アニメの世界到来!?子供の頃に憧れた乗り物たち

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アニメの世界到来!?
子供の頃に憧れた乗り物たち

目次

INTRODUCTION

最近ニュースなどでも話題になっている「MaaS(マース:Mobility as a service)」という言葉をご存じでしょうか?
MaaSはいわゆる“モビリティ革命”とも呼ばれ、ICTを活用した新たな「移動」の概念です。MaaSは北欧・フィンランドで始まりましたが、現在では世界中に広がり、日本にも導入されつつあります。その他にも身近な存在として、自動運転技術やドローン、電動キックスクーターなど新しい乗り物を簡単に手に入れることも出来る時代になりました。

今回はさらに最先端をいく空飛ぶ飛行機など、小さいころに憧れた乗り物を実現する特許技術をピックアップし解説します。

ホバーボード

空中ボード移動が日常に

空中ボード移動が日常に

映画の世界「バック・トュー・ザ・フューチャーPART2 」、「バック・トュー・ザ・ フューチャーPART3 」にも登場した空飛ぶスケートボード。
そのボードに颯爽と乗る姿は、格好良く、憧れそのものという方も多いのではないでしょうか。この空飛ぶスケートボードにあなたも乗る!そんな未来があったらいい!と発明されたのが、ホバーボードです。ポイントはボードについている4つのエンジンです。このエンジンが電流と磁界を利用して、ボードを浮上させます。また映画の描写のように、ボードの角度を変える事で、右や左にと進む方向を自由自在にコントロールできます。現在は伝導性円盤の上、例えばアミューズメントパークのような限られた場面でしか使用できません。しかし自転車のような、日常の交通手段となる日も近いかもしれません。

■従来の課題

ホバーボードとは、地上を浮遊するボードのことであり、車輪のないスケートボードに似ている。

映画「バック・トュー・ザ・フューチャーPART2」及び「バック・トュー・ザ・フューチャーPART3」の中では、特殊効果によってこのホバーボードが描写されていた。これまでにいくつかのグループよりホバーボードを作成したとの報告がされてきたが、いずれも手の込んだ嘘であって、ホバーボードを現実に創り出すことは不可能であった。

■本発明の効果

本発明のホバーボードは、4つのホバーエンジンを有しており、それぞれのエンジンにはモーターがついている。モーターは、磁石のアレイを回転させて渦電流を生じさせ、その電流によってホバーエンジン内に磁界が発生する。渦電流と磁界の相互作用によって揚力または推進力が発生する結果、ホバーボードを空中に浮遊させることができる。

ホバーボードは、ライダーが足場を通じて傾斜をかけることで、エンジンを通じて並進力を与えることができる。例えば、ホバーボードの右側を下げ、左側を上げた場合、左側のホバーエンジンと基盤との距離が大きくなることに起因し、左側のホバーエンジンから出される並進力は減少し、右側の並進力は増大する。その結果、ホバーボードを右側へ動かす正味の並進力が増大する。

本発明のホバーボードは、支持体(ボード部分)が部分的にくぼみ得る構造を有している。この構造によって、ホバーエンジンを回転させるためのスペースを効率的に確保することができ、その結果、ホバーボードの厚みを減らすことができる。

■本発明のポイント

以下より構成されるホバーボード

①下記より構成される2つ以上のホバーエンジン
– 磁石を回転させるためのモーター、
– モーターの回転速度を制御する電子速度制御器、
– ホバーに揚力または推進力を発生させるための磁界を作り出すSTARM(固定子電機子)、
– モーター及びSTARMの少なくとも上部を囲むシュラウド
②装置の電源
③ライダー用の足場

■全体構成

本特許発明のホバーボードを図1に示す。

【図1】ホバーボード(12)に乗っている人(10)の一例

・走路(14):銅などの導電性材料より形成される。銅の場合には、8分の1インチの銅シート3枚が積層される。
・ホバーエンジン(16):4つのエンジンを含む。走路(14)内の導電性材料と相互作用して過電流を形成する。
・基板の一部分(18):基盤下にあるモーターによって回転するように設計されている。これによりホバーボードが浮かび上がるための揚力が発生する。

■細部

バッテリ駆動型ホバーボードの側面図は以下の通りである。

【図2】バッテリ駆動型ホバーボードの側面図

・モーター電子速度制御器(306a~d);線材束308a~dを介して、4つのモーターのそれぞれに連結されている。
・支持構造体(302):部分的にくぼみ得る構造を有している。ホバーエンジンが傾斜された際、このくぼみにヒンジ(372)の一部が収納され、ホバーエンジンが回転するためのスペースが確保される。その結果、ボード全体としての厚みを小さくすることができる。
・エンジンシュラウド318:STARMおよびモーターを覆うための部材

バッテリ駆動型ホバーボードの上面図を以下に示す。

【図3】バッテリ駆動型ホバーボードの上面図

ホバーエンジンは、中央支持構造体(302)の下に設置される。ホバーエンジンのシュラウド(318)は、中央支持構造体(302)の端部をわずかに越えて設置される。シュラウド(318)は、人の体重を支持するのに十分な強度を有している。

STARM(固定子電機子)の構造を以下に示す。STARMはホバーに揚力または推進力を発生させるための磁界を発生させる装置である。

【図4】STARMの斜視図

STARM(400):直径が10インチ程度である。STARMは、隆起した外輪(405)を有していて、STARM(400)の底から外輪の上部までの距離は約1.13インチである。この高さが、1インチ角の磁石を収容することを可能にする。

STARMの側面図を以下に示す。

【図5】埋込み型モーター付きSTARMの側面図

STARM(400)は、いくつかの層(それぞれ上から下へ402、408、410、412、404、及び414)より形成されている。層402及び414は、外輪内の磁石の上部分及び底部分を覆うカバーの役割を担っている。代替的な実施形態においては、層402及び408のうちの1つまたは両方が除かれている。上層及び下層は、アルミニウムなどの材料から形成されていてもよく、上層402は、ミューメタル、鉄、またはニッケルなどの磁気特性を有する材料であってもよい。

■実施例

磁石の回転速度と、ホバーボードに作用する揚力及び抗力の関係を下記グラフに示す。
グラフよりボードにかかる推進力は、磁石の回転速度が増加するにつれて増加し、ピークに達し、次いで速度と共に減少し始めることが分かる。一方で揚力は磁石の回転速度と共に増加する。

【図6】磁石の回転速度と揚力及び抗力の関係

導電性基盤の表面からホバーエンジンまでの距離と、ホバーボードに作用する揚力及び抗力の関係を下記グラフに示す。
グラフよりホバーボードにかかる揚力及び抗力は、基板の表面からのホバーエンジンの距離が増大するにつれて、指数関数的に減少することが分かる。

【図7】導電性基盤の表面からホバーエンジンまでの距離とホバーボードに作用する揚力及び抗力の関係

■展望、結語

本特許に記載の発明によって、これまで映画の中の世界として捉えられていた技術が現実のものになっている。本特許に記載されている発明は、伝導性基盤の上でのみ浮遊できるホバーボートであるため利用できる場所はまだ限られている(例えばアミューズメントパークなど)が、技術の進展によって、例えば自転車のような移動手段に置き換わる未来もそう遠くないかもしれない。

■概要

出願国:米国 発明の名称:Hoverboard which generates magnetic lift to carry a person
出願番号:14/639,045
出願日:2015年3月4日
公開日:2015年6月25日
出願人 :Arx Pax, LLC
経過情報:2015年に特許が登録され、現在も特許は維持されている。
その他情報:PCT出願されている。日米欧などの主要国に優先権主張を伴う特許出願が行われている。
IPC:H02K 7/09

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。

空飛ぶ自動車

渋滞フリーな未来の予感?

渋滞フリーな未来の予感?

SF映画の金字塔「フィフス・エレメント」に登場する近未来的空飛ぶ自動車。
SF映画の金字塔「フィフス・エレメント」に登場する近未来的空飛ぶ自動車。渋滞を気にする事なく、好きな時に、好きな場所に直接行けるという夢のような話です。しかし現在まで、交通法と技術の関係で実現は難航していました。具体的には、交通法で義務付けられているリアバンパーを装備した状態では、飛んでいる間の空気の圧力や摩擦力が高くなり、安全性が確保できていませんでした。今回の発明では、道路使用時に本体を支える車輪と、本体の後部の水平な翼、そして飛行時に展開可能な翼との装備方法を工夫しました。この工夫によって、道路で走行時に必要なリアバンパー機能をクリアする最小サイズを実現しつつ、飛行中も空気の圧力と摩擦を減少させる事に成功しました。これによって空飛ぶ車がより現実的なものとなり、道路状況を気にしないで目的地に行ける日も近いかもしれません。

■従来の課題

空飛ぶ自動車を道路使用する場合には、公道での使用に関する規制要件を遵守するために、リアバンパーを装備する必要があります。

しかし、リアバンパーを装備すると、車両を航空使用する場合に、抗力の増大や空力性能の低下をもたらすおそれがあるため、リアバンパーの装備と飛行中の抗力減少とを調和させる必要がありました

■本発明の効果

本発明にかかる空飛ぶ自動車では、道路使用のためのリアバンパーとして一定の最小の物理的寸法および性能の必要性と、飛行中の抗力の減少に対する要望とを調和させることができます。

■本発明のポイント

本発明は、道路での使用のために構成されたときに本体を支持するための車輪を有する本体と、本体と接続され、航空用途のために展開可能な翼と、少なくとも1つの水平尾翼を含む本体の後部にある尾部とを含む、航空または道路での使用のために構成可能な車両2(空飛ぶ自動車)に関するものです。そして、ここでは、少なくとも1つの水平尾翼が、最後端部の平面が実質的に水平である第1の位置と、最後端部の平面が実質的に垂直である第2の位置との間で、車両の縦軸を横切る軸の周りを枢動可能な平面の最後端部を含んでいる点が発明の主要なポイントとなっています。

ここで、尾翼は、最後端部と固定水平部とを含むことができ、第1の位置では、最後端部は実質的に同じ水平面内にあるように固定水平部に隣接して配置され、第2の位置では、固定水平部から後方に配置されています。

また、最後端部が枢動する軸は、水平尾翼の平面から離間することができます。

また、車両は、少なくとも1つの垂直フィンと、少なくとも1つのフィン上に画定される横軸上の枢動点と、最後端部を少なくとも1つのフィン上の枢動点に接続するヒンジとをさらに備えています。車両は、一対の垂直フィンと、フィンの間に延在する水平尾翼と、最後端部の各端部に設けられ、それぞれのフィンの枢動点に接続されたヒンジとを備えることができます。この場合、一対の垂直フィンそれぞれの下方領域に車輪を配置することができます。車両はまた、中央フィンと、最後端部を中央フィンの枢動点に接続するヒンジとを備えることができます。

また、プロペラは、尾部に取り付けることができます。この場合、第2の位置にあるとき、最後端部の実質的に垂直な面はプロペラの後方にあり得ます。水平尾翼は、プロペラの取り付け点の下に配置することができます。

また、車両が複葉機尾翼を備える場合には、少なくとも1つの水平尾翼が下部尾翼であり得ます。

また、車両が道路で使用するように構成されているとき(すなわち、第2の位置にあるとき)、最後端部は、リアバンパーとして機能するように構成され得ます。

■全体構成

図1及び図2には、飛行形態(図1)及び道路利用形態(図2)で、コンバーチブル車両(空飛ぶ自動車)を含む航空機の全体構成が示されています。空飛ぶ自動車は、乗員室12を提供し、モータ(図示せず)と、モータから本体構造10の後部14まで延在するプロペラシャフト(図示せず)とを収容する本体構造10を備え、プロペラは後述のように取り付けられています。(図示しない補助翼を介して)リフトおよび制御を提供するための翼16は、乗員室12のすぐ後ろの本体10の頂部に取り付けられています。翼16は、飛行使用のための伸長位置(図1)と道路使用のための折り畳み位置(図2)との間で移動することができます。折り畳み位置では、翼は本体10の頂部に沿って位置し、翼の長軸は本体10の長軸と実質的に平行にあります。

【図1】

【図2】

■細部構成

次に、図3及び図4を用いて空飛ぶ自動車の細部構成を説明します。ここでは、尾部構造18が本体14の後部に配置されています。

前輪26は本体構造10に取り付けられています。前輪は操舵可能で駆動されます。加えて、前輪26は、飛行中の抗力を減少させるためにそれらが本体に接近して配置される後退位置(図1)と、牽引力を向上させるために配置される開位置(図2)との間で移動でき、道路での使用のために制御されます。

ここで、尾部構造18は、複葉機尾翼18'、18''を含み、上部尾翼18'は本体14の後部に接続されています。昇降舵28は上面18'のみに設けられています。一対のフィン30が設けられ、それぞれが方向舵32と、フィン30の間に延在する尾翼18'、18''とを有しています。各フィン30の下部には後輪34が取り付けられており、各フィン30のトレーニングエッジには後輪ライトユニット35が設けられています。中央フィン36が、後部本体部14から下部尾翼18''まで下方に延在しています。プロペラ38は、上部尾翼18'のトレーリングエッジのすぐ後ろの後部本体14に取り付けられています。

下部尾翼18''は、2つの部分構造を有し、固定水平部40及び可動最後端部42を含んでいます。図3に示すように、最後端部42は、固定部40に隣接して配置され、実質的に同じ水平面内にあります。この構成では、下部尾翼18''は比較的低い抗力を示し、空力的ピッチ安定性を提供するように機能することができます。

図4に示すように、最後端部42は、下部尾翼18''の平面の上方でフィン32、36にヒンジで取り付けられたヒンジ支持アーム44によってフィン32、36上の枢動点に接続されています。アクチュエータ46が中央フィン36と関連する支持アーム44との間に接続されています。

アクチュエータ46の動作は、図4に示すように、それが実質的に垂直な平面内に位置するまで、最後端部42を、枢動点を中心にして枢動させます。最後端部の下面48は後方に向いており、車両が道路用に構成されているときにはバンパーとして機能することができます。アーム44の長さは、下面がプロペラの背後に位置するように、すなわち車両の最後尾の範囲に位置するような、かつ道路使用規制要件を満たすのに適した高さになるような長さです。このプロセスを逆にして、車両を飛行形態に戻すことができます。

【図3】

【図4】

■展望、結語

以上のように、本発明にかかる空飛ぶ自動車では、道路使用のためのリアバンパーとして一定の最小の物理的寸法および性能の必要性と、飛行中の抗力の減少に対する要望とを調和させることができるようになります。これにより、空飛ぶ自動車がより現実的なものになると予想されます。

また、空飛ぶ自動車に関する類似特許出願として、特開2019-14310号公報や特開2019-14311号公報(いずれも出願人はトヨタ自動車)などもあります。これらの特許出願は、本発明と同様、翼の折り畳み構造が発明のポイントとなっており、空飛ぶ自動車の実現にあたり、翼の折り畳み構造が非常に重要であることが分かります。

■概要

出願国:日本(欧州) 発明の名称:空飛ぶ車のための構成可能な尾部
出願番号:特願2019-542799号
出願日:平成29年10月23日(平成28年10月25日)
公開日:令和1年12月19日(平成30年5月3日)
出願人:エアロモバイルアールアンドディーエスアールオー
経過情報:平成29年10月23日に特許出願(国内移行)されていますが、未審査の状況です。
その他情報:欧州出願を優先権基礎として国際出願されています。
IPC:B60F 5/02、B64C 37/00

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。

水中散歩

海と繋がる潜水艦でリアル海体験!

海と繋がる潜水艦でリアル海体験!

地上では見られないような目にも美しい魚や植物が海には生息していて、その幻想的な雰囲気には魅了されます。
この魅惑的な海を体験したくとも、今までは潜水艦の窓から風景として眺めるのがメインでした。それでは物足りない!もっとリアルに海を楽しみたい!ということで発明されたのが<水中観光及び体験用の有人潜水艇>です。この発明によって、潜水艦は密閉された空間という先入観が覆されました。というのも潜水艦の乗員は、身体が海水に触れながら、窓越しの海も楽しめるからです。この発明のキモとなるものがドーム状の透視窓です。ドーム状の透視窓と潜水艦本体とを離して設置する事で、透視窓への浸水を防ぐことが可能になりました。また潜水艦本体に海と繋がっている部分があるので、その場でスキューバダイビングもできちゃう新感覚海観光がスタンダードとなる未来も近いかも?

■従来の課題

一般的に、潜水艇は、船首と、船尾と、人が搭乗する乗務員室とを有します。

また、人が乗務員室に入り込むためのハッチ(昇降口)を上部に有します。

近年、レジャー文化の発達に伴って、潜水艦は、水中を観光する用途に用いられています。しかし、乗務員室が外部から閉鎖される構造のため、潜水艇が観光用として用いられても、周囲の様子を単に視覚的に楽しめるだけであり、水中を実際に体験することは困難でした。

そこで、水中の視覚的な観光だけでなく、水中での実体験を楽しむことができる水中観光用潜水艇が望まれています。

■本発明の効果

本発明によると、乗務員室の上に透視窓があるため、水中で周辺の様子を観光できるだけでなく、透視窓の内部空間において呼吸可能です。一方、乗務員室の下側が水中と通じている構造であるため、視覚的な単なる観光だけでなく、水と身体が接触して五感が刺激される、水準の高いレジャー体験を楽しむことができます。

また、本体と透視窓が互いに離れているため、本体と透視窓との間で乗務員が出入できます。よって、水中観光の途中で、スキューバ装備を着用した乗務員がスキューバダイビングを体験でき、水準の高いレジャー体験を楽しむことができます。

■本発明のポイント

本発明は、人が搭乗する乗務員室の上部に透視窓を備える有人潜水艇に関します。

特徴的な点を説明しますと、有人潜水艇は、水中の様子を内部から観察するための透視窓を備えていながら、乗務員の下半身側が水に浸かっている点です。より詳しく説明しますと、ドーム状の透視窓の内側空間が空気で満たされるため乗務員が楽に呼吸できる一方で、透視窓の下側で外と通じているため、乗務員の下半身側が水の中にあります。乗務員の上半身側だけが透視窓で覆われているような状態です。そして、乗務員が希望したときに有人潜水艇の外に出てダイビング等を楽しむことができ、終わったら有人潜水艇内に戻ることができます。

このような本発明の有人潜水艇は、下記のような構成をしています。

■全体構成

本発明の概要は、図2に示すように、船首と船尾が形成された本体1と、本体の上部に配置された乗務員室2とを備えた有人潜水艇100です。

この有人潜水艇100は、本体1の上側に離隔して配置されることで下方側が外空間と通じている透視窓10と、透視窓10を所定の位置に固定する固定手段20と、本体1に推進力を与える推進システム30と、本体1を水中で上昇および下降させる昇・下降システム40と、本体1の船首において推進システム30および昇・下降システム40を制御するコントロールボックス50と、を備えます。

固定手段20は、透視窓10を外側および内側から挟み込むように配置される内側フレーム21と外側フレーム22とを有します。内側フレーム21は、透視窓10を内側から支え本体1をまたぐように配置されて本体1に固定され、透視窓10の下端を下から支持するための支持突起を有します。外側フレーム22は、透視窓10の外側に配置され、内側フレーム21との間で透視窓10を挟み込み、透視窓10をまたぐように配置されて本体1に固定されて、透視窓10の離脱を防止します。

【図2】

■細部

図2に示すように、透視窓10は透明であり、内部に空間を有し、本体1とは離れているため透視窓10の下方は解放されています。

これによって、潜水時に透視窓10の内部空間では水の浸入が防止され、内部空間にいる乗務員が水中で安定的に呼吸できます。また、乗務員室2にいる乗務員が、透視窓10を通して水中で周囲の様子を見て観光することができます。

さらに、図4に示すように有人潜水艇100は、透視窓10の内部の酸素濃度を測定し、乗務員が呼吸可能な酸素濃度を維持するように酸素を供給する酸素供給システム70を備えます。酸素供給システム70は、透視窓10の内部で酸素濃度を測定して測定情報をコントロールボックス50に伝送する酸素濃度測定センサ71と、透視窓10の内部に酸素を供給する第2の酸素タンク72と、第2の酸素タンク72から供給される酸素を透視窓10の内部に排出する酸素排出管73と、酸素排出管73の途中で酸素排出管73を開閉できる開閉弁74と、を有し、開閉弁74は、コントロールボックス50の制御を経て作動します。

【図4】

有人潜水艇100において、上述した推進システム30は、図5に示すように回転力を与える駆動モータ31と、駆動モータ31の回転力が与えられて回転するプロペラ32と、駆動モータ31およびプロペラ32を内蔵するケース33など、その他、回転軸34、ピニオンギア35、ラックギア36、回転シリンダ37などを有します。推進システム30は、本体1の進行方向に対して左右両側にそれぞれ一つ以上設置され、駆動モータ31と回転シリンダ37が、コントロールボックス50の制御を介して作動します。

【図5】

■実施例(実施形態)

本発明の有人潜水艇の使用法の具体例を説明しつつ、より詳しく説明します。

まず、図6aに示すように、有人潜水艇100の乗務員室2に容易に搭乗できるように、昇・下降システム40を通じて浮力袋41の浮力を増減させ、潜水艇を水面付近に位置させます。しかし、潜水艇のすべてが外に出るように浮かべると再度潜水するときに多くの動力が浪費されるため、透視窓10の約2/3を上部に露出させた状態を保ちつつ、透視窓10と本体1との間に乗務員を通らせることで搭乗させます。

【図6a】

次に、搭乗が完了すると、昇・下降システム40を通じて浮力袋41の浮力を低減させ、有人潜水艇100の自重によって下降させます。

その後、潜水艇の下降が完了すると、図6cに示すように、推進システム30を作動させ、水中運行を開始します。搭乗客は、透視窓10から潜水艇の周辺を容易に観光することができます。

このとき、図6cに示すように透視窓10と本体1との間が離れているため自然に水が入り込むため、乗務員室2に搭乗した見物客は、単純な視覚的な観光ではなく、実質的に水と身体が接触され、五感が刺激される水準の高いレジャー体験を楽しむことができます。

また、図6cに示すように、潜水艇の運行により、職別手段120の浮標121が水面において一緒に移送されるため、外部から潜水艇の現位置を容易に認知することができます。

【図6c】

また、図6dに示すように、潜水艇の運行過程において、撮影システム80を通じて、潜水艇が運行される周辺が撮影されて保存されます。さらに、撮影システム80で撮影される映像情報は、実時間監視システム90の映像モニタ92から外部で確認し監視することができます。

【図6d】

有人潜水艇100は、水中運行中に傾いた場合に、傾きを感知して本体1が水平に維持されるように制御する水平維持システムも備えます。

運行中に潜水艇が傾くと、図6eに示すように、水平維持システムで感知して、その感知情報を受信するコントロールボックス50によって、傾いた側の浮力袋41に酸素を供給して浮力を増加させ、潜水艇の傾きを抑えて、水平を維持するように運行されます。

【図6e】

潜水艇が長時間運行されると、透視窓10の内部空間の酸素濃度が低くなりますが、このとき、酸素供給システム70を通じて、透視窓10の内部空間に酸素を供給し、搭乗客が安定的に呼吸できるように維持します。

一方、水中観光中に、搭乗客がスキューバダイビングをリクエストすると、図6gに示すように、潜水艇の運行を止め、簡便にスキューバダイビング体験を楽しむことができます。

【図6g】

水中観光及びスキューバダイビング等が終了すると、昇・下降システム40によって浮力袋41の浮力を調節して潜水艇を水面付近に上昇させ、その後搭乗客を降ろし、水中観光体験を完了します。

■展望、結語

以上ご説明しましたように、本発明の有人潜水艇によって、単に水中で海底を視覚的に観光できるだけでなく、スキューバダイビングも楽しめてしまいます。このような工夫が詰め込まれた有人潜水艇は、注目できる発明です。

■概要

出願国:日本 発明の名称:水中観光及び体験用の有人潜水艇
出願番号:特願2014-11049
出願日:平成26年1月24日
公開日:平成27年7月30日
出願人:パシフィックオーシャンマリンインダストリーカンパニー,リミテッド
経過情報:本権利は抹消されていません。存続期間満了日は2034年1月24日です。
その他情報:出願人は韓国の企業ですが、自国出願の優先権主張を伴わず日本国に直接出願をしています。
IPC:B63C

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。

INTERVIEW

ライター

真下遼


株式会社白紙とロックCTO。院生時代に漫才ロボットというユニークな研究に携わり数々の賞を受賞する。趣味は格闘ゲームで、休日は時間を忘れて徹夜することもある程

——特許の概要をお聞かせください

ユーザが達成したい物事や興味のある事等に関したキーワードを一つ入力すると、その達成までの手順(プロセス)を5つ程度に分割して提示するシステムです。 例えば、「久しぶりにスーツを着るけどネクタイの締め方はどうだったか」といったちょっとしたことから「ギターを初めたいけど初心者は何から手を付ければいいのかわからない」といったような時に、知りたいキーワードを入力して、その問題解決を即時的に行える手助けとなると考えています。

——アイデアのきっかけとなったエピソードなどはありますか?

現在、なにかを調べる時に検索エンジンを使うのが最も簡潔かつ一般的になりました。ただ、検索した膨大なページ結果から目的の情報を探すのは今でも困難かつ手間だと思います。 エピソードとしては、ベルギーで切符の買い方がわからなくて、咄嗟に調べたのですが、電車がもう来るかもしれない状況の中で具体的なやり方がなかなか見つからなくてやきもきしたことがあり、簡単にやり方を箇条書きで出してくれればいいのにと思ったのがきっかけです。

——日頃の考え方やモノゴトに取り組む姿勢など、自分のどのような部分がアイデア発案につながったと思われますか?

自分はめんどくさがりなので、日々の生活において面倒だ、これはやりたくない、いやだなと思うことも多いので、それをなんとか回避できる手段はないだろうかというある種姑息な部分は影響しているかもしれません(笑)
あとはわりとテレビ好きなのですが、中でもドキュメンタリー番組だったりワイドショーの一商品紹介コーナーだったりを観ている時などは、分野は違えどもアイデアや考え方を得るヒントになっていると思います。

——開発に関して、一番大変だったことはどんなことですか?

ステップアップ検索という名前で最初実現に向けて取り組んでいたのですが、既存の検索システムは、全てのことに対して結果が返ってきていたのですが、どのようにして全ての問題にたいしてステップアップして検索結果を返答させればいいのかが、大変でした。「学び」「行動」「手順」に関して焦点をあて、検索システムを開発することで、今までにない、新しい検索システムを開発することが現実的になりました。

——特許取得に至るまで、どれくらいのコスト(開発・特許申請の金銭面、労力面)が必要でしたか?

考案だけでも半年〜1年弱時間がかかりました。また、そこから弁理士の方に、わかりやすく説明をして、提出まで半年ほどかかりました。合計で2年弱ほどかかりましたかね?
また、弁理士費用に関してはスタートアップ支援ということで、特別価格でやっていただきました。(注1)特許事務所などへの特許出願依頼は30~50万円程度が相場

——今回の特許の未来への展開・発展、もしくは、新たな企画の方向性など、これからの活動について、公開できる範囲でお聞かせください。

今後は、必要とされる企業様に、カスタマイズを行い、様々な企業様に導入していただきたく思っています。使用用途としては、調査・教育・マニュアル・介護などに最適かなと考えています。

■概要

発明の名称:質問応答システム、装置、方法、サーバ装置及びプログラム
出願番号:特願2018-190543
特許番号:特許第6467678号
出願日:平成30年10月8日
登録日:平成31年1月25日
出願人:モンド・ラボ株式会社
発明者:真下遼