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編集部が選ぶ!未来を変えてくれそうな特許5選

INTRODUCTION

普段なかなか特許情報に触れることはないと思いますが、実は日頃目にするものの中にもたくさんの特許技術が使われています。
当メディアの編集部は、ほぼ毎日のように特許情報を目にしているので、ちょっとしたニュースなどでも”商標”や”特許”のキーワードが書かれていると、その言葉に敏感に反応します。
会社や商品に対しても「どの会社がどんな特許を持っているのか?」「この商品は特許なのか?」など、普通とはちょっと違った視点で見ていると、その特許情報の中から、私たちの生活をより良くしてくれる特許を発見することができます。

 

そこで、今回は、そんな特許大好き編集部のスタッフたちが注目する”未来を変えてくれそう!”な企業が取得している特許技術の一部を解説していきます。

目次

在庫物品管理

商品の移動を検出してレジの行列解消?

商品の移動を検出してレジの行列解消?

現在の電子商取引においては、配送センターの在庫を管理し、顧客が商品を注文すると、ピッカーにより在庫から商品が選択され、梱包ステーションで梱包され、顧客のもとへ出荷されるのが一般的な流れです。実店舗においても、顧客がアクセスできる場所(ショッピングエリア)の在庫をそれぞれ維持管理し、顧客は店舗内で商品を探し、購入のためにレジへ運んでいくという点で、商品の流れは同様といえます。 しかし、どちらの店舗形態でも、ピッカーや顧客が商品を取得するために、最初にその商品を探索しなければならないという問題点があります。 そこで、商品を在庫場所に配置する際、及び、除去する際に、商品リストの更新を自動で行わせることとしました。 例えば、ピッカーや顧客の手をカメラで常に撮影し、手が在庫場所に入る前の画像と、在庫場所を出た後の画像を比較することで、商品を在庫場所に配置したかどうかを判断します。これに基づいて、在庫リストを更新していけるわけです。 逆に、このシステムを応用すると、実店舗において顧客が商品を購入する場合に、商品をカートやバッグ、ポケットに商品を入れ、顧客が店舗を出た段階で、レジでの精算を経ることなく、顧客に代金を請求できることになります(もちろん事前に顧客登録等が必要となりますが)。 このような技術がスーパーマーケットなどの小売店にも採用されれば、長いレジ待ちの列に並んでイライラすることもなくなるかもしれませんね。

在庫物品を管理する物流システムに関して、すでに特許となった特許出願をご紹介します。
今回ご紹介する特許出願は、アメリカで出願された特許出願を基にして国際特許出願(PCT出願)され、その後、日本へ移行してきた出願です。この出願(親出願)は審査されたものの特許になっていません。しかし、分割出願された本特許出願(子出願)が以下の通り特許となりました。
このように、アメリカの出願人によって出願されて特許となった内容についてご紹介します。

■従来の課題

従来、小売業者や卸売業者は、顧客の購入や取引先の注文に伴って変動する物品の在庫を管理しています。

仮想を現実と思わせる工夫

なにが現実で何が過去なのか混乱させる技術?

なにが現実で何が過去なのか混乱させる技術?

仮想現実研究において、実際には目の前で起きていないことを、いかにして実際に目の前で起きていることとして認識させるか、というのは長くこの研究の課題となっています。どうやって現実とは違う映像を現実のものとして認識させるか、というのはなかなか難しい問題なのです。 例えばVRゴーグルを装着して見えるもの、これってちょっと現実とは違うものを見せられているという認識をもつのが普通だと思います。というのも、CGや映像の動きの不自然さが、目の前の映像を「現実ではないもの」と認識するからですね。
そこで、ある場所において撮影された、まったく同じ視点から撮影された映像を、現在映像、代替映像、これらを組み合わせた複合映像へと切り替える映像切替手段を備える「代替現実システム制御装置」が開発されました。これは、過去の映像(自分が写っている可能性もある)と現在の映像をミックスして視聴者に見せるというもので、どこまでが過去映像で、どこからが現在映像であるかを混乱させることが目的なのです。過去映像の撮影にあたっては、同じ視点であることはもちろん、周辺の音声についても同様です。このような装置を使って映像を見せると、ほとんどの被験者は、自分の判断に自信を持てなくなり、ほとんどの過去映像を現在実際に生じている事象として受け止めるようになるそうです。
このような技術は、研究分野だけでなく、例えば、ヘッドマウントVRディスプレイを用いたいわゆる「没入型一人称ゲーム」に応用が可能かもしれません。ゲーム内環境の現実感等を高めることができるとのことで、このような技術を応用したVRゲームの今後の発展がとても気になりますね。

今回ご紹介する特許出願は、日本の研究機関によって出願され、いったん特許となった出願です。その後、特許料の不納によって特許権が消滅しています。しかし、審査を経て特許となった内容ですから、技術的に意味のある内容となっています。
このように、日本研究機関によって出願されて特許となった内容についてご紹介します。

■従来の課題

従来、仮想現実研究において、仮想の事象を、いかに現実の事象として被験者に認識させるかが課題となっています。

ユーザーの感情や態度を読み取る音声応答デジタルエージェント

エージェントがあなたのウソを見破る?

エージェントがあなたのウソを見破る?

ユーザーが発話する音声を受け付けて、その音声の内容に応じて情報処理を実行する情報処理装置(デジタルエージェント)は、SiriやAlexa、Cortanaなど、一般的な存在になりつつあります。これらのデジタルエージェントは、キーボードやタッチパネルでの情報入力によらず、ユーザーの声に応答して各種の指示や情報を処理することができることは、広く知られているところです。 しかし、これまでの技術では、ユーザーから単純な支持や文字列情報を受け付けて処理することはできても、ユーザーの感情や態度など、文字化できない情報を読みとることはできませんでした。なぜなら、ユーザーの感情等は、発話内容以外の情報にも表れるからです。 そこで、ユーザーの発話から発話内容以外の情報を読み取ることのできるデジタルエージェントが開発されました。エージェントの情報処理方法の一例を挙げると、まず、従来の技術でも可能な、ユーザーの発話内容の特定を行います。このとき、エージェントは音声信号中にユーザーの声が含まれていない時間や、意味をなさない「あのー」とか「えー」などの発声をしている時間を『思考時間』として特定します。この思考時間や、ユーザーの声の大きさなども併せて評価して、ユーザーの応答の確からしさの推定を行うのです。例えば、思考時間が極端に短い場合などは「ほとんど考えずに応答しているな」と判断し、確信度を低く評価することができるといいます。声の大きさが大きいときは確信度を上げるということも可能です。エージェントは、このようなパラメータを総合的に評価して、ユーザーの応答が「本気」、「確信なし」、「嘘」などといった基準にあてはめ、この結果に基づいて返答の発言内容を変化させることができるようになりました。このような技術が一般化されると、今後デジタルエージェントに問いかけるときは相手に気に入られるように、こちらが気を使うことになるかもしれませんね。

■従来の課題

ユーザーが発話する音声を受け付け、その音声の内容に応じ情報処理を実行する情報処理装置が知られている。しかし従来の装置では、ユーザーの“音声内容以外の情報(感情や態度など)”を読み取ることは困難であった。

巨大な海中構造物のつくりかた

工場は海の中??

工場は海の中??

海に囲まれた日本では、昔から船舶を始めとした海上・海中構造物を製造する、造船業などの産業は欠かせないものとなっています。一般に、断面径が10m程度の船舶や潜水艇などは、予め陸上のドックで製作し、海上まで牽引することや、パーツごとに分割したものをドックで製作し、海上で水密性を確保した状態で一体化させる方法が採用されています。
しかし、大きさが数100mとなるような大型の海中構造物を構築する場合には、陸上で完成物を作って海上まで牽引することは困難であるし、パーツごとに分割したとしても、すべての分割体を、水密性を維持したまま接合・一体化させることは困難でした。 そこで、新たな海上施工システムとして、海中構造物の球状外殻を、耐水圧性を有した躯体フレーム構造とし、また、フレームの内側には中央タワーを併せて構築することで、外殻が水圧などの外力を受けた場合の変形を防ぐ効果を奏する一方、タワー内に商業施設、例えばホテル、オフィス、共同住宅や社宅などを設けることも可能なものとしました。このような中央タワーの外側の海上で、海中構造物の外殻を構築し、できたものから海中に沈めていくという施工方法をとることで、巨大な海中構造物が可能となるそうです。快適な海中生活をしながら船舶等の製造に携われるなんて、宇宙ステーションを海の中に作ったようで、なんだかワクワクしませんか?

■従来の課題

船舶・潜水艇などに代表される海中の構造物は、予め陸上の製作し易いドック等の場所で製作し、設置現場の海上まで船で牽引する方法、または、球殻型海中構造物を分割した大きさのものをドック等の場所で製作し、設置現場となる海上でこれら分割された構造体を組み立てて一体化させる方法などによって構築される。

基礎的学習内容を共有する機械学習ユニット

学んだことを共有するAIたち

学んだことを共有するAIたち

AIに必須の機能である、機械学習に関しては、これまでにも多くの特許が存在しています。特に、複数のAIの関係については、各AIが有する学習モデルと他のAIが有する学習モデルとが類似する場合に、これらの学習モデル全体を合成することによって学習効率を向上させる技術が知られていました。 しかし、昨今AIの普及に伴い、さらに効率的な機械学習を行わせるためのシステムが必要とされています。
そこで、学習装置ユニットに、少なくとも1つの学習装置と、これとは別に、他の学習装置ユニットと共有される部分を有する中間学習装置を備えることとしました。このような構成として、中間学習装置同士を一定の頻度で通信させ、他のユニットと共有をはかることにより、各装置が新しく学んでいる情報と、他の装置が学んで中間学習装置に格納した情報とを同時に処理するほか、個体に固有の情報と、他の個体との間で共有できる情報とを分けて処理することができ、従来よりも効率よく全体の学習成果が向上するというわけなのです。
このような学習装置ユニットは、具体的な適用においては多くの場面が考えられ、例えば自動車関連では、複数の自動車のセンサ情報を効率的に活用すること、製造業においては複数の製造装置・ロボットからの情報を入力し、プロセスの最適化などが図られることなどが期待されます。
以上のような、多くの個体(機器)に搭載された学習装置ユニットが情報を適時に共有することで、これまでのような、各個体が独立に大量にデータを貯めて学習を実行する場合に比べて、より短い時間で学習ができるとのことです。より効率的なAIの学習システムによって、仕事の自動化・スピードアップが実現できるといいですね。

■従来の課題

人工知能を構成する技術の1つとして、機械学習が知られています。人工知能は、例えば、画像認識・翻訳・自動運転などの分野に応用されつつあります。機械学習は、人工知能をさらに発展させるために、さらなる進化が期待されている技術です。