+VISION

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アスリートを支えるメーカー特許たち

目次

カラバリいらず!色が変わる靴

おしゃれスニーカー特許弁理士

ナイキの変色シューズ

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で登場した自動ひも調整シューズを、ナイキが実現したという話は有名ですよね。
実はそのナイキ、またしても未来型シューズの発明を進めています。今回のシューズのカギを握るのは、電気信号によって色が変わる素材(有機ELなどにも使われる素材です)。その素材を備えることで、スマホなどの端末から操作して、自由にカラーを変えられるというのです。ということは、服に合わせてカラーコーデを楽しんだりするほか、色だけではなく、好みの模様や文字を浮かび上がらせてみたりと可能性は無限大。さぁ、アナタならカラーが変幻自在のカメレオン・シューズをどんな風に使いますか?

■発明のポイント

本発明は、変色部を有する履物を作動させる方法です。履物の具体的な例は、スポーツシューズです。

雲の上を走る!すべらない靴

ランニングシューズ特許弁理士

onのグリップ力向上シューズ

ナイキの「厚底シューズ」がさまざまな話題を生んだのはご存知の通り。
シューズの世界においては、日々、スポーツメーカー各社がしのぎをけずるテクノロジー合戦が行われているのですが、今回はその中でも特殊なソールで“雲の上”のような履き心地という「オン」のシューズのお話です。こちらのシューズ、ドーナツ型の穴の空いた小さな素材が、靴底にたくさん張り付いているようなソールが特徴。それにより、地面の形状に合わせて、ソールにあるいくつものパーツがバネのように独自に変形し、抜群のクッション性とグリップ力を実現可能に。足元のちょっとした感覚でプレーの質は変わるもの。今までプレー中のスリップで転倒したり、踏み外してミスをしたり、そんな残念なシーンが減るかも!?

■発明のポイント

本発明は、柔軟な靴のソール構造に関する発明であって、地面と靴底とが接するときにおいて、接地面積を大きくすることにより接地時間がながくなりスリップしにくくする発明と推測できます。

新グローブで落球エラー知らず!?

おすすめグローブ特許弁理士

アシックスの吸い付くグローブ

大事な場面で飛んできたフライボールが、グラブからぽろり…。
そんな痛恨の落球エラーで、トラウマを抱えてしまったプレイヤーは、世の中にどれほどいるのでしょうか。しかし、もう大丈夫。落球エラーにおびえる時代は終わりを告げようとしています。今回ご紹介するのは、アシックスが手掛けている新型ウェブ(グラブの親指と人差し指の間の網状部分)とそのウェブを搭載したグラブ。ボールをキャッチしたときに、ウェブの一部が内側に向かって傾斜する、つまり、ボールを逃がさないための“かえし”のようになるグラブで、落球の可能性を軽減するという機能性を持っています。ボールがグラブに吸い付くような感覚を味わえるというこのグラブ、ぜひ試してみたいですよね。

■発明のポイント

本発明は野球用の捕球具(グラブ)のウェブ(グラブの親指と人差し指の間にある網状の部位)、及びそのウェブを備えたグラブに関するものです。

憧れの神シュートが現実に!?

アディダススパイク特許弁理士

アディダス最強スピンシューズ

サッカー好きなら、誰もが一度は憧れるスタープレイヤーの神シュート。
その夢を叶えてくれる“魔法のスパイク”を、あのアディダスが開発しようとしているのをご存知でしょうか? どんなスパイクかといえば、なんとプレイヤーの動きを察知して、スパイク表面の構造が変形するというシロモノ。つまり、たとえば選手がシュートを打とうとすると、アッパー部分が波状やフィン状に変形してボールをとらえ、摩擦力によって力強いシュートを生みだしたり、また反対に、ドリブルしようとすると、表面が滑らかになってボール・コントロールがしやすくなったりするという恐るべき機能を搭載。このスパイクがあれば、キャプテン翼のドライブシュートも夢じゃないかもしれませんよ!?

■発明のポイント

サッカー、アメリカンフットボール、ラグビーなどの球技において、競技者の足は非常に様々な状況でボールと接触する。

必殺スマッシュでも折れない!?

ミズノ特許弁理士

ミズノの技ありシャトル

「なるほど、そうきたか…!」と誰もがうなる“発想の転換”。
今回は、そんな思考の妙技を活かした発明をご紹介します。その発明とは、ずばり、スポーツメーカー・ミズノが発明したバドミントンのシャトル。シャトルには、天然羽根を使ったものと、人工羽根を使ったものがあるのですが、人工羽根のシャトルは、軸部分が硬すぎて、ラケットで打ち返すと折れやすいという問題がありました。では、どうしたら折れない軸が作れるのか…!と普通は考えるのですが、ミズノが着目したのは、軸を固定するベース部分。糸状部材を使った特殊な構造のベース部分で“遊び”をもたせながらも、きちんと固定することで、軸の硬さはそのままに羽根が折れにくいシャトルが誕生しました。

■従来の課題

従来、ガチョウやアヒルの天然羽根を使ったシャトルコックが知られています。

INTERVIEW

スケートボード界の風雲児

一見、スイスイと簡単に乗りこなせそうに思えるスケボー。いえいえ実は、上手に乗りこなすのには、かなりの鍛錬が必要だ。街や公園で夜な夜な練習をしている青年たちをよく見かけるが、スケボーというのは、それほど熱心にトレーニングしないと、思うように走ったり、技を繰り出したりできないというわけだ。今回お話をお伺いするのは、トラックと呼ばれるボードとウィール(タイヤ)をつなぐパーツにおいて、新たな機構を独自の技術で開発し、スケボーの常識をくつがえした技術者さん。かつてない操作性を誇る進化型スケボーが生み出された背景に迫る。

■概要

発明の名称:スケートボード用トラック及びこれが取り付けられたスケートボード
出願番号:特願2018-200726(P2018-200726)
特許番号:特許第6485986号(P6485986)
出願日:2018年10月25日
登録日:2019年3月1日
出願人 :Y.M.
経過情報:2019年02年15日に特許査定がなされ、現在、権利存続中です。

ライター

発明者:Y.M.


オートバイ好きが高じて整備士の専門学校へ。そのまま整備士の道を突き進み、自動車のほか、特装車やクレーン、軌陸車など特殊な車の整備に携わる。整備士歴10年を機に独立し、いわく「依頼があれば、法にふれないものはなんでも作る」という製造会社を運営。

——そもそもどうして次世代スケートボードの発明をしようと思われたのですか?

長年、整備士をやっておりまして、その経験で培ったノウハウを活かして「法に反さないものであれば、依頼があればどんなものでも作る」をモットーに、鉄鋼を中心とした製造会社を運営しています。世の中にあるいろんなものが、どういった構造でどのような機能をしているのか、ということを考えるのがクセになっているんですね。
あるとき、知り合いがスケボーを持っていまして、ふと思ったんです。「ただのタイヤがついた板切れなのに、どうして乗ったり、技をだしたり、操作できるんだろう」って。それで、実際にスケボーの実物をみながら、ちょっと調べてみまして。それで「もしかして、もっと改良できるのは?」と思いたったのがきっかけです。
だから、実はスケボーなんて、乗ることなんてできないどころか、それまで触ったこともない(笑)スタートラインは、ただの好奇心ですね。

——簡単におっしゃっていますが、開発に至るまでは大変だったのではないですか?

「新しいスケボーを発明した」という話をすると、よくそんな風に聞かれるのですが、案外そうでもありません(笑) 今回の特許は、スケートボードのトラック(ボードとウィールをつなぐパーツ。ボードの曲がり具合や操作性を左右する)の新しい機構なのですが、実は改良するために考えたのは半日ほど。ボードの寸法をはかったり、トラックの強度とかを考えながら図面を引いたりしながら考えているうちにパッと閃いてしまいました。
ですので、時間よりも費用面でコストがかかりましたね。正式な図面や試作品を作ったりするのに、20万円ほど、そして、特許申請などを弁理士さんにお願いしましたので、その費用に50万円くらい。特許取得は、申請書を9月くらいに作ってもらって翌年3月に取得できましたので、5ヶ月ほどかかりましたね。

——半日で新たな構造が生まれたなんて、信じられないですね…!

そうなんですよ、自分でも不思議です(笑) 感覚的には、90%はこれまでの人生で培ったもので、すでに出来ていたという感じなんです。もちろん、整備士時代に培った技術や考え方が役立ったのは、たしかなのですが、常に心のどこかで抱いている「自分で何かを生み出したい」という想いが一番おおきいと思います。いろいろなものづくりに挑戦する製造会社を立ち上げたのも、その気持ちがあったからこそ。整備士って「何かをもとのカタチに、きっちりと戻すこと」が仕事ですよね。もちろんそれってなくてはならない大事な仕事なのですが、私は「ゼロから新しいものを、自分の経験や技術を活かして作っていきたい」と思ったんです。
ものづくりへの想いは、もっと昔から持っていたように思います。うちはそれほど裕福ではなかったので、欲しいものがあっても自分で作れるものは自分で作っていました。また、何かのモノが壊れたりしてら、バラバラに分解したりと自力で研究して自分で修理していました。修理依頼をすると、お金がかかっちゃうんで(笑)

——だとしても、スケートボードまで手掛けてしまうってスゴイと思います

発明ってなんでもそうだと思うのですが、基本は「こうなったら、もっと便利なのに…」という視点を持つことが大事だと思います。よくあるキッチン用品の発明も、主婦の方々が実際に何かを使っているときに、台所で問題点を見つけて、それが発明のきっかけになっているみたいですよね。 さっきも仕事柄、いろんなモノの構造が気になるという話をしましたが、これは趣味に近いかもしれません。ホームセンターなんかに行ったときには、いつの間にか、電動工具なり何かの新商品なりを観察してしまっているんです。別にそんなことをしようと思って、ホームセンターに行っているんじゃないんですけどね…。気がつけば「なるほど、ここがこうなって、こういう役割になっているのか~」という風に研究している自分がいます。

——研究熱心な日頃の姿勢が生んだ発明なんですね。今後の展開って何か考えていますか?

スケートボードは、アメリカが発祥の地で、競技人口が1000万人くらいらしいです。ですので、アメリカのメーカーさんとライセンス契約できたらと考えています。そして、今回の発明だけじゃなくて、世の中にない新しいモノや、今あるモノをもっと便利にしたモノなど、まだまだいろいろなものづくりに挑んでいけたらと思っています。