【コラム】建築のデザインも大きな集客力であり時代のメッセージ

昨年の夏、7月23日、コロナ禍による異例の状況下の中で開催に踏み切った東京オリンピックが開会した。もうすぐ一年。去年のことだけどこの歴史の一幕、私自身、あまり印象として残ってない。河瀨直美監督のオリンピック記録映画『東京2020オリンピック SIDE:A』も6月から全国公開されているのですが、興行的にはいまひとつのようです。

されど、やはりオリンピック、しかも自国開催。いくつもの感動やメッセージを残してくれました。その中で、個人的には競技ではないのですが、一つ上げれば、多くの木材と鉄骨を組み合わせた隈研吾の新国立競技場です。建築の専門的なことはわかりませんが、コンセプトがとても日本的で、特に革新的でも画期的でもないのですが均整がとれていてその美しいさが素晴らしいと思います。

わたしが隈研吾の建築に出会ったのは2013年9月。住んでいた港区南青山に台湾パイナップルケーキ「サニーヒルズ」の店ができたのですが、最初見た時はともかくびっくり!で釘付けになったことを覚えています。なにしろ住宅街の一角に割箸を張り巡らしたような斬新なものだけど不思議と周りに溶け込んでいて、中に入っても木洩れ日が射す感じのなんとも心地よい空間で、いまでも人気スポットですね。以後、あらためて隈研吾の建築が好きになってしまい機会があれば足を運んでいます。なんとなくいいのです。

そのなかのひとつ、高知県の山の中の梼原町に、ここには雲の上の図書館、福祉施設はじめ5棟の隈研吾建築がある。浅草文化観光センターもそうですね。隈研吾建築は図書館、ミュージアム、舞台、大学、ホテル、旅館、カフェ、駅、展望台、商店街、観光センター、市役所、無印良品窓の家もそうです・・・などなど、どれも人が集まってくる建築物を多く手掛けている。どれも生活の一部、地域の一部となっているものばかりだ。日常なんだけどちょっといい感じ、目立ち過ぎず地域や生活に溶け込み、その場に居るとちょっと心地良くさせてくれる、懐かしくもある建物。  

「コンクリート」から「木」へ、「サスティナブルデザイン建築」の重要性が増している昨今、設計した隈研吾氏は「新国立協議場はSDGs建築の進化形だ!」と何かの本で読んだことがある。2015年、「SDGs」を国連が採択した。サスティナブルな社会に向けての目標に建築物は大きな存在だ。我々利用する側、住む側としてはその時代に生きていること、その場にいること、そんなことを感じさせてくれる建築物としてますまず関心度は高い。

今や建物や内装は、そのコンセプトやデザインの魅力=メッセージに触れる、味わう、そのために人はわざわざ足を運ぶようになっている。それくらいメッセージ性の高い存在でしかも身近なものだ。ここでもデザインのチカラが集客力となっている。しかも見た目だけの奇をてらったものではなく、サスティナブルなコンセプトでのメッセージがその潮流だ。

東京では「隈研吾 建築ツアー in Tokyo」として東京の最大手タクシー会社がガイド付きツアー2020年から期間限定でスタートし、今年も再開されている。もちろん高知県梼原町でも「隈研吾氏建造物‐見学コース」が案内されている。神社仏閣ではないけど建物や内装、それだけでひとを呼べるということだ。

付け足すと、それと合せるように特許庁はイノベーションの促進とブランド構築に資する優れた意匠を保護可能とすべく2020年4月1日から意匠法が改定され、建築物、内装、画像の意匠が保護対象となっている。

その登録第一号はファーストリテイリングのユニクロPARK 横浜ベイサイド店(意匠登録第1671773号「商業用建築物」)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ「書店の内装」(意匠登録第1671152号)、くら寿司浅草ROX店(意匠登録第1671153号「回転寿司店の内装」が2020年11月に登録されている。

いずれも優れたデザインであるというのはもちろんだが、その存在感はいまも大きな集客効果を生んでいる。

意匠登録第1671153号「回転寿司店の内装」(くら寿司株式会社)


ライター

渡部茂夫

SHIGEO WATANABE

マーケティングデザイナー、team-Aプロジェクト代表

通販大手千趣会、東京テレビランドを経て2006年独立、“販売と商品の相性” を目線に幅広くダイレクトマーケティングソリューション業務・コンサルティングに従事。 通販業界はもとより広く流通業界及びその周辺分野に広いネットワークを持つ。6次産業化プランナー、機能性表示食品届出指導員。通販検定テキスト、ネットメディアなどの執筆を行う。トレッキングと食べ歩き・ワインが趣味。岡山県生まれ。


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