支持軸40の断面形状は、空間領域25の形状と同じであり、支持軸40の一端が空間領域25に挿入できるようになっています。

図5(a)右側及び図5(b)に示すように、支持軸40が空間領域25に挿入された側とは反対側において、支持軸40に、筆記をするための筆記部材41を取り付けることが可能です。筆記部材41としては、鉛筆、ボールペン、ラインマーカー等多様な筆記部材を採用できます。図5(a)及び図5(b)では、鉛筆やボールペン等の筆記部材41を例として示します。このような状態の立体集合型付箋紙は、ペンやハサミ等の文具と一緒にペン立て等へ収納できます。よって、机上の限られた面積を有効に活用できます。

【図5】

以上説明しましたように、本発明の立体集合型付箋紙の立体構造は、4つの付箋紙ブロックを備えます。

4つの付箋紙ブロックは、それぞれ前面が四方を向くように配置されています。各付箋紙ブロックは、1つの前面、1つの背面、および、多数の付箋が積層されることで形成された2つの側面を有します。互いに隣り合う付箋紙ブロックは、一方の付箋紙ブロックの側面と、他方の付箋紙ブロックの背面とが結合するように配置されています。

同様にして合計4つの付箋紙ブロックが配置されて、四角柱のような構造体が形成されています。これにより、4つの付箋紙ブロックの前面は、それぞれ4方向を向いているため、どの方向からでも少なくとも1枚の付箋紙を取り出せます。

本発明では、異なる色の付箋紙ブロックを一元管理できます。複数の付箋紙ブロックを立体的に集合させることで、机上、ポケットの中、または筆箱の中で付箋紙ブロックが散乱しません。

本発明の立体集合型付箋紙は、従来用いられていた平面的な台紙の面上に複数の付箋紙を並べる場合と異なり、平面的なスペースでなくても収納できます。従って、スペースを有効に活用できます。

本発明の立体集合型付箋紙では、複数の付箋紙ブロックの前面がそれぞれ4方向を向いているため、あらゆる方向から1枚の付箋紙を剥離して取り出せます。

本発明の立体集合型付箋紙の中心に上下に貫く空間領域が形成された場合には、空間領域に棒状部材を挿入して使用できます。棒状部材の先端に立体集合型付箋紙を配置すれば、ペン立て等に棒状部材を入れて、立体集合型付箋紙をペン立て等に収容できます。さらには、立体集合型付箋紙付きの筆記具が出来上がります。

また、本発明の立体集合型付箋紙において、各付箋紙ブロックが最も背面側に台紙(支持板)を備えた場合、特定の色の付箋紙を集中的に何枚も剥離しても各付箋紙ブロックの強度が台紙によって維持されます。よって、集合体の立体的形状を維持できます。

本特許は、静岡県静岡市にあるマイスターズインク社から出願されました。マイスターズインク社は、1994年にデザインおよび輸入貿易の分野から創業を開始しました。現在取り扱っている商品分野は、「伝統」「自然」「環境」「安全」「将来価値」など、多岐にわたります。ウェブサイトを参照しますと、具体的には、医療機器、園芸・農業、文具、ビンテージ(古い高価値商品)関連、アプリ開発、デザイン開発などです。

本発明は、日常的に使用する付箋をさらに便利に使うためのアイデアです。特に、さまざまな色の付箋をまとめて使うときに1色の付箋を偏って使った場合でも、便利に使い続けられる工夫が詰め込まれた発明です。

発明の名称

立体集合型付箋紙

出願番号

特願2021-64516

公開番号

特開2022-160032

特許番号

特許第6937953号

出願日

2021.04.06

公開日

2022.10.19

登録日

2021.09.02

審査請求日

2021.04.06(早期審査対象出願)

出願人

株式会社マイスターズインク

発明者

渡辺 正人
国際特許分類

B42D 9/00

経過情報

本願は早期審査され、1回の拒絶理由通知を受けた後に特許となりました。



落としても散らばらない!安心・安全な筆箱


学校やオフィスでの小さなストレスの一つに、筆箱を落として中身が散らばってしまう経験がありますよね。今回紹介する特許発明は、落下時に自動で蓋が閉じる仕組みを持った筆箱です。蓋と本体が蝶番で連結され、特殊なバネメカニズムが蓋を閉じる力を発揮します。

さらに、蓋の一端が筆箱の底面部に挟まれる設計になっており、使用中でも安定した状態を保つことができます。具体的にどのような構造なのか、詳説していきます。

従来の筆箱は、使用者が中身を取り出しやすくするための工夫が施され、机上での利便性が高められてきました。しかし、筆箱が落下した際に中身が飛び出さないようにする工夫は限定的であり、完全な解決策は存在していませんでした。

一方で、筆箱を机の上に固定する方法や、蓋を閉じた状態でロックが解除されない仕掛けがある筆箱もありましたが、これらの方法はそれぞれ作業の不便さや蓋のロック解除の手間が発生するという問題がありました。

例えば、本発明の明細書に引用された先行技術文献では、以下のような筆箱が紹介されています:

弾機部材で蓋体に閉止力を与える筆箱

筆箱の側面や底面に落下防止具材を取り付けた筆箱

しかし、これらの筆箱も落下時に中身が散乱しやすいという問題を完全には解決していませんでした。

発明の目的

この発明の目的は、筆箱が落下した際に中身が散乱するのを防ぐ新しいタイプの筆箱を提供することです。

発明の詳細

それでは、図面も参照しながら、本発明の詳細について説明していきます。

【図1】

【図2】

図1と図2は、本発明の一実施例による筆箱の異なる視点からの描写を提供しています。

■筆箱の構造:
収納体1: 筆記用具や小物を収納する主要な部分です。
蓋体20: 収納体1の上部を覆う部分で、一端が収納体底面部7の下に挟まれて開閉が行えるようになっています。

■蝶番11とコイルばね19:
蝶番11: 蓋体20と収納体1を連結しており、コイルばね19が内蔵されています。
コイルばね19: 蓋体20が自然に閉じようとする力を提供する役割を果たしています。

■側面部2:
支部3: 固めの布を材料に用いており、筆箱の形状を保持する役割を果たしています。
中心部4: 柔軟性があり強度の高い布を材料に用いており、筆箱が閉じたときに内側に折り込まれる部分です。

■収納体底面部7:
シリコンを使用しており、蓋体20を挟むことで筆箱が開いた状態を保持できるようになっています。摩擦係数の大きい材料を使用することで、筆箱が机上で滑りにくくなっています。

【図3】

図3は筆箱が開いているときの蝶番11の拡大図を示しています。以下の要点に注意して説明します:

蝶番11: 蓋体20と収納体1を連結しており、開閉のメカニズムを提供しています。この蝶番は取付体12と支持体15から構成されており、それぞれが筆箱の異なる部分に取り付けられています。

取付体12: これは板状の部分であり、収納体1の一側に取り付けられています。取付体12には連結アーム14とばね端収納部13があります。

支持体15: これも板状の部分であり、蓋体20の一部に組み込まれています。支持体15にはパイプ状の連結部17とばね端収納部16があります。

コイルばね19: 蝶番11の内部に位置しており、一端が支持体15のばね端収納部16を通り、他端が取付体12のばね端収納部13に収められています。このコイルばねは蓋体20が閉じようとする力を提供しています。

支軸18: コイルばね19を内包するパイプ状の連結部17に挿入されており、蝶番11の回転軸として機能しています。

この構造により、蓋体20が開いた状態から閉じる動作を行う際に、コイルばね19が閉じようとする力を発生させ、蓋体20を収納体1に向かって閉じる動きを促します。このメカニズムは筆箱の自動閉鎖機能を実現しています。

【図4】

図4は本発明の一実施例による筆箱を閉じた状態で横から見た図を示しています。

筆箱の閉じた状態: この状態では、蓋体20が収納体1の上部を覆っており、筆箱の内部が閉じられ、中身が安全に保管されています。

蓋体20: 蓋体20は収納体1の上部を覆う役割を果たしており、蝶番11を介して収納体1に連結されています。

収納体1: 収納体1は筆箱の主要な収納部分を形成しており、筆記用具やその他の小物を保管するための空間を提供しています。

蝶番11: 蝶番11は蓋体20と収納体1を連結しており、蓋体20の開閉を可能にしています。

収納部26: 収納部26は布で形成され、支持体15の大部分を収納しています。この部分は蓋体20の背面部22の下部に位置しています。

支持体15: 支持体15は蝶番11の一部であり、蓋体20の一部に組み込まれています。この図では、支持体15の一部が収納部26に収められており、ばね端収納部16と連結アーム14の一部が露出しています。

この図では、筆箱が閉じた状態での蓋体20と収納体1の関係と、蝶番11の位置が示されています。この設計により、筆箱は閉じた状態でコンパクトかつ安全にアイテムを保管できます。

【図5】

図5は図4で説明された蝶番11の拡大図を示しています。

取付体12と支持体15: 取付体12は板状であり、収納体1の一側に取り付けられます。一方、支持体15も板状であり、蓋体20の一部に組み込まれています。これら二つの部分は蝶番11を形成し、蓋体20と収納体1を連結します。

支軸18: 支軸18はコイルばね19を中心に配置され、蝶番11の動作を支援します。

連結アーム14と連結部17: 連結アーム14は取付体12の一部であり、連結部17は支持体15の一部であり、これらは蝶番11の動作を支援します。

収納部26: 収納部26は蓋体20の背面部22の下部に位置し、支持体15の大部分を収納します。この部分は布で形成され、蓋体20の背面部22と一体化しています。

この図から、蝶番11の内部構造と、蓋体20と収納体1の連結方法が詳細に理解できます。この設計により、筆箱はスムーズに開閉でき、閉じた状態で安全に保持できます。

【図6】

図6は筆箱を閉じた状態で斜め上から見た図を示しています。

筆箱の全体形状: この図では筆箱が閉じた状態であり、その全体形状が示されています。

側面部2と中心部4: 側面部2は筆箱の側面を形成しており、中心部4はその一部で、筆箱が閉じるときに内側に折り込まれます。中心部4は底面部に対して垂直方向の折り目を持っており、これにより筆箱はコンパクトに閉じることが可能になります。

収納体1: 収納体1は筆箱の主要な部分であり、筆記用具や他のアイテムを収納する空間を提供します。この図では、収納体1が閉じた状態で示されています。

蓋体20: 蓋体20は収納体1を覆うように閉じられ、筆箱の内容物を保護します。この図では、蓋体20が閉じた状態で示されています。

この図から、筆箱が閉じた状態での外観と、そのコンパクトなデザインが理解できます。また、側面部2の中心部4がどのように折りたたまれるかも視覚的に理解できます。

【図7】

【図8】

図7、8は筆箱の蓋体が閉じる途中の状態を示しています。

蓋体の動き: この図では、蓋体が閉じる途中の動きが描かれています。蓋体は筆箱が落下した際に自動的に閉じる機能を持っており、この図はその動作の途中段階を示しています。

磁石: 磁石26が取り付けられています。この磁石は幅広い形状をしており、蓋体前面部に取り付けられた磁石25と組み合わせて使用されます。これにより、蓋体が閉じる際に確実に閉じるようになり、筆箱の中身が飛び出すのを防ぐ仕組みが形成されます。

筆箱の形状: 筆箱全体の形状は三角柱のように設計されており、これにより筆箱の重心が低くなります。この設計は筆箱が机から落ちた際に逆さまになりにくくする効果があります。

蓋体20: 蓋体20は軽い素材で構成されており、これによりバネの働きがより効果的に蓋体に伝えられ、蓋体がスムーズに閉じることが可能になります。

この図から、筆箱の蓋体が閉じる途中の動きと、その動作を支援する磁石とバネの仕組みが理解できます。また、筆箱の特殊な形状による安定性についても理解を深めることができます。

【図9】

図9は本発明を解体して各部品を個別に示した図です。

蓋体20: 蓋体20は背面部22と前面部24から構成されています。これらの部分は芯の入った形状が変わりにくい硬めの材料で構成されており、前面部24の端側には磁石25が付属しています。

連結部: 蓋体収納体連結部21と背面前面連結部23は柔軟性があり、強度の高い布を材料に用いています。これにより、蓋体と収納体が適切に連結され、開閉がスムーズに行えるようになっています。

磁石25: 前面部24の端側に取り付けられた磁石25は、蓋体が閉じる際に磁石26と結合し、筆箱が確実に閉じるように作用します。

この図から、筆箱の各部品の材料と構造、そしてそれらがどのように連結して筆箱を形成するかが理解できます。また、磁石を用いた閉じる仕組みや、蓋体と収納体の連結方法についても詳細に理解できます。

この発明は、蓋と収納体を蝶番で結合し、蓋が収納体の底面部の下に挟み込めるように構成された筆箱を提供するものです。この筆箱は、蓋が開いた際にバネの力で自動的に閉じる仕組みを持っています。この仕組みにより、筆箱が落下した際に蓋が自動的に閉じ、中身が飛び出すのを防ぐことができます。

この特許発明を用いることで、以下のような効果(未来像)が予想されます:

<安全性の向上>
落下時に筆箱の中身が飛び出さない設計により、小さな部品や鋭利な文房具が飛び散ることによる怪我のリスクが低減します。特に学校やオフィスなど、多くの人が集まる場所での安全性が向上します。

<整理整頓の効率化>
中身が飛び出さない筆箱は、落としても中身を再度整理する手間が省けます。これにより、作業の効率化や時間の節約が期待されます。

<教育現場での利用>
学校での授業中、子供たちが筆箱を落とすことはよくある事象です。この発明を採用した筆箱を使用することで、授業の中断や散乱を最小限に抑えることができます。

<デザインの多様化>
この技術をベースに、さまざまなデザインや機能を追加した筆箱が市場に登場する可能性があります。例えば、センサーを組み込み、筆箱が落下した際に音や光で知らせる機能などが考えられます。

<他のアイテムへの応用>
この技術は筆箱だけでなく、化粧ポーチや工具箱、医療用具のケースなど、さまざまなアイテムに応用することができます。これにより、多くの分野での事故やトラブルの予防が期待されます。

このように、この特許発明を用いることで、日常生活の中での安全性や利便性が大きく向上する未来が予想されます。

発明の名称

落下時散乱防止筆箱

出願番号

2022-50813

特許番号

特許第7278448号

出願日

2022.3.8

登録日

2023.5.11

審査請求日

2022.3.8

出願人

原 万佑子

発明者

原 万佑子

国際特許分類

A45C 13/00
A45C11/34
経過情報

早期審査に付され、出願公開前に特許査定となっている。


CONCLUSION

世界も驚く日本の文房具!

最近、訪日観光客のお土産として人気を集める日本の文房具。
ちょっとしたアイディアや工夫をすることで、誰もが共通して感じている課題を解決してくれる。
どれもシンプルだけれども、「おお!なるほど!」と感心する商品が豊富で、見ているだけで楽しいですよね。

アイディア商品ももちろんですが、「消せるボールペン」などの技術商品から、日本人は誰もが当たり前に使っている「消しゴム」も人気があります。
柔らかく紙がボロボロにならず、消しカスもまとまる「消しゴム」は”当たり前”ではないと感じる国の人も多いでそうで、人気の理由も納得。

まさに、アイディアの宝庫となっている日本の「文房具」。
最近はデジタル端末が支流になりつつあるので、やや下火ではありますが、発明初心者から上級者までチャレンジしやすく、学生の付箋アイディアが商品化されたり、小学生が発明した『分数ものさし』など。
さまざまなアイディアの実用化事例が存在していて、年齢問わずワンチャンスある市場だと感じています。

文房具の特許文献は比較的、身近なので分かりやすいはずなので、今回解説されている特許はもちろんですが、たくさんの特許例を見て参考にして、ご自身でもワンチャンス発明を狙ってみてはいかがでしょうか。