キャンプをより快適に!特許取得のアウトドアギア3選

目次

INTRODUCTION

太陽の日差しと吹き抜ける風が最高に心地よい季節は、非日常を求めてアウトドアライフを楽しみたくなりますよね。

バーベキューやキャンプは、大人も子供も、誰もがわくわくするイベントです。一口にキャンプと言っても、最近はそのスタイルが非常に多様化していて、例えばお金をかけずに楽しめる車中泊だったり、一人キャンプなども流行しています。わざと過酷な自然環境に身を置く、という限界突破型の楽しみ方もあるようです。

数年前にはアウトドアを楽しむキャンプをラグジュアリーに進化させた「グランピング(グラマラス+キャンプ)」という言葉も生まれ、多種多様なキャンプスタイルが楽しまれています。

今回は、キャンプを行うために用意すべき、さまざまなキャンプ道具についての特許をご紹介したいと思います。

キャンプ道具なんて昔から変わらないでしょ、なんて思うかもしれませんが、実は日々進化しているのです。
特に、昨今のアウトドアブームによって、キャンプに関わる人が多くなればなるほど、発明の機会は多くなるわけですから、それだけ多くの特許が生まれるというわけですね。

では、キャンプ道具にまつわる特許情報の一部を解説していきます。

寝心地アップ!テントのようなハンモック

寝心地アップ!テントのようなハンモック

寒い季節が終わり、屋外活動が気持ち良い時期になると、都会の喧騒や人混みを避けて、キャンプに行きたくなりますよね。

キャンプといえば大自然に囲まれた中でのテント泊が楽しみの一つ、という方は多いのではないでしょうか。

また、木の間にハンモックを吊るしてゆったりと揺られるというのも、憧れますよね。

ところで、ハンモックというのは、椅子として使用する「ベンチ用ハンモック」と、ベッド代わりに使用する「睡眠用ハンモック」の2つに大きく分けられます。

このうち、睡眠用ハンモックは、従来からいくつかの構造的欠陥が指摘され、快適な睡眠が得られにくいという問題がありました。

すなわち、従来型の睡眠用ハンモックでは、多くの場合、非平坦で湾曲した形状となり、使用者の快適性に悪影響を与えていました。

さらに、安定性を提供するための張力を適切に分布させるには不十分な構造であり、これにより十分な耐久性を発揮することができませんでした。

そこで、米国ユタ州在住のデレク・ティロットソン氏(ILLOTSON, Derek)は、ハンモックの快適性を向上させ、さらには多くの屋外活動(例えばバックパッキングなど)にも適用できる新たなハンモックの構造を発明し、米国特許商標庁を受理官庁として、2019年10月19日に特許協力条約に基づく国際特許出願を行いました(国際公開番号:WO2020/082093)。

このハンモックは、テントとしても使用できるように蚊帳(網)やフラップが設けられています。

従来のハンモックと異なり、ハンモックの両側2点で木などに支持させるのではなく、2本の木の間に渡されたロープ(リッジライン)に吊り下げられるように寝台が構築されます。

このような構造とすることで、ハンモックの両側(頭と足側)が斜め上に引っ張られることがなくなり、横たわった際に腰が落ちてしまうことが防止できるのです。

本発明では、ハンモックを吊るすロープにかかる力の方向を論理的にコントロールし、単純な構造ながら、上述した従来の問題点を解決する発明となっています。

そして、単純な構造ゆえに、畳んだ際には非常にコンパクトになり、登山の荷物量をぐっと減らせると考えられます。

発明者のデレク氏は日頃からアウトドアライフを楽しんでいるそうですが、このような個人発明家のアイディアが特許とともに製品化されるなんてすごいことですね。

必要は発明の母、といいますが、我々もなにか発明できることはないか、身の回りを見渡すことからはじめてみるといいかもしれませんね。

目的

本発明は、従来の睡眠用ハンモック(例えばハンモックテントなど。座るためのハンモックチェアとは区別されます)が従来抱えていた構造的・設計的欠点を改善し、従来型のハンモックにおける利用者への不快感を解消させることを目的として国際出願されたものです。

普段目にする睡眠用ハンモック

我々が普段目にする睡眠用ハンモックは、非平坦で湾曲した面で寝ることになります。

「そんなことは常識」と思うかもしれませんが、このような姿勢は、使用者の快適性や身体の支持(安定性)に多くの悪影響を与えます。

このような問題点は古くから指摘されており、従来市販されているハンモックの中にも、平坦な寝床面を有する、いわゆる平坦プラットフォーム型の睡眠用ハンモックも存在しています。

しかし、平坦プラットフォーム型のハンモックであっても、どれも不安定であったり、耐久性に問題があるものばかりでした。

一般的にハンモックは屋外のキャンプ等で使われるため、耐久性が要求されます。このような背景から、従来の平坦プラットフォーム型ハンモックは、耐久性や剛性を高めるために、とてもかさばり、かつ重量が大きくなってしまい、バックパッキングなどの屋外活動には不向きなものでした。

新たな構造のハンモックテント

そこで、米国ユタ州在住のアウトドアを愛好する発明家、デレク・ティロットソン氏(Derek Tillotson)は、上記問題点を解決するために、新たな構造のハンモックテントを発明しました。

なお、当該発明を特許出願後に、クラウドファンディングにて資金を調達し、すでに一般販売に至っています。

本発明と従来発明の共通点

本発明では、垂直に立っている木々など、2つの支点の間にハンモックを吊るすという基本概念は同じです。

従来のハンモック

しかし、従来のハンモックの場合、2つの支点に向かって、寝床面が直接斜めに引っ張られる構造となっていました。

このため、寝床面に寝転ぶと、頭と足が斜め上に向いてしまい、自らの体重によって寝床面が変形し、腰が落ちてしまうことが避けられませんでした。

本発明のハンモック

これに対して、本発明のハンモックの場合には、2つの支点に向かって、リッジラインを構成する一本のワイヤーを設けるだけで、従来の問題点を解決しました。

このリッジラインこそが、本発明の最大の特徴といえます。

【図1】本発明実施例

【図2】本発明実施例の側面図

プラットフォーム114

本発明では、図1−2の通り、平坦なプラットフォーム114を有しています。

このプラットフォームに使用者が寝転んでも、従来型ハンモックのように、2つの支点に向かって斜めにプラットフォームが引っ張られることはありません。

それはリッジライン104が存在しているために、2つの取付点112で使用者の体重が支持されるからです。

この構造において、使用者が寝転がるプラットフォーム部分は、張力をもったリッジラインに対して単にぶら下がるだけの構造になっているために、プラットフォームの変形が起こりにくいというわけなのです。

リッジライン104

このリッジラインは本発明の心臓部ともいえ、張力に対して耐久性のある素材が選択されます。

本発明の明細書には、一例としてナイロン製のウェビング構造が示されていますが、もちろんこれに限定されるわけではありません。

【図3】本発明実施例の平面展開図

リッジライン104

図3は本発明のハンモックを平面的に展開したものです。リッジライン104はワイヤー等のロープですが、その他の構成要素は軽量で耐水性を有するクロス(例えばナイロンやポリエステル)であって、通常のテント等にも使われているものです。

よって、不必要に重量が増したり、かさばったりすることもないことが示されています。

これによって、例えばバックパッキングなど、キャンプ用品の小型化・軽量化が要求される活動にも、採用可能となっています。

リッジラインに対して、テントとなるナイロンクロス等をかけることによって、簡便にハンモックテントとすることも可能です。</>

本発明において、リッジラインは体重を分散させる役割を担いますが、テントや蚊帳(メッシュ)などを設置するのにも役に立つというわけです。</>

【図4】本発明実施例のテントキャノピー内部</>

テントのキャノピー内部

リッジライン104にぶら下がるテントのキャノピー内部は上記のような構造となっています。</>

居住空間を広げるためのスプレッダー・バー146は任意に設けられます。</>

テント内部にあると便利なポケット136は、種々のテントに用意されているものですね。</>

そして、快適な就寝に役立つベッドパッド150が用意されます。</>

これはエアーで膨らませるタイプですが、これも一般的にテント泊で用いられているものですが、ハンモックで適用できると快適性がさらに増しますね。</>

【図5】本発明実施例のハンモックテント一部拡大図</>

本発明のハンモックテント

本発明のハンモックテントは、設営にあたりリッジラインに張力がかかるように設営しなければなりませんが、プラットフォーム114に使用者が体重をかけたことに起因してリッジラインに張力が働きますので、ハンモックテントの設営にあたっては、左図のようにリッジライン104が45°の角度まで緩んでいても問題ないそうです。</>

これにより、設営の難易度について厳密性を求めるものではなくなり、安全性が高まったといえます。</>

このように、従来のハンモックの問題点をたった一本のリッジラインを用意することで解決し、快適性を向上させるばかりでなく、軽量化や設営の簡易性も併せ持たせることが可能となりました。</>

発明の名称:Hammock Tents and Related Camping Systems
出願番号:PCT/US2019/058556
国際公開番号:WO2020/082093A1
出願日:2019年10月29日
国際公開日:2020年4月23日
出願人:Derek Tillotson
経過情報:当該国際特許出願の国際調査報告は、韓国特許庁の審査官によって行われ、新規性及び進歩性ありという見解が報告されている。

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。

2秒で設営完了!?画期的折り畳み式テント

2秒で設営完了!?画期的折り畳み式テント

初夏から秋にかけて、日本ではキャンプ場や登山などでテント泊を楽しむアウトドア愛好家が大勢いらっしゃいます。

キャンプといえば、なによりテント泊が代名詞ですよね。テントの中で仲間や恋人、家族で過ごす時間は、貴重な思い出づくりに最高です。

でも、テントって設営に時間がかかったり、かさばって重たい、金属の支柱を複雑に組み合わせるのが難しい、といった理由から、意外とテントを難なく設営及び収納できる方って少ないのではないでしょうか(逆に、テントを早く設営できる人をみると、ちょっと憧れちゃいますよね)。

このような背景から、テントを素早く展開したり、収納したりすることを目指した製品は、これまで数多く開発されてきました。

しかしながら、このようなテントの欠点は、多くの場合、内部に支柱を設けないことにも起因して、内部容積が小さくなってしまうことでした。

このため、ユーザーが横になったときに、十分な床面積が確保できないという問題点がありました。

さらには、テントの骨組みであるロッドを複雑に組み合わせる必要があり、設営に時間がかかるという問題もありました。

そこで、フランスのアウトドアスポーツメーカーDECATHLONは、2つの傘(アンブレラ)をつなげたような構造のテントを開発し、ちょうど折りたたんだ2つの傘を順番に開くような動作機構によって、わずか数秒で設営が完了するテントを発明しました。

この発明は、2018年10月17日にフランス特許庁に出願され、その後フランスで特許権を取得(特許番号:FR.3087466.B1)、そしてフランスでの出願を優先権基礎とした出願を、日本を含む10カ国に行いました(日本での公開番号:特開2020-76301、公開日:2020年5月21日)。

この出願に係るテントは、Quechua(ケシュア)というブランドから「2 SECONDS EASY」という商品名で既に販売されており、日本国内でも入手が可能です。

商品名の「2秒」というのはちょっと大げさかな、とも思えますが、従来知られているテントよりは大幅に短時間で簡単に設営できそうです。

また、このテントは畳んだ際には2つの傘を束ねたような形となり、円筒形状の格納袋に格納し、簡単に持ち運べるようになります。

このような画期的構造のテントを用いて、設営に時間をとられることなく、キャンプをさらに楽しめるようになるといいですね。素早く設営、撤収すれば、キャンプ慣れしたカッコいい大人にみえるかも・・・?

従来の折り畳み式テント

従来、ハイカーやキャンパーにより折り畳み式のテントが一般的に用いられている。折り畳み式テントは、スムーズに展開または折り畳むことにより、迅速な設置または格納を可能にする。

従来の折り畳み式テントの課題

しかしこれまでの折り畳み式テントは、テントの内部容積が小さいため、ユーザに必要な快適性が提供できないなどの欠点があった。

特に、テント内で横になったユーザの頭部と足がテントのキャンバスに接触する可能性があることはユーザにとって不快であり、心地よい睡眠を提供できないなどの課題があった。

ユーザの快適性が改善される

本発明は、上述した課題を克服する折り畳み式テントを提供する。

本発明のテントは二つのアンブレラ構造を有し、格納位置に対応する折り畳み位置と、使用位置に対応する設置位置をとることが可能な折り畳み式テントに関するものである。

テントキャンバスの内容積が増加することで、折り畳み式テント内で横たわるユーザの頭部と足がテントキャンバスに触れるのを防ぐことができるため、ユーザの快適性が改善される。

加えて本発明の折り畳み式テントは格納が容易であり、設置安定性に優れている。

本発明のポイントは以下より構成される折り畳み式テントである。

・テントキャンバスと、支柱無しの第1アンブレラ構造であって、第1上方ハブと、第1下方ハブと、前記第1上方ハブにヒンジ式に接続されるとともに前記テントキャンバスと協働する複数のリブと、複数のカウンタリブとを含み、前記第1アンブレラ構造の各カウンタリブは、前記第1アンブレラ構造の前記リブの一つにヒンジ式に接続された第1端部と、前記第1下方ハブにヒンジ式に接続された第2端部を有し、前記第1アンブレラ構造の前記リブと前記カウンタリブとは、前記第1下方ハブが前記第1上方ハブに対して第1移動方向(Y1)に沿って移動可能となるように構成され、前記第1アンブレラ構造は、開放位置と閉鎖位置をとることができる、第1アンブレラ構造と、
 支柱無しの第2アンブレラ構造であって、第2上方ハブと、第2下方ハブと、前記第2上方ハブにヒンジ式に接続されるとともに前記テントキャンバスと協働する複数のリブと、複数のカウンタリブとを含み、前記第2アンブレラ構造の各カウンタリブは、前記第2アンブレラ構造の前記リブの一つにヒンジ式に接続された第1端部と、前記第2下方ハブにヒンジ式に接続された第2端部を有し、前記第2アンブレラ構造の前記リブと前記カウンタリブは、前記第2下方ハブが前記第2 上方ハブに対して第2移動方向(Y2)に沿って移動可能となるように構成され、前記第2アンブレラ構造は、開放位置と閉鎖位置とをとることができる、第2アンブレラ構造と、
 前記第1アンブレラ構造の第1リブの遠端部と、前記第2アンブレラ構造の第1リブの遠端部をヒンジ式に接続するように構成された少なくとも一つの第1接続部を備える屋根を有する折り畳み式テントであって、
 前記折り畳み式テントは、前記第1アンブレラ構造及び第2アンブレラ構造が前記開放位置にある設置位置と、前記第1アンブレラ構造及び第2アンブレラ構造が前記閉鎖位置にある折り畳み位置をとることができる、折り畳み式テント。

本発明の更なるポイントとして、以下が挙げられる。

・折り畳み式テントが設置位置にある時、第2移動方向(Y2)は第1移動方向(Y1)に対して傾斜している。
・第1アンブレラ構造と第2アンブレラ構造は、折り畳み式テントが設置位置にあって地面上に載置されている時、第1接続部を通過する垂直平面の両側に広がる。
・第1接続部は、第1アンブレラ構造及び第2アンブレラ構造の第1リブの遠端部を受け入れるように構成される第1シースを有する。

折り畳み位置にある本発明の折り畳み式テントを図1に示す。

【図1】本発明の折り畳み式テント

折り畳み式テント全体

本発明の折り畳み式テントは、テントキャンバスと、第1アンブレラ構造16と、第2アンブレラ構造16'からなる屋根12を有する。第1アンブレラ構造16は、第1上方ハブ18と、第1下方ハブ20と、前記第1上方ハブ18にヒンジ接続された複数のリブ(第1リブ21と、第2リブ22と、第3リブ23と、第4リブ24と、第5リブ25)を有する。

第1アンブレラ構造16

さらに第1アンブレラ構造16は、第1カウンタリブ26と、第2カウンタリブ27と、第3カウンタリブ28と、第4カウンタリブ29と、第5カウンタリブ30とを有する。

これらカウンタリブの各々は、第1端部26a、27a、28a、29a、30aと、当該第1端部の反対側に第2端部26b、27b、28b、29b、30bを有する。

第1カウンタリブ26と、第2カウンタリブ27と、第3カウンタリブ28と、第4カウンタリブ29と、第5カウンタリブ30の第1端部は、それぞれ接続部32によって、前記第1リブ21と、第2リブ22と、第3リブ23と、第4リブ24と、第5リブ25にそれぞれヒンジ接続されている。

また本発明の折り畳み式テントは、第1アンブレラ構造16と同様の構造を有する第2アンブレラ構造16'を有する。

第2アンブレラ構造を開放位置にする操作方法は、第1アンブレラ構造を開放位置にする方法に類似する。

これらのアンブレラ構造によって、前記リブの各々を同時にかつ簡単に開放することが可能となる。最小限の労力でスピーディーな設置を可能とする。

図2に設置位置にある展開された折り畳み式テントの側面図を示す。

【図2】設置位置にある展開された折り畳み式テントの側面図

テントキャンバス14

本発明のテントキャンバス14は、第1及び第2アンブレラ構造16、16'の第3リブ23、23'と第4リブ24、24'の遠端部23a、23'a、24a、24'aと作動する周部エッジ14aを有している。

さらに第1及び第2アンブレラ構造16、16'の第5リブ25、25'の遠端部25a、25'aは、それぞれテントキャンバスの周部エッジ14aとは別のテントキャンバス14の協働部15,15'と協働する。また第5リブは、テントキャンバスから離間して内部容量を増大させる。テントキャンバス14には、縦三角パネル54、54'が形成されている。

第5リブ25,25'は、テントキャンバスがテント内に横たわるユーザの頭部または足に接触することを防止し、これによりユーザの快適性が改善される。

テントの内部からみる両アンブレラ構造

テントの内部から見ると、両アンブレラ構造は、凹状プロファイルを有しており、テントの内容積を増大させ、その結果ユーザの快適性が改善される。

前記折り畳み式テントは、好ましくは、少なくとも3つまたは4つのリブを有し、それらの遠端部は、テントが設置された時に地面上に載置されるように構成され、これによりテントは十分に安定する。

図3ないし図5に、折り畳み式テントの設置位置への配置状態を示す。

【図3】第1アンブレラ構造が中間位置にある状態の折り畳み式テント

【図4】第1アンブレラ構造が開放位置にある状態の折り畳み式テント

【図5】設置位置にある折り畳み式テント

(第1及び第2アンブレラ構造16、16'

第1及び第2アンブレラ構造16、16'は、順次、閉鎖位置から開放位置へ移動される。

ユーザは、折り畳み位置に置かれた折り畳み式テントの横に立ち、第1グリップリング48を使用して、第1コード46を自分の方に向けて引っ張る。

この引っ張りによって、第1下方ハブ20を第1移動方向Y1に沿って移動させ、それを、図3に図示されているように、第1上方ハブ18に近づける。

カウンタリブ

第1アンブレラ構造16の前記カウンタリブ26、27、28、29、30は、第1下方ハブ20の移動を導く。

第1下方ハブ20の平行移動に対し、カウンタリブは、第1アンブレラ構造16のリブ21、22、23、24、25の第1リブ部34に対して力を加え、それらを互いから離間移動させようとする。

第1リブ部34と、第2リブ部36に接続するヒンジ38は、互いに離間移動し、第1アンブレラ構造16の外側へ揺動する。

図3ないし図5に示されているように、カウンタリブは共に、リブとカウンタリブとの間の接続部32を通過するとともに、第1移動方向Y1に対して垂直な平面Pを交差する。

カウンタリブによるこの平面Pの交差は、ハードポイントの交差とも称される。第1下方ハブ20は、ユーザによって操作される力無しでは平面Pを交差することができないので、第1下方ハブ20は、安定した位置で第1上方ハブ18と接触する。

第1下方ハブ20の長手部分40は、第1上方ハブ18のオリフィス44を通過し、第1下方ハブ20の支持部42は折り畳み式テントから外部に突出する。

図4及び図5に示されているように、第2アンブレラ構造16'が開放位置に置かれたとき、第2アンブレラ構造の第1リブ21'と第2リブ22'が、第1アンブレラ構造16の第1リブ21と第2リブ22に対し上向きの押し力を加える。

この力は、図5に示されているように、第1アンブレラ構造を、折り畳み式テントの自動成形を可能にする傾斜にするべく、第1アンブレラ構造を更に揺動しようとする。

さらに、第1アンブレラ構造16が第2アンブレラ構造16'を支持し、反対に第2アンブレラ構造16'が第1アンブレラ構造16を支持する。その後、折り畳み式テントは展開される。

ドーム形状に維持

折り畳み式テントの設置位置において、テントキャンバス14は内部容積Vを規定する。第1アンブレラ構造の接続部を通過する平面Pは、地面に対しおよそ45度の角度で傾斜している。

第1及び第2移動方向Y1,Y2が地面に対しておよそ45度の角度で傾斜している。

それらは、互いに対して、およそ90度の角度αでさらに傾斜している。これにより、折り畳み式テントは、キャンパーを格納可能なドーム形状に維持する。

本発明の折り畳み式テントによれば、最小限の力でスピーディーにテント設置を行うことができる。

また、テントキャンバスの内容積が増大することで、折り畳み式テント内で横たわるユーザの頭部と足がテントキャンバスに触れるのを防止することができ、ユーザの快適性が改善される。

発明の名称:二つのアンブレラ構造を備えた折り畳み式テント
出願国:日本
出願番号:特願2019-189736
公開番号:特開2020-76301
特許番号:特許第6722516号
出願日:2019年10月16日
公開日:2020年5月21日
出願人:デカトロン
経過情報:出願審査中
その他情報:なし
IPC:なし

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。

極寒でも快適睡眠、快適性を向上させた寝袋

極寒でも快適睡眠、快適性を向上させた寝袋

アウトドアで宿泊する場合、ある程度気温の高い夏場は別として、気温の下がる季節や場所では睡眠中の体温管理のために、寝袋(シュラフ)の使用は安全面から見ても好ましいでしょう。

最近では様々な場所で車中泊をすることがブームになっていますが、車の中であっても、就寝中にずっとエンジンをかけておくわけにはいきませんから、寝袋があると安心です。

寝袋は大きく分けて二通り、その構造から、いわゆる「封筒型」と「マミー型」に分けられます。かなり例外的なものとして、寝袋を着たまま動き回れるような「ヒト型」なんていうものもありますが、構造的に単純な封筒型は、保温性は比較的劣るものの、価格が安く、寝袋内での身動きがしやすいという特徴があります。

マミー型は隙間ができにくく、少々動きにくくはなりますが保温性が高く、氷点下でも使用可能なものが多いという特徴があります。

今回の発明は、マミー型の寝袋に関するものとなり、従来よりもさらに保温性及び快適性を向上させることを目的につくられました。

この寝袋は広島のアウトドアメーカーBears Rock社が開発し、2015年4月6日に特許出願され、2019年6月21日に特許が登録されています(特許番号:特許第6542564号)。

さて、従来のマミー型寝袋では、寝袋に入った後、最後に顔の部分を締める際、寝袋の開口縁を縮めるような機構であったため、どうしても開口部が横長の形状になってしまい、特に頬に対応する横の部分の間隔が開いてしまい、十分な密閉性が確保できない(つまりここから冷気が入ってきてしまう)という問題がありました。

そこで、使用者の顔部分を露出可能な開口部の周縁部を、使用者の顔部分の形状に似た形状に維持できるようにしたものが、今回の発明となります。

この発明を採用した寝袋は、Bears Rock社から既に販売されており、なんと−34℃の環境下でも使用可能という、圧倒的性能を誇ります。

アウトドア愛好家の間では大人気の商品のようで、品薄が続いているそうです。

寝袋は、キャンプなどのアウトドア・レジャーだけでなく、災害時にも活躍することが想定されますから、本発明品のような高性能なものを家族の人数分、揃えておいてもいいかもしれませんね。

寝袋は、主にテントやキャンピングカー等で寝泊まりする所謂アウトドア活動において、就寝時に寒さを防ぐ為の寝具として利用されている。

従来、寝袋の頭部に、使用者の顔部分が露出可能な開口部を備え、使用者の顔部分周りのシール性を確保するために、開口部の周縁にヒモを設けたものが用いられている。

しかし従来のテントは、使用者の額と顎に相当する部分の間隔が直ぐに狭くなり、頬に対応する横の間隔が開き十分にシールできないことがある。またヒモを引っ張る操作性が悪く、加えて顔部分周りを顔部分の形に相応して狭くすることが非常に難しいなどの課題があった。

本発明の寝袋は、使用者の顔部分周りを効果的にシールすることができる。

使用者の顔部分を露出する開口部の形状を、使用者の顔部分に似た形状に維持するように設計されているため防寒性もよい。

本発明は以下のポイントより構成される寝袋である。

・使用者の体を収容する本体部と、本体部の上側に使用者の頭部を収容する寝袋頭部を有し、寝袋頭部に使用者の顔部が露出可能な開口部を有する
・開口部の周縁は、開口部の下端から寝袋の左右両方向に広がってから斜め上方に向かい曲線状に延び一体に繋がるように形成され、開口部の周縁に開口部の広さを変更可能な変更手段を備えている
・変更手段の内側に、開口部の周縁に沿って、使用者の顔部に当接可能な顔当て部を有する
・顔当て部は、内部に中綿を有する袋状になって、 開口部の周縁に縫製され、周縁から寝袋外側へ向けて立ち上がり、外側端部が変更手段より外側に位置する

本発明の更なるポイントとして、以下が挙げられる。

・本体部に、開口部の下端部から本体部の足元方向にスライドして開閉する本体ファスナーが設けられ、本体ファスナーは、本体部に縫製されたシート状基材と、シート状基材に取り付けられた複数の噛合エレメント及びスライダを備えている
・変更手段が、本体ファスナーに一体に連続する開口部ファスナーで形成され、本体ファスナーのスライダが開口部ファスナーにもスライドすることで、開口部の広さを変更することができる
・開口部のファスナーは、本体ファスナーを設けた開口部の下端部から、左右方向に拡がってから斜め上方に接近する方向に向かって延びて曲線状に一体に接続され、開口部が縦長の楕円形状に形成される

本発明の寝袋の閉じた状態を示す斜視図を図1に示す。

【図1】寝袋の閉じた状態を示す斜視図

寝袋1は、袋状で所謂マミー型と呼ばれる形状からなり、一般的に は、綿・ポリエステル・ナイロン等からなる2枚の布地の間に、羽毛や中綿等の保温材が封入されて構成されている。

図1に示すように、寝袋1は、その中で寝る使用者が仰向けで寝た場合に、背面側になって敷かれる敷部と、この使用者の正面側(腹側)になり、使用者の上に掛けられる掛部3を備えている。

寝袋1は、足元側から上方に向けて各左右方向に広がってから、寝た状態の使用者の肩に相当する部分から徐々に左右方向から滑らかな曲線状で狭くなっている一体形状のマミー型である。

 図2に寝袋上部の拡大斜視図を示す。

【図2】寝袋上部の拡大斜視図

寝袋頭部5には、使用者の顔部分を露出可能な縦長の楕円形状の開口部10が設けられている。

開口部10の周縁11は、開口部10の下端部10a1から寝袋1の左右両方向に拡がってから斜め上方に向かって曲線状に延びて一体に繋がるように形成されている。

この開口部10の下端部10aから下方を寝袋本体部4とし、その上方を寝袋頭部5とする。

基本的には、寝袋本体部4と寝袋頭部5とは区別されること無く一体のものであり、寝袋本体部4と寝袋頭部5に明確な境界はないが、開口部10の位置を解りやすく説明する便宜上前述したように区別している。

寝袋本体部4の左右方向中央位置に、開口部10の下端部10aから、寝袋本体部4の足元方向にスライドして寝袋本体部4を開閉する本体ファスナー6が設けられている。

本体ファスナー6には、上側スライダ7aと下側スライダ7bとからなるスライダ7が設けられている。

上側スライダ7aを寝袋下方向にスライドさせて、掛部3を左右に開けることで、使用者が、敷部2と掛部3との空間に出入りできる一方、上側スライダ7aを寝袋上方向にスライドさせて、掛部3を閉じることで、使用者の体部分が包まれるようになっている。

 図3に開口ファスナーの拡大斜視図を示す。

【図3】開口ファスナーの拡大斜視図

図3に示すように、開口部10の周縁11に、開口部10の広さを変更可能な変更手段として、開口部ファスナー12が設けられている。

開口部ファスナー12は、本体ファスナー6と連続する一体のファスナーとして設けられている。

開口部10の下端部10aと本体ファスナー6の上端部6aとの両位置を一致させて、開口部10の開口部ファスナー12と本体ファスナー6を連続して設けることで、この上側スライダ7aを寝袋下方向にスライドさせて掛部3を左右に開いた部分と、それに連続する開口部10とを介して、使用者が出入りすることができる。これにより、小さな出入り部分で使用者の出入りがスムーズに行われる。

なお、本体ファスナー6は、使用者の出入りに支障が無ければ、掛部3をできるだけ大きく開けない方が良いので、足元方向の途中までとしているが、場合によっては、寝袋の足元位置である寝袋下部まで設けてもよい。

周縁11に設けられた開口部ファスナー12よりも寝袋内側に、開口部10の周縁11に沿って、使用者の顔部分に当接可能な顔当て部が設けられている。

ここで開口部10の詳細構造について図1~図3を用いて説明する。

本体ファスナー6は、スライダ7、噛合エレメント8及びシート状基材9を備える。

開口部ファスナー12は、本体ファスナー6のシート状基材9に連続する1枚のシート状基材9と、噛合エレメント13を備える。

即ち、本体ファスナー6及び開口部ファスナー12のシート状基材9は、図1の左側の掛部3の端に、下端部6bから上端部 6aまで縫製された後、開口部10の左側下端部10aから左方向に曲がって拡がって開口した周縁11に沿って縫製され、その後、楕円状を描くように形成された周縁11に沿って縫製され、開口部10の上端部でUターンして、左右対称に周縁11に沿って縫製され、開口部10の右側下端部10aまで戻り、その後、図1の右側の掛部3の端に、本体ファスナー6の上端部6aから下端部6bまで縫製されている。

本体ファスナー6の上端部6aと開口部ファスナー12の下端部12aとは一致しており、図2及び図3に示すように、1枚のシート状基材9に、噛合エレメント8及び噛合エレメント13が連続して同一間隔で取り付けられており、本体ファスナー6のスライダ7が、噛合エレメント8と噛合エレメント13を連続してスライドできるようになっている。

噛合エレメント13は寝袋外側を向くこととなる。

この向きのままで、シート状基材9及び噛合エレメント13が開口部10の周縁11を回って開口部10の下端部10aまで戻り、シート状基材9が開口部10の周縁11に縫製されるようになる。

シート状基材9及び噛合エレメント8は、本体ファスナー6では、左右が互いに向き合って対向している。

一方、シート状基材9は、開口部10の周縁11では、寝袋1の内側1aに向いていた内側面9bが、徐々に向きを変えてほぼ90度向きを変える状態になり、それに応じて噛合エレメント13も徐々に寝袋外側1bの方向に向きを変えて、周縁11に縫製される。

これにより、開口部10は、噛合エレメント13の向きの変更により滑らかな縦長の楕円形状を維持しやすくなっている。

本発明は、室内、車室内あるいは、登山、ハイキング、キャンプなど屋外で使用する寝 袋であって、使用者の背面側に敷かれる敷部と、使用者の正面側を覆う掛部とを備えた寝 袋に極めて有用である。

発明の名称:寝袋
出願国:日本
出願番号:特願2015-77500
公開番号:特開2016-195709
特許番号:特許第6542564号
出願日:2015年4月6日
公開日:2016年11月24日
出願人:Bears Rock株式会社
 登録日:2019年6月21日 経過情報:登録
その他情報:なし
IPC:A47G 9/08

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。

総評

ライター

コロナ禍で「ソロキャン」や「お家キャンプ」など、本格的なアウトドアよりも気軽に楽しめるアウトドアがトレンドとなってます。

それに伴いアウトドアギアも”性能・品質”から、”簡単さ・快適性”のニーズが高まっており、それに向けた様々な商品が発売さています。

今回解説されている特許らも、そういったトレンドニーズを満たす発明商品の根幹になっています。

アウトドアギアの中でも、本格的なものに関してはテクノロジーや最先端技術が必要になってきますが、簡単さや快適性のニーズに対応するには、「折り方」「組み立て方」「切り方」など、ちょっとした工夫で画期的な商品が生まれる可能性があります。

そういった意味では、技術や専門知識がなくても、誰でもちょっとしたアイディアでヒット商品を発明できる可能性を秘めていそうですね。

また、本来自然を楽しむためのアウトドアなので、商品自体もアナログで古典的な商品であった方が、現在のトレンドマーケットに対しては親和性が高いと考えられます。

今後も、コロナ状況が落ち着いてもSDGsや環境・自然への意識の強まりから、この「気軽に楽しめるアウトドア」のトレンドは続くと思われ、競合商品や類似商品が多くでてくる分野だと予想してます。
そうなると、特許や意匠などで差別化することは商品をマーケティングする上で重要な要素になりそうです。