シャープペンシル芯押し戻し用ペンスタンド
今回紹介する特許発明は、シャープペンシル利用者のためのペンスタンドを提供するものです。このペンスタンドの最大の特徴は、シャープペンシルの芯を簡単かつ安全に押し戻すことができる押戻し用パッドを備えている点です。このパッドは、ペンの後端を指で押しながらペンの先端をパッドに押し当てることで、芯を安全に押し戻すことができます。
これにより、指を汚したり、机や他の表面を傷つけたりすることなく、芯を押し戻すことが可能になります。非常にシンプルな発明ですが、どのような狙いがあるのでしょうか。詳説していきます。
発明の背景
従来のペンスタンドや方法では、シャープペンシルの芯を戻す際に指や机などに芯を押し当てる必要がありました。しかし、これにはいくつかの問題がありました。例えば、指が汚れる、芯が書籍に転写する可能性があり不安を感じる、または机にペンを突き刺す行為が不謹慎と感じられるなどの問題がありました。特に、机に突き刺す行為は、五寸釘で藁人形を打ち付けるような「呪詛のイメージ」を惹起するとされ、不適切と感じる人もいるようです。
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どんな発明?
発明の目的
本発明は、上記課題に鑑み、新たなペンスタンドを開発したものです。この新しいペンスタンドは、シャープペンシルの芯を安心して押し戻すことができる押戻し用パッドを備えています。このパッドは、ペンスタンドの台部の上面に貼り付けられた柔軟性のある部材(例えば、ゴム)の小片から作られています。この押し戻し用パッドを利用することで、芯を指や机に押し当てることなく安心して押し戻すことが可能となります。
発明の詳細
それでは、図面も参照しながら、本発明の詳細について説明していきます。
【第1実施形態】
上図は、本発明のペンスタンドの第1実施形態を示す説明図です。本発明の重要な部分は、ペンスタンド全体というよりも、押戻し用パッド3にフォーカスすると理解しやすいでしょう。
この発明のペンスタンドは、シャープペンシルのペン先から飛び出している芯を指や机に押し当てることなく、安心して押し戻すことができる押し戻し用パッド3を備えています。このペンスタンドは板状の台部とシャープペンシルを保持するホルダ、そしてそのホルダを支持する支持部を有しています。支持部は板状の台部に設けられ、ホルダは筒状でペン挿入口側に向かうに従い拡径されています。そして、板状の台部の上面にシャープペンシルの芯を押し戻すための押し戻し用パッドが設けられています。
押戻し用パッド3の断面図をみてみると、アクリル樹脂板3aの上に合成ゴムシート3bが積層された二層構造となっています。このパッド3は、ペンスタンドの台部2の上に載せるだけで利用することができます。また、個別に筆箱に収納して持ち運ぶことも可能です。台部に貼り付けて固定したい場合には、硬質部分であるアクリル樹脂板を有する小片部材を台部上面に両面テープや接着剤で固定すれば良く、位置決めは容易です。
押戻し用パッドは正方形の板状であり、上記合成ゴムシートに代えて天然ゴムシート、天然皮革、合成皮革、人工皮革またはコルクシートを用いることも可能です。また、パッドの色は黒色が好ましいです。これはシャープペンシルの芯材が付着しても目立たないためです。
このペンスタンドの第1実施形態では、柔軟性部材である合成ゴムシート等を最上層に有する押戻し用パッドが板状の台部の上面に設けられています。このため、シャープペンシルの使用後にペンシルの後端を指の腹で押し込みながらペンシルの先端を押し戻し用パッドに当接させれば、ペン先から飛び出している芯をペン先を損傷させることなく安心して押し戻すことができます。
また、指を汚すことなく、机に押し当てることもありません。さらに、 シャープペンシル専用の押し戻し用パッドにペン先を当接させることで、大事なものに針を突き刺す場合の不謹慎感や藁人形に五寸釘を突き刺す場合の呪詛感が生じないため、規則正しい生活をしている人や強迫神経症気味の人にとっては気になり感が減り特に有効です。
【第2実施形態】
この実施形態では、ペンスタンドの台部と押戻し用パッドの構造が特徴的です。台部2Aは一層の磁性体の層を持ち、磁性を有する材料として炭素鋼が使用されています。他にもニッケルやフェライト系ステンレス鋼、鉄などの磁性を有する材料が使用可能です。
押戻し用パッド3Aはマグネットシートから作られており、このパッドは台部に着脱自在に磁着することができます。この構造により、パッドを指で摘んで台部の好きな位置に磁着させることが可能となります。また、第1実施形態同様、パッドは板状であり、その大きさや筆箱の形状によっては筆箱に入れて持ち運ぶことも可能です。
さらに、この実施形態では、マグネットシートからなる押戻し用パッドを用いた例を説明していますが、下図に示されるように、磁性体の層であるマグネットシート3cに合成ゴムシート3bを貼り付けた押戻し用パッド3Bも使用可能です。
また、次図に示されるように、硬質の磁石3dを嵌め込んだ木板3eに合成ゴムシート3bを重ねた押戻し用パッド3Cも好ましいです。この磁石3dは正方形板状であり、木板3eの裏面側に形成された立方体状の凹部に嵌め込まれています。
ここがポイント!
従来のペンスタンドとして、例えば万年筆用スタンドとして、以下のようなものが知られていました。
このペンスタンド100を万年筆ではなくシャープペンシル用として使用することを考えた場合、ペンスタンドの台部103に、芯戻しのためにシャープペンシルを突き刺すのであれば、机に突き刺す場合に比べて不謹慎さは若干緩和されるものの、ペンスタンドに鋭利なものを突き刺すという点で、それほど不謹慎さを払拭できるものではありませんでした。
この特許発明は、シャープペンシルの芯を安心して押し戻すことができるペンスタンドを提供することに焦点を当てています。このペンスタンドは、板状の台部とシャープペンシルを保持するホルダー、そしてそのホルダーを支持する支持部を有しています。特に注目すべきは、板状の台部の上面に設けられた押し戻し用パッドであり、このパッドを使用してシャープペンシルの芯を押し戻すことができます。
押戻し用パッドは、アクリル樹脂板とその上に配置された柔軟な部材(例えば、合成ゴムシート)から構成されています。このパッドは台部に固定されるか、または単に上に置くことで使用できます。この設計により、ユーザーはペンの後端を指で押しながらペンの先端をパッドに押し当てることで、芯を安全に押し戻すことができます。これにより、指を汚したり、机にペンを押し当てたりすることなく、芯を押し戻すことができます。
さらに、第2の実施形態では、押戻し用パッドが磁性体から作られ、台部に磁着できるようになっています。これにより、パッドを簡単に取り外し、好きな位置に移動させることが可能となります。
この発明のポイントは、シャープペンシルの芯を安心して押し戻すことができる押し戻し用パッドを備えたペンスタンドを提供することにあります。このパッドは、ペンの芯を安全かつ清潔に押し戻すことができる新しい方法を提供します。
未来予想
この発明は、明細書中にはっきりと明記されてはいませんが、特に自閉症スペクトラム(ASD)にある多くの人々に向けて効果的なペンスタンドといえるでしょう。このペンスタンドを利用することで、ASDを持つ人々の様々な特性や症状に対応できると考えられます。例としては次のような点が挙げられるでしょう。
■感覚過敏の緩和:
ASDにある多くの人々は感覚過敏を経験するため、このペンスタンドは彼らにとって安心感を提供することができます。芯を手で触れずに調整できることで、不快な感覚刺激を避けることが可能になります。
■ルーティーンの維持:
ASDを持つ多くの人々は一貫したルーティーンを好みます。このペンスタンドは、利用者がペンシルの芯の長さを一貫して維持できるようにすることで、日常のルーティーンを維持するのに役立つでしょう。
■自立支援:
本発明のペンスタンドは、ASDを持つ利用者が自身でペンシルの芯を調整できるように支援するツールとして機能します。これにより、利用者は自立して学習や作業を行う能力を向上させることができます。
■教育と療育の支援:
教育者や療育士は、本発明のペンスタンドを利用して、ASDを持つ利用者に対して書く技術や自己管理技術を教えることができます。
このように、本発明のペンスタンドはASDを持つ利用者にとって、安全で心地よい利用環境を提供することができる有効なツールとなり得るといえるでしょう。
特許の概要
発明の名称 |
ペンスタンド |
出願番号 |
2023-70514 |
特許番号 |
特許第7311869号 |
出願日 |
2023.4.22 |
審査請求日 |
2023.4.22 |
登録日 |
2023.7.11 |
出願人 |
豊川 直樹 |
発明者 |
豊川 直樹 |
国際特許分類 |
B43K 23/00 |
経過情報 |
早期審査に付され、出願公開前に特許査定となっている。 |